枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

いやしげなるもの

下品っぽいもの。式部の丞の笏(しゃく)。黒い髪の毛筋が悪いの。布屏風の新しいの。古くなって黒く汚れたのは、そんなに語る意味さえないものだから、ぜんぜん何にも気にならないんだけどね。新しく仕立てて、桜の花がいっぱい咲いてる風景を、胡粉(こふ…

きよしと見ゆるもの

きれいに見えるもの。土器。新しい金属製のお椀。畳にする薦(こも)。水を容器に入れるときに透けて見える光の影。 ----------訳者の戯言--------- 土器ですか。土器がキレイでしょうか、ちょっとよくわかりません。マイセンやヘレンドじゃないんですから。…

恐ろしげなるもの

恐ろしげなもの。橡(つるばみ)のかさの部分。焼けちゃってる野老(ところ)。水蕗(みずふぶき)。菱(ひし)。髪の多い男が髪を洗って乾かしてるところ。 ----------訳者の戯言--------- 橡(つるばみ)というのは、クヌギの古名だそうです。また、その実…

碁を、やむごとなき人のうつとて

碁を身分の高い人が打つ時って、衣の紐を解いて無造作な感じで碁石を取って置くんだけど、身分の低い人は座り方からしてかしこまってる感じで、碁盤よりは少し離れて及び腰で、袖の下をもう片方の手で押さえたりなんかして打っているのも、おもしろいわね。 …

きよげなる男の

清潔感のあるきれいな男子が双六を一日中やって、それでも飽き足らず、低い燈台に火を灯して、すごく明るく燈心をかきあげて、敵がサイコロに祈りをかけてすぐには入れないもんだから、筒を盤の上に立てて待ってるんだけど、狩衣の襟が顔にかかるから片手で…

正月十余日のほど

正月の10日を過ぎた頃、空がすごく黒くって、雲も厚く見えながら、でも陽の光は鮮やかに差し込んでたんだけれど、身分の低い者の家の荒畑とかって言う、土がきれいに整えられてないところに、桃の木が若々しくって、細い枝がいっぱい出てるの、片方はすごく…

殿などのおはしまさで後④ ~御返り参らせて~

ご返事をを差し上げて、少し日にちが経ってから参上したんだけど、どうなのかな?っていつもよりは気後れしちゃって、御几帳に半分隠れて侍ってたんだけど、「あそこにいるのは新人さんなの?」なんてお笑いになって、「憎ったらしい歌だけど、こういう時に…

殿などのおはしまさで後③ ~例ならず仰せ言などもなくて~

いつもとは違ってお手紙もいただかずに何日も経ったから、心細くてぼうっとしてたら、長女(おさめ)が手紙を持ってきたの。「定子さまから、宰相の君を通して、こっそりと賜ったものです」って言って、ここに来てさえ、人目を避けようとしてるのってあんま…

殿などのおはしまさで後② ~げにいかならむと~

ほんと、私のことをどう考えていらっしゃるんだろ?って、ご推察申し上げてた…そんな中宮様のご機嫌を損ねたワケじゃなくてね、側に侍ってる女房たちなんかが、「彼女は左大臣(道長)派の人たちと、親しい間柄なのよ」って言って、みんなで集まって話してる…

殿などのおはしまさで後①

関白殿(道隆さま)がお亡くなりになった後、世間では事件が起こり、騒がしくなって、定子さまも宮中に参内なさらなくって、小二条殿っていう所にいらっしゃるんだけど、なんとなく、ますますヤな感じなものだから、私は結構長い間、里の実家にいたのね。で…

なほめでたきこと⑤ ~八幡の臨時の祭の日~

「八幡の臨時の祭りの日は、終わった後が全然なんにもやることがなくって退屈なの。どうして帰ってからまた舞いの演技をしないんでしょ?? やったら、おもしろいのに! 禄をいただいて後ろから退出するのはつまんないわよ」なんて言うのを、帝がお聞きにな…

なほめでたきこと④ ~里なる時は~

里の実家にいた時は、一行がただ通って行くのを見るだけじゃ飽き足らず、賀茂の御社まで行って見ることもあったわ。大きな木々の下に車を停めると、松明(たいまつ)の煙がたなびいて、火の明かりで半臂の紐や衣のツヤも、昼間よりはいっそうすてきに見える…

なほめでたきこと③ ~大輪など舞ふは~

大輪なんかを舞うのは、一日中見てても飽きないでしょうに、それが終わっちゃうと、すごく残念なんですよね、またあるんだって思ったらあてにもできるんだけど。御琴をかき鳴らして、竹の植え込みの後ろから舞いながら出てくる様子なんかは、とてもすばらし…

なほめでたきこと② ~承香殿の前のほどに~

承香殿の前の辺りで、笛を吹いて、拍子を打って演奏するのを、早く出てきたらいいのになぁって待ってたら、「有度浜(うどはま)」を謡って、竹の植え込みのところに歩いてきて、御琴をかき鳴らした時は、ただもう感動で、どうしたらいいのかしら~?って思…

なほめでたきこと①

やっぱりすばらしいのは、臨時の祭の時のことじゃないかしらね。舞楽のリハもすごくいいのよ。 春は空の様子ものどかでうららかなんだけど、清涼殿の御前に掃部司が畳を敷いて、勅使は北向きに、舞人は御前の方に向いて、これらは間違って覚えてるかもしれな…

