枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。最初から読みたい!という奇特な方は「春はあけぼの」https://makuranosoushi.hatenablog.com/entry/2018/04/19/163807←こちらから。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

職の御曹司におはします頃、西の廂にて⑬ ~二十日参りたるにも~

そして、二十日に定子さまのところに参上した時にも、まずこのことを申し上げたのね。「身は投げた」って言って、蓋(ふた)だけを持ってきたお坊さんのように、遣いの者が空容器をすぐさま持って帰ってきたのにはガッカリだったこと、もし雪が残ってたら、…

職の御曹司におはします頃、西の廂にて⑫ ~暗きに起きて~

暗いうちから起きて、折櫃(おりびつ)なんかを持たせて、「これに雪の白いところを入れて持って帰って来て。汚くなったところは掻き捨ててね」なんて言って、使いを遣ったら、すごく早く、持たせた容器を引っ提げて、「すでに、早々に無くなってございまし…

職の御曹司におはします頃、西の廂にて⑪ ~そのほども~

その時だって、あの雪山のことが気になるから、宮仕えの女官、洗濯や湯殿の清掃担当女子スタッフ、雑務担当女子スタッフなんかを使って、絶えず見張りに行かせてたの。七日の節句のお下がりまであげたから、木守(=庭師)が拝んで感謝してたことなんかも、…

職の御曹司におはします頃、西の廂にて⑩ ~さて、その雪の山は~

さて、その雪山は本物の越(こし=北陸)の山みたいに見えて、雪が消えそうな感じもしなくなってるの。黒く汚れてきて見る価値もない様子にはなったんだけど、ほんと、勝ったわねって気持ちになって、何とかして15日までは持たせたいって私、祈ったわ。でも…

職の御曹司におはします頃、西の廂にて⑨ ~さて雪の山つれなくて~

で、雪の山には別に何ごともなく、そのまんま年が明けたのです。でも一月一日の夜、雪がすごくいっぱい降ったから、「うれしいな、また積もったかなぁ」って見たら、定子さまが「これは気に入らないわね。最初に降った雪の部分はそのままにして、今回の分は…

職の御曹司におはします頃、西の廂にて⑧ ~つごもりがたに~

大晦日の頃には、雪山も少し小さくなった感じなんだけど、それでもまだ結構高くって、お昼頃、縁側に女房たちが出てきてた時、ちょうど常陸の介がやって来たの。「どうしたの? すっごく長いこと見かけなかったじゃない」って聞いたら、「別に何てことはない…

職の御曹司におはします頃、西の廂にて⑦ ~さて、その山作りたる日~

で、その雪山を作った日、お遣いとして式部省の丞の源忠隆が参上してきたから、座布団を差し出して話してたんだけど、「今日は雪の山を作らせてらっしゃらないところはありません。帝のいらっしゃる清涼殿の壺庭でも作らせておられましたし。皇太子の東宮に…

職の御曹司におはします頃、西の廂にて⑥ ~「これいつまでありなむ」と~

「この雪の山、いつまで残ってるでしょうね」って、定子さまが女房たちにおっしゃったところ、「十日はあるでしょう」「十日過ぎても残ってるでしょう」とかって、だいたいその辺の時期を全員が申し上げたのね。で、私にも「どう?」ってお尋ねになるもんだ…

職の御曹司におはします頃、西の廂にて⑤ ~さて、師走の十余日のほどに~

そして、十二月も十日余り過ぎたころ、雪がすごく降ったからって、女官なんかが、縁側にすごくたくさんの雪を集めて置いたのを「どうせだったら、庭にほんとの雪山を作らせましょう」って、侍を呼んで「(中宮さまからの)お達しですから」って言ったら、集…

職の御曹司におはします頃、西の廂にて④ ~その後、また、尼なる乞食~

その後、また尼さんスタイルの物乞いの、すごく品があってきれいな人が現れたから、呼び寄せてお話を聞いてたら、とっても恥ずかしそうにしたもんだから、かわいそうでね、例の衣を一着持たせたんだけど、伏し拝んだのはまあいいとして、泣いて喜んで帰って…

職の御曹司におはします頃、西の廂にて③ ~後、ならひたる~

その後、学習したのか、彼女、いつもわざわざ目につくように、うろうろするようになったの。で、まんまなんだけど、「常陸の介」ってニックネームをつけたのよ。服も白いのに替えてなくって、前とおんなじで汚れてたもんだから、あれはいったいどこにやった…

職の御曹司におはします頃、西の廂にて② ~若き人々出で来て~

若い女房たちが出てきて、「ご主人はいるの?」「お子さんはいるの?」「どこに住んでるの?」とか、口々に聞いたんだけど、面白いことや冗談なんかを言うもんだから、さらに「歌は歌います? 舞なんか舞ったりするかしら?」って。尋ね終わらないうちに、 …

職の御曹司におはします頃、西の廂にて①

職の御曹司に定子さまがいらっしゃった頃、西の廂の間で不断(ふだん)の読経があって、仏様の絵なんかをかけてお坊さんたちが集まってるんだけど、それはまあいつものことなの。 それがはじまって二日ほどたってから、縁側のところで卑しい者の感じの声で、…

さて、その左衛門の陣などに

さて、左衛門の陣とかに行ったりなんかした後、里の実家に帰ってしばらくして「早く宮中に参内しなさい」なんて書かれた手紙が来て、その端っこに「左衛門の陣に出掛けてったあなたの後ろ姿がいつも思い出されるわ。でも何であんなに平然と古臭い恰好をして…

物のあはれ知らせ顔なるもの

情けない気持ちが伝わってくる顔っていうと…。鼻水を垂らし、ひっきりなしに鼻をかみながら話してる声。眉を抜いてる顔。 ----------訳者の戯言--------- 「物のあはれ」と言えば「源氏物語」というのが定番で、「あはれ」といえば概ね、悲しみやしみじみし…

