枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

とくゆかしきもの

早く知りたいもの。巻染。むら濃、絞り染めなんかにした織物。誰かが子どもを産んだ時には、男の子か女の子かを早く聞きたくって。身分の高い人は言うまでもないけど、身分の低い者、下々の者の場合でも、やっぱ知りたいわね。 除目(じもく)の翌朝早く。知…

うらやましげなるもの④ ~よき人の御前に~

身分の高い方の御前に女房がすごくたくさん侍ってるんだけど、奥ゆかしい方のところにお送りする代筆のお手紙なんかを、誰も鳥の足跡みたいな字で書くことは無いでしょ? なのにね、局に下がってる人をわざわざお呼び出しになって、硯をお渡しになって書かせ…

うらやましげなるもの③ ~女児も、男児も~

女の子も男の子も、お坊さんになった子も、出来のいい子どもを持ってる人は、とてもうらやましいわね。髪がすごく長くて素敵で、髪の毛先なんかがすばらしい人。それから、身分の高い人が、たくさんの人から敬意を持たれ、大切にされていらっしゃるのを見る…

うらやましげなるもの② ~稲荷に思ひおこして詣でたるに~

伏見稲荷大社に思い切って参詣した時、中の御社のあたりでやたら苦しいのを我慢して登ってったんだけど、少しも苦しそうじゃなくって、遅れてやって来るかな?って思ってた人たちが、どんどん先に行ってお参りするのは、めちゃすごいわ。二月の午(うま)の…

うらやましげなるもの①

うらやましいっぽいもの。お経なんかを習おうって時、すごくたどたどしくて、忘れがちで、返す返すおんなじ所を読経するんだけど、お坊さんは当たり前!でも、男でも女でもすらすらっと簡単に読んじゃうのは、あんな感じにいつの世にかなれたらなーって思う…

苦しげなるもの

苦しそうなもの。夜泣きってことをする赤ちゃんの乳母。想う人を二人持って、あっちからもこっちからも嫉妬されてる男。頑固なもののけの調伏を担当してる修験者。祈祷の効き目だけでもすぐにあったらいいんだけど、そうでもなくって、それでも人に笑われな…

えせものの所得る折

つまらないものが幅をきかせる時。正月の大根。行幸の際の姫もうちぎみ。即位の時の御門司(みかどのつかさ)。六月や十二月の末日に開催される節折(よおり)の蔵人。季の御読経の時の威儀師。赤い袈裟を着て、僧の名前を読み上げるのは、すごくキラキラし…

むつかしげなるもの

むさくるしいもの。刺繍の裏。ネズミの毛もまだ生えていない子を巣の中から転がし出したの。裏地をまだつけてない毛皮の衣の縫い目。猫の耳の中。特にきれいなじゃない場所が暗いのもね。 特に大したことのない人が、子どもがたくさんいて、お世話してるの。…

見るにことなることなきものの

見ると特に何ともないんだけど、文字を書いたら大げさなもの。 覆盆子(いちご)。鴨跖草(つゆくさ)。芡(みずふぶき)。蜘蛛。胡桃。文章博士(もんじょうはかせ)。得業の生(とくごうのしょう)。皇太后宮権の大夫(だいふ)。楊梅(やまもも)。 虎杖(…

名おそろしきもの

名前が怖いもの。青淵(あおふち)。谷の洞(ほら)。鰭板(はたいた)。鉄(くろがね)。土塊(つちくれ)。雷(いかずち)は、名前だけじゃなく、めちゃくちゃ恐ろしいわ。暴風(はやち)。不祥雲(ふしょうぐも)。矛星(ほこぼし)。肱笠雨(ひじかさあ…

人ばへするもの

人前で調子に乗ってはしゃぐもの。特に何にもない人の子どもなんだけど、それでも親が甘やかし過ぎてるの。咳。身分が高すぎてこっちが恥ずかしくなるくらいの人にお話ししようとする時に、言葉より先に出るのよね。 あちこちに住む人の子どもで4歳か5歳にな…

うつくしきもの

かわいいもの。 瓜に描いた幼児の顔。雀の子が鼠鳴きをして踊りながらやってくるの。2歳か3歳の幼児が急いで這ってくる途中で、すごく小さい塵があるのを目ざとく見つけて、とってもかわいい指で取って、大人たちに見せるのも、すごくかわいらしいわ。ヘアス…

胸つぶるるもの

胸がドキドキするもの。 競馬(くらべうま)の観戦。元結(もとゆい)を撚(よ)るの。親なんかが気分が悪い、って、いつもと違う様子の時。ましてや、流行り病で世間が騒いでるって話が聞こえてくる時なんかは、他には何も考えられなくなるの。それから、ま…

いやしげなるもの

下品っぽいもの。式部の丞の笏(しゃく)。黒い髪の毛筋が悪いの。布屏風の新しいの。古くなって黒く汚れたのは、そんなに語る意味さえないものだから、ぜんぜん何にも気にならないんだけどね。新しく仕立てて、桜の花がいっぱい咲いてる風景を、胡粉(こふ…

きよしと見ゆるもの

きれいに見えるもの。土器。新しい金属製のお椀。畳にする薦(こも)。水を容器に入れるときに透けて見える光の影。 ----------訳者の戯言--------- 土器ですか。土器がキレイでしょうか、ちょっとよくわかりません。マイセンやヘレンドじゃないんですから。…

恐ろしげなるもの

恐ろしげなもの。橡(つるばみ)のかさの部分。焼けちゃってる野老(ところ)。水蕗(みずふぶき)。菱(ひし)。髪の多い男が髪を洗って乾かしてるところ。 ----------訳者の戯言--------- 橡(つるばみ)というのは、クヌギの古名だそうです。また、その実…

碁を、やむごとなき人のうつとて

碁を身分の高い人が打つ時って、衣の紐を解いて無造作な感じで碁石を取って置くんだけど、身分の低い人は座り方からしてかしこまってる感じで、碁盤よりは少し離れて及び腰で、袖の下をもう片方の手で押さえたりなんかして打っているのも、おもしろいわね。 …

きよげなる男の

清潔感のあるきれいな男子が双六を一日中やって、それでも飽き足らず、低い燈台に火を灯して、すごく明るく燈心をかきあげて、敵がサイコロに祈りをかけてすぐには入れないもんだから、筒を盤の上に立てて待ってるんだけど、狩衣の襟が顔にかかるから片手で…

正月十余日のほど

正月の10日を過ぎた頃、空がすごく黒くって、雲も厚く見えながら、でも陽の光は鮮やかに差し込んでたんだけれど、身分の低い者の家の荒畑とかって言う、土がきれいに整えられてないところに、桃の木が若々しくって、細い枝がいっぱい出てるの、片方はすごく…

殿などのおはしまさで後④ ~御返り参らせて~

ご返事をを差し上げて、少し日にちが経ってから参上したんだけど、どうなのかな?っていつもよりは気後れしちゃって、御几帳に半分隠れて侍ってたんだけど、「あそこにいるのは新人さんなの?」なんてお笑いになって、「憎ったらしい歌だけど、こういう時に…

殿などのおはしまさで後③ ~例ならず仰せ言などもなくて~

いつもとは違ってお手紙もいただかずに何日も経ったから、心細くてぼうっとしてたら