枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

経は

経は。 法華経は言うまでもないわ。普賢(ふげん)十願。千手経。随求(ずいぐ)経。金剛般若経。薬師経。仁王経の下巻。 ----------訳者の戯言--------- 法華経はさらなり。と清少納言も書いてるとおり、説明するまでもありません。超メジャーな経典ですね…

寺は

寺は…。壺坂寺。笠置寺。法輪寺。霊山寺は釈迦仏のお住いなんだから、しみじみいい感じなの。石山寺。粉河寺。志賀寺。 ----------訳者の戯言--------- 壺坂寺。今は壷阪寺と書くようです。奈良県高市郡高取町壷阪というところにあります。ご本尊は、十一面…

森は

森は…。うえ木の森。石田(いわた)の森。木枯の森。うたた寝の森。岩瀬の森。大荒木(おおあらき)の森。たれその森。くるべきの森。立聞(たちぎき)の森。 横竪(よこたて)の森っていうのが、耳に残ってるのが不思議だわ。森なんて言えるものでもなくっ…

浦は

浦は、大の浦。塩釜の浦。こりずまの浦。名高の浦。 ----------訳者の戯言--------- 「浦」って何ですか?と思って調べたところ、海や湖が陸地に入りこんだ所だとわかりました。つまりシンプルに言うと、「入り江」のことのようです。 大の浦の その長浜に …

浜は

浜は。有度浜。長浜。吹上(ふきあげ)の浜。打出(うちいで)の浜。もろよせの浜。千里(ちさと)の浜は、広いんだろうな、って思われるわ。 ----------訳者の戯言--------- 「有度浜(うどはま)」は、静岡県静岡市の駿河湾に面している海岸だとか。有度山…

島は

島っていうと…。八十島(やそしま)。浮島。たはれ島。絵島。松が浦島。豊浦(とよら)の島。籬(まがき)の島。 ----------訳者の戯言--------- ちょっとめんどくさいやつです。時々ありますね、「いかしてる〇〇特集!!」みたいな段。今回は「いかした島…

ことにきらきらしからぬ男の

特別キラキラしてもない男で、背の高い人や低い人をたくさん引き連れてる従者よりも、少し乗り馴らした車がすごくツヤツヤしてて、身なりのとても相応しい牛飼童が、牛にすごく勢いがあって、その牛に遅れるように綱に引っ張られて車を進めてるのね。 で、ス…

五月の長雨の頃

五月の長雨の頃、上の御局(みつぼね)の小さい扉の簾に、斉信(ただのぶ)の中将が寄りかかっていらっしゃった、その香りはほんとに素敵だったわ♡ 何の香りかはわからないの。だいたい、雨で湿ってて、艶(なま)めかしい雰囲気っていうのは珍しくもないこ…

心にくきもの④ ~内裏の局などに~

宮中の局なんかに、打ち解けてるって思われるとマズい男性が来てるから、私の部屋の灯は消してるんだけど、傍らにある灯の光が何かの物の上とかから差し込んで、さすがに物の形はほんのり見えてしまうから、背の低い几帳を引き寄せてね。ホント昼間は絶対に…

心にくきもの③ ~殿ばらなどには~

身分の高い男性たちにとってみたら、奥ゆかしく思える新人の女房で、特に目をかけるほどの身分じゃない人なんだけど、やや夜が更けて参上したら、衣擦れの音が心惹かれる感じで、すり膝で進んでって定子さまの御前に侍ってて、定子さまが何か少しだけおっし…

心にくきもの② ~夜いたくふけて~

夜がとても更けて、定子さまもお休みになられて、女房たちがみんな寝てしまった後、外の方で殿上人なんかがお話をしてたら、奥で碁石を碁笥に入れる音が何回も聴こえるの、すごく奥ゆかしいわ。火箸をそっと灰に突き立てる音をを、まだ起きてたんだわ、って…

心にくきもの①

奥ゆかしいもの。物を隔てて聞いてたら、女房とは思えない手の音が、ひっそりと素敵な風に聴こえたんだけど、答えは若々しい感じで、衣ずれの音をさせて参上する気配。物の後ろや障子とかを隔てて聞いてたら、お食事をなさる頃なのかしら、箸や匙なんかの音…

野分のまたの日こそ

野分(のわき=台風)の翌日はっていうと、すごく風情があっていい感じなの。立蔀(たてじとみ)や透垣(すいがい)なんかは乱れてて、庭の植栽もめちゃくちゃ痛々しい感じ。大きな木々も倒れて、枝とかも風の勢いで折れちゃってるのが、萩や女郎花(おみな…

九月つごもり、十月の頃

9月末から10月にかけての頃、空が曇ってきて、風がすごく騒がしく吹いて、黄色になった葉っぱがひらひらと散って落ちるのは、すごくしみじみと風情を感じるわ。桜の葉、椋(むく)の木の葉は特に早く散ってしまうの。 10月頃に、木立の多い家の庭は、とても…

八、九月ばかりに

8月か9月頃に、雨にまじって吹いた風はすごく風情があるわ。雨足が横向きに、騒がしく吹いてるから、夏の間、使ってた綿入りの衣が掛かってるのを、生絹(すずし)の単衣に重ねて着るのも、とてもいい感じなの。この生絹だってめちゃくちゃ窮屈で暑苦しくて…