とり所なきもの

取り柄のないものっていうと。ルックスが憎らしい感じで、しかも性格が悪い人。姫糊を塗りたくったもの。これって、みんなすごく憎んでるものってことだし、今さら書くのをやめるべきじゃないわよね。それと、送り火の火箸が取り柄ない、なんていうのも、何…

つれづれなぐさむもの

退屈なのを紛らわせるものっていうと…。碁。双六。おしゃべり。三つか四つの幼児がかわいく何か言ってるの。それに、とっても小さな子どもが何かおしゃべりをして、間違ったことなんかをしちゃってる様子も。果物。男なんかで、冗談を言ったりして、よくしゃ…

つれづれなるもの

手持ち無沙汰で退屈なもの。自宅じゃなく他所に移ってやる物忌み。駒が進まない双六(すごろく)。除目で官職を得られなかった人の家。雨が降ってるのは、なおさらすごく所在なげなのよね。 ----------訳者の戯言--------- やることがなくて暇。とか、手持ち…

円融院の御はての年② ~それを二つながら持て~

それを二つとも持って、急いで参上して、「こういうことがございました」って、帝もいらっしゃる御前で語り申し上げなさったのね。定子さまは、とってもさりげなくご覧になって、「藤大納言が書いた字ではないようですね。法師のでしょう。昔の鬼の仕業だと…

円融院の御はての年①

円融院の喪(諒闇)が明けた年、女房もみんな喪服を脱いだりして、しんみりとした感じで、宮中をはじめとして院にお仕えしてた人も、「花の衣に」なんて言われた時代のこととかに思いを馳せて、しみじみしてたんだけど、雨がすごく降るある日のこと、藤三位…

五月ばかり、月もなういと暗きに② ~まめごとなども言ひあはせてゐ給へるに~

真面目な話なんかも、私とお話しなさってたら、「植えてこの君と称す~」って吟じながらまた殿上人たちが集まってきたもんだから、彼(行成)、「殿上の間で話し合って予定してた本来の目的も果たさないで、どうしてお帰りになっちゃったのか、不思議だった…

五月ばかり、月もなういと暗きに①

五月頃、月もなくてとても暗い夜、「女房はいらっしゃいます?」って大勢の声で言ってたもので、定子さまが「出てって見て来て。いつもと違って、あんな大声で言ってるのは誰なのかしら?」っておっしゃるから、「その声は誰ですか? すごく大げさで目立ちま…

頭の弁の、職に参り給ひて② ~さて、逢坂の歌はへされて~

そのあと、逢坂の歌には圧倒されて、返歌もできないままになっちゃったの。かなりダメよね。「でさ、あの手紙は殿上人がみんな見ちゃったんだよね」っておっしゃるから、「ほんとに私のことを思ってくれてたんだって、それを聞いてよくわかりましたよ♪ 素晴…

頭の弁の、職に参り給ひて①

頭の弁(藤原行成)が、中宮職の庁舎に参上されて、私とお話しなんかなさってたんだけど、そのうち夜もすっかり更けてしまったの。「明日は御物忌だから、籠ってないといけないし、丑の刻にまでなったらまずいだろうなー」って、宮中に参内なさったのね。 早…

故殿の御ために② ~わざと呼びも出で~

わざわざ呼び出したりして、会う度に「何で私とマジで親密に語り合ってくださらないのかな? さすがに私を嫌いだと思ってるわけじゃない、ってことはわかってるんだけど、すごく疑問に思ってるんだ。こんなに何年も経ってる懇意の知人同士が、よそよそしいま…

故殿の御ために①

今は亡き道隆さまのために毎月10日、定子さまはお経や仏像などをご供養なさってたんだけど、9月10日には職の御曹司(中宮職の庁舎)でそれを行われたの。上達部や殿上人がとてもたくさんいてね。清範(せいはん)が講師で、そのお説法がまあ、すごく悲しい内…

などて、官得はじめたる六位の笏に

「どうして官位を得たばかりの六位の人の笏(しゃく)に、職の御曹司(中宮職の庁舎)の東南の隅の屋根付き土塀の板を使ったんでしょ?? それなら、西や東の板も使ったらいいのにー」なんてことを言いだして、「つまんないことをイロイロねー。着る物とかに…

頭の弁の御もとより

頭の弁(藤原行成)のところから、主殿司(とのもりづかさ)が絵みたいなものを、白い色紙に包んで、梅の花がきれいに咲いたのに付けて持って来たの。絵なんだろうかな?って急いで受け取って見たら、餅餤っていうものを2個並べて包んでたのね。添えられてた…

二月、官の司に

二月に太政官の庁舎で、定考(こうじょう)っていうことをするようなんだけど、どんなことなのかしら。孔子の肖像画なんかをお掛けしてお祀りするらしいんだけどね。聡明って言って、帝にも中宮さまにも、奇妙な形のものなんかを器に盛って差し上げるの。 --…

七日の日の若菜を

正月七日の日の若菜を、六日に人が持ってきて騒いで、取っ散らかしたりしてたら、見たこともない草を子どもが取ってきたのを、「これは何て言う草なの?」って聞いたら、すぐには答えないで、「さぁ??」なんて、お互いに顔を見合わせて、「耳無草(みみな…