枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

三月ばかり、物忌しにとて

三月頃、物忌をするために臨時の宿として人の家に行ったんだけど、木々がそんなに目立っていいのが無い中で、柳とは言っても普通の柳みたいに優美じゃなくて葉っぱが広く見た目も感じ悪くってね、「…じゃないもの、でしょ??」って言ったら、「こういうのも…

陰陽師のもとなる小童べこそ

陰陽師のところにいる小さな子どもはめちゃくちゃ物知りなのよね。お祓いなんかをしに出かけたら、陰陽師が祭文(さいもん)とか読むのを、人はただ適当に聞いてるだけなんだけど、さっと走ってって、「酒、水をかけなさい」とも言ってないのにやってのける…

雪のいと高う降りたるを

雪がすごく高く降り積もってるのに、いつもみたいにじゃなく格子を下ろしたまま炭櫃(すびつ)に火を熾して、お話をしながら集まっていたら、「少納言、香炉峰の雪はどうなのかしら?」っておっしゃるもんだから、格子を上げさせて御簾を高く上げたら、定子…

節分違へなどして夜深く帰る

節分違えなんかをして深夜に帰るのは、どうしようもなく寒くて耐えきれなくて、顎なんかが全部落ちてしまいそうなんだけど、かろうじてたどり着いて火桶を引き寄せたら、火が大きくて一切黒いところもなくて、見事に燃えてるのを細かい灰の中から掘り出した…

坤元録の御屏風こそ

坤元録(こんげんろく)の御屏風はいかしてるって思うわ。漢書の屏風は雄々しい感じだって評判なのよ。月次(つきなみ)の御屏風もいい感じなの。 ----------訳者の戯言--------- 「坤元録(こんげんろく)」というのは、中国・唐代に編纂された地誌(地理書…

神のいたう鳴るをりに

雷がものすごく鳴る時、雷鳴の陣はめちゃくちゃ物々しくて恐ろしい雰囲気なのよ。左右近衛府の大将、中将や少将なんかが清涼殿の御格子の下に参じていらっしゃるの、すごく気の毒だわ。で、雷が鳴り終わったら、大将がお命じになって「下りろ」っておっしゃ…

きらきらしきもの

光り輝く威厳のあるもの。近衛府の大将が帝の先払いをしてるの。孔雀経の読経。御修法(みずほう)。五大尊の御修法もね。御斎会(ごさいえ)。蔵人の式部の丞が白馬節会の日、大庭(おおば)を練り歩くの。その日には靭負(ゆげい)の佐(すけ)が、禁制の…

今朝はさしも見えざりつる空の

今朝はそんなふうに見えなかった空が真っ暗にかき曇って、雪が辺りを暗くして降るもんだから、すごく心細く外を見てるうちに白く雪が積もって、さらにどんどん激しく降るんだけど、随身らしいほっそりした男が傘をさして横の方にある塀の戸から入って、手紙…

つねに文おこする人の

いつも手紙を送ってくる人が、「どういうことかな? 何か言ってもどうにもならないよ、今は」って言って次の日も音沙汰が無いから、さすがに夜が明けると差し出される手紙が見当たらないっていうのは寂しいなって思ってね、「それにしても、はっきりした性格…

成信の中将は⑥ ~雪こそめでたけれ~

雪はなんたってすばらしいわ。「忘れめや」なんてひとりごとを言って、人目を忍んで逢うのはもちろんのこと、全然そんなことない女性のところも、直衣なんかは言うまでもなく、袍(ほう)も蔵人の青色とかがすごく冷たく濡れているようなのは、すごくイカし…

成信の中将は⑤ ~雨は心もなきものと~

雨は風情の無いものと思いこんでしまってるからかしら? ほんの少しの時間降るだけでも憎ったらしく思えるわ。高貴な宮中行事や面白いだろうなっていうイベント、尊くてすばらしいはずのことも、雨が降ってしまうとどうにも言いようがなく悔しいのに、何でそ…

成信の中将は④ ~さて月の明かきはしも~

さて、月の明るい時には、過去のことも将来のことまでも、思い残すようなこともなくって、心もさまようくらい素晴らしくてしみじみとするのは、他のこととは比べものが無いくらいだわって思うわね。そんな月の夜に来た人は、十日、二十日、一カ月、もしくは…

成信の中将は③ ~つとめて例の廂に~

翌朝早く例の廂の間で女房たちが話しているのを聞いたら、「雨が土砂降りの時にやってきた男性には感動しちゃうわね。何日も待ち遠しくって、つらいことがあっても、そんなふうに濡れてまで来てくれたら、つらいこともみんな忘れちゃう!」っていうんだけど…

成信の中将は② ~一条の院に作らせ給ひたる~

一条の院にお造りになった一間所には、嫌な人はまったく寄せ付けないの。東の御門に向かい合っててすごくいい感じの小廂に、式部のおもとと一緒になって夜も昼もいるもんだから、帝もいつもご見物に入って来られるのよ。「今夜は中で寝ましょうかね」って言…

成信の中将は①

(源)成信の中将は入道兵部卿宮のご子息で、ルックスがすごく良くってお気持ちもすばらしくていらっしゃるの。伊予の守(かみ)の(源)兼資の娘のことを忘れられなくって、親が伊予国へ連れて下った時には、どんなにしみじみと哀しい思いをしたことだろう…