風は

風は…嵐。3月頃の夕暮れにゆるく吹いた雨風。 ----------訳者の戯言--------- 嵐。激しい勢いで吹く風を嵐と言います。どの季節でもありますから、嵐だけで季語にはなっていません。そもそもは山から吹き下ろす強い風のことを言ったようですね。「荒風」で「…

宮仕人のもとに来などする男の

宮中に仕えてる女房のところに来たりする男が、そこで物を食べるのは、すごくみっともないわね。食べさせる女房も全然気に入らないわ。自分を想ってるだろう女子が「やっぱり食べて」なんて気を遣って言うのを、嫌がってるみたいに口をふさいで、顔をそむけ…

ふと心劣りとかするものは

ふと、劣ってるように感じるものっていうと、男でも女でも、会話の時に下品な言葉遣いをするのは、どんなことよりもいちばんダメなことだわ。たった言葉一つで不思議なことなんだけど、上品にも下品にもなるっていうのは、どういうわけなんでしょ。で、それ…

大路近なる所にて聞けば

大通りの近くにある家で聞いてると、牛車に乗ってる人が、有明の月が素敵に出てるから簾(すだれ)を上げて、「遊子なほ残りの月に行く」っていう詩を、いい声で朗詠したのもおもしろいわ。 馬に乗ってても、そういうイカしてる人が通って行くのはいい感じ。…

南ならずは東の廂の板の

南じゃなかったら、東の廂の間の床板の影が映るくらいのところに、鮮やかな畳を置いて、三尺の几帳の帷子(かたびら)がすごく涼し気に見えてるのを押しやったら、滑ってって。思ってるよりも行き過ぎて立ったところに、白い生絹の単衣、紅色の袴、夜具には…

いみじう暑き昼中に

めちゃくちゃ暑い昼日中に、どういうことしたらいいのかしら~?って。扇の風もぬる~いし、氷水に手を浸して、大騒ぎしてるうちに、ものすごく真っ赤な薄様の紙を、唐撫子がすばらしく咲いた花に結びつけたの、お使いの者が持ち込んで来たんだけど、書いて…

好き好きしくてひとり住みする人の

色好みで独身の男性が、夜はどこに行ってたんでしょ? 夜明け前に帰って来て、そのまま起きてるから、眠そうな感じに見えるんだけど、硯を手元に持ってきて、墨をていねいにすって、何となく筆の進むままテキトーにとかじゃなく、気持ちを込めて手紙を書いて…

八月ばかりに

八月の頃、白い単衣の柔らかい着物に良質な袴をはいて、紫苑色ですごく上品なのを羽織ってるんだけど、胸をひどく患ってるものだから、友達の女房たちが次々にやってきてお見舞いをして、外の方にも若々しい貴公子たちがたくさんやって来て「すごくお辛そう…

十八九ばかりの人の

18、9歳ぐらいの人で、髪がすごくキレイで背丈くらいあって、裾はすごくふさふさしてて、とてもよく太ってて、めっちゃ色白で、顔がかわいくて、素敵って見える女子が、歯をひどく患って、額の髪も涙でびっしょり泣き濡らし、髪が乱れて顔にかかってるのも気…

病は

病気は、胸の病。物の怪。脚気。それから、ただなんとなく食欲がない気分。 ----------訳者の戯言--------- だいたい枕草子で、こういう風に「〇〇は」と書きだした場合は、いい感じのもの、「をかし」的なものを列挙していきます。ということは、「病」の場…

かしこきものは

たいした者は、乳母(めのと)の夫だわよね。帝や親王たちなんかのケースは、当然そういうものだから、申し上げるべきことでもないわ。その次、また次のレベル、受領の家なんかでも、その場所にふさわしい態度で人に接するのを求められてるもんだから、彼ら…

位こそなほめでたき物はあれ

「位」っていうのは…。やっぱりすばらしいものだよね! 同じ人でも、大夫の君、侍従の君とかって申し上げる時は、結構侮りがちなんだけど、中納言、大納言、大臣とかにおなりになったら、やたらと邪魔するものもなくなって、ご立派にお見えになることと言っ…

したり顔なるもの

得意げな顔をした者。 1月1日に最初にくしゃみをした人。身分の高い人はそういうこともないんだけど。身分の低い者よ。 蔵人を選任するのに、競争率が高い時、子どもが蔵人になった人の様子。また、除目でその年いちばんの国への赴任が決まった人。お祝いな…

宮にはじめて参りたるころ⑧ ~物など仰せられて~

お話なんかをなさって、「私のことを想ってくれるかしら?」ってお尋ねになったの。その返事に、「もちろんです」って申し上げるのに合わせて、台盤所のほうで誰かが大きなくしゃみをしたから、「あら、いやだ。嘘を言ったのね。もういいわ、いいんです」っ…

宮にはじめて参りたるころ⑦ ~ひとところだにあるに~

大納言殿お一人でもこんななのに、また先払いをさせて、同じ直衣の人が参上なさって。この人はもう少し華やかな感じで、猿楽言(さるがうごと)なんかをおっしゃるの、女房たちは笑って、おもしろがってね。「私も、誰それが、こんなことをね」なんて殿上人…