里にまかでたるに④ ~かう語らひ~

こうして語り合い、お互いに世話を焼いたりなんかするうちに、どうこうすることもなかったけど少し仲が悪くなってて、その頃、彼が手紙をよこしてきたの。「都合の悪いことなんかがあっても、やっぱりかつては夫婦だったことは忘れないで、全然別の場所に離…

里にまかでたるに③ ~さて、のち来て~

それから後日になって、彼が来て、「あの日の夜は責め立てられて、何となく適当な所をお連れして歩いたんだ。本気で非難されるもんだから、めちゃくちゃ辛くてさ。ところで、どうしてあの時どうするかご返事がなくって、ワケわかんない布=海藻の切れっ端な…

里にまかでたるに② ~夜いたくふけて~

すごく遅い深夜の時間帯になって、門をめちゃくちゃドンドン大げさにたたくもんだから、何だってこんなに遠慮なく、広くもない家の門をでっかい音でたたくんだろ?って思って、聞きに行かせたら、滝口の武士だったの。「左衛門の尉(橘則光)からです」って…

里にまかでたるに①

里帰りしてる時に、殿上人なんかがやってくると、穏やかじゃない噂を人々はするもののようなの。でも私、かなりちゃんと考えて行動してて、むやみに引きこもってるっていう感じでもないから、そんな風に言われたって別に腹も立たないんだけどね。それに、昼…

かへる年の二月廿余日⑤ ~暮れぬれば参りぬ~

日が暮れてから、私は御前に参上したの。御前にはすごくたくさんの人がいて、帝付きの女房も来てて、「物語」の良し悪し、嫌いなところなんかを議論したり、批判したりしてるのよね。 で、源凉(みなもとのすずし)や藤原仲忠(ふじわらのなかただ)なんか(…

かへる年の二月廿余日④ ~職へなむ参る~

(頭の中将が)「『中宮職』の庁舎に参上するんだけど、伝言はありますか? あなたはいつ参上されるんです?」なんておっしゃって。「それにしても昨日は夜を明かさずに帰ってきてね、時間帯的にそれはまぁそれで仕方無いっちゃ仕方無い部分もあるだろうけど…

かへる年の二月廿余日③ ~御前の梅は~

梅壺の前庭の梅は、西のは白く東のは紅梅で、少し散りかかってるけど、まだいい風情で。うららかな日差しがのどかで、人に見せたくなるほどなのよね。 御簾の内側が、もっと若々しい女房なんかが、髪がうるわしくこぼれかかって……なんて物語で語られるような…

かへる年の二月廿余日② ~久しう寝起きて下りたれば~

いっぱい寝て、起きて自分の部屋に戻ったら、「昨日の晩、どなたかがすごく戸を叩かれたから、やっとのことで起き上がって応対したところ、『上に行っていらっしゃるのですか、だったら、かくかくしかじか申し上げてくれないかな』ってことだったんですけど…

かへる年の二月廿余日①

翌年の二月二十日を過ぎた時、定子さまが職の御曹司にお出かけになるお供をせずに、私が梅壺に残っていた次の日、頭の中将(藤原斉信)からお手紙が来て、「昨日の夜、鞍馬寺に参詣しに来たのだけど、今夜は方角が悪いので、方違えするつもりです。夜明け前…

頭の中将の、すずろなるそら言を聞きて⑤ ~物語などしてゐたるほどに~

そうして、おしゃべりなんかしていたら、「ちょっと」って中宮さまに呼ばれたから、御前に参上したところ、ちょうどこの件をお話しなさってるところだったの。「帝がこちらにおいでになって、お話して聞かせてくださったの。男の人たちはみんなあの返歌を扇…

頭の中将の、すずろなるそら言を聞きて④ ~みな寝て、つとめて~

みんな寝てしまって、翌日は早朝から局に下がってたんだけど、中将の源宣方の声で「ここに『草の庵』はいます?」って、大げさに言ってきたもんだから、「変なのー。なんでそんなみすぼらしげな者がいるっていうの? いないわよ。『玉の台(うてな)』って言…

頭の中将の、すずろなるそら言を聞きて③ ~蘭省花時錦帳下と書きて~

蘭省花時錦帳下 って書いて、「これに続く後の句はどうでしょうか?」と書いてあるんだけど、どうやって返事すべきなんでしょ。中宮さまがいらっしゃったらお見せして相談もするんだけど、これ、いかにも知った風な顔で、下手な漢字を書いたりしても、かなり…

頭の中将の、すずろなるそら言を聞きて② ~長押の下に~

女房たちはみんな長押の下で、灯を近くに取り寄せて、「扁つき」の遊びをしているのよ。「まあ、うれしい。早くおいでなさい」なんて、私を見つけて言うんだけど、私はガッカリな気分になって、何で参上しちゃったんだろうって思ったの。炭櫃(火鉢)のそば…

頭の中将の、すずろなるそら言を聞きて①

頭の中将(藤原斉信)がいい加減な嘘っぱち話を聞いて、めちゃくちゃ私のことをdisってね、「『どうして一人の人として認めて誉めてたんだか』なんて、殿上の間でめちゃくちゃヒドいコトおっしゃってたんだ」って。そんなの聞いたりするだけでも、恥ずかしく…

御仏名のまたの日

御仏名の次の日、地獄絵の屏風を持ってきて、帝が中宮さまにご覧に入れて差し上げたの。これ以上ないっていうぐらいハンパなく超恐怖でね。中宮さまは「これ見て、これ見てみ」っておっしゃるんだけど、「もうこれ以上見れませんー」って、めっちゃ怖すぎで…