日のうらうらとある昼つ方

日がうららかに照っているお昼頃、またすごく夜が更けて子の刻(午前0時前後)とかっていう頃になったかな?って時に、もう帝はお休みになっていらっしゃるのかしら??なんてお思い申し上げてたら、「蔵人たち…」ってお呼び出しになるの、すごく素敵だわ。 …

時奏する、いみじうをかし

時を奏するのはすごくおもしろいわ。すごく寒い夜中なんかに、ゴホゴホって音を立てて靴を引きずって来て弓の弦を鳴らして、「何の誰々、時刻、丑三つ、子四つ」とかって遠くの方で言って、時の杭を差す音なんか、めちゃくちゃいい感じなの。 「子九つ、丑八…

屋は

屋は、まろ屋。あづま屋。 ----------訳者の戯言--------- 屋は「や」です。「おく」ではありません。意味としては家のこと。家屋のことなんですが、読みは「や」なのだそうです。ここでは「小屋」のことを言っているようですね。 まろ屋というのは、葦(あ…

崎は

崎は 唐崎。三保が崎。 ----------訳者の戯言--------- 崎というのは海に向かって突き出ている陸の先端を言います。岬も同意と言えるでしょうか。 唐崎(からさき)というのは今の滋賀県大津市にある唐崎というところのようです。琵琶湖の南端西側岸になりま…

神は

神は、松尾(まつのお)大社、(石清水)八幡宮(やはたのみや/やはたのみや)はこの国の帝でいらっしゃったというのが素晴らしいわ。ご参詣の行幸なんかに水葱(なぎ)の花の御輿(みこし)にお乗りになるとかって、すごく素晴らしい。大原野神社。春日大社…

檜扇は

檜扇(ひおうぎ)は無地の。唐絵のもの。 ----------訳者の戯言--------- 「檜扇(ひおおぎ)」とは字のとおり薄い檜の板を重ねたものです。宮中で用いられていました。男性が使う場合は、宮中行事の時複雑な式での作法とかをメモする目的で使われたっていう…

扇の骨は

扇の骨は、朴(ほお)の木。色は赤いの。紫。緑。 ----------訳者の戯言--------- 扇は朴木の自然木のまんまのやつが良い、ってことでしょうか。他には塗骨と言って、漆塗りをしたものなんかもありました。 「小白河といふ所は② ~少し日たくるほどに~」で…

下襲は

下襲(したがさね)は、冬は躑躅(つつじ)。桜。掻練襲。蘇芳襲。夏は二藍。白襲。 ----------訳者の戯言--------- 下襲(したがさね)です。今で言うとシャツ的なものですね。上着の下に着るやつで、絵とか見ても後ろがすごく長いです。ただ、枕草子が書か…

単衣は

単衣は、白いの。束帯の時に紅色の単衣の袙(あこめ)なんかを仮にワンポイントで着てるのはOK。でもやっぱり白いのをね。黄ばんだ単衣なんかを着てる人はすごく気にくわないわ。 練色(ねりいろ)の衣なんかを着ることもあるけど、やっぱ単衣は白いのじゃな…

狩衣は

狩衣(かりぎぬ)は、香染(こうぞめ)の薄いもの。白いふくさ。赤色の。松の葉色。青葉の色。桜襲のもの。柳色のもの。藤色。男はどんな色の衣でも着てるわ。 ----------訳者の戯言--------- 狩衣(かりぎぬ)は文字通り「狩り」をするときに使っていた衣服…

指貫は

指貫(さしぬき)は、紫の濃いの。萌黄(もえぎ)。夏は、二藍(ふたあい)。すごく暑い頃、夏虫の色をしたのも涼しげだわ。 ----------訳者の戯言--------- 指貫(さしぬき)いうのは今でいうところの袴です。ボトムスですね。括り緒の袴(くくりおのはかま…

歌は

歌はっていうと…風俗歌。その中でも「杉立てる門」ね。神楽歌もおもしろいわ。今様歌は長くて節回しが変わってるわね。 ----------訳者の戯言--------- 風俗というと、すぐにキャバクラとかヘルスとかを思い浮かべてしまいますが、違います。現代じゃないん…

たふときこと

尊いこと。九条の錫杖(しゃくじょう)。念仏の回向(えこう)。 ----------訳者の戯言--------- 九条の錫杖(しゃくじょう)。聞いたことがありません。九条というと京都の九条、あとは大阪の九条とか。地名ぐらいしかわからないですね。地名ならほかにもあ…

関白殿、二月二十一日に㉖ ~院の御桟敷より~

女院の桟敷から「千賀の塩釜(ちかのしおがま)」とかっていうお便りがあってね、定子さまも返歌をなさるの。趣のある贈物なんかを持って人が行き来するのも素敵だわ。 法会が終わって、女院がお帰りになったの。院司や上達部が今回は半分ほどお供をなさった…

関白殿、二月二十一日に㉕ ~ことはじまりて~

法会が始まって、一切経を蓮の花の赤い造花の一つずつに入れて、僧侶、上達部、殿上人、地下人、六位、その他の者に至るまで持って続いているの、すごく尊いわ。導師が参上して、講義が始まって、舞楽なんかもしたの。一日中見てたら目も疲れて苦しいのね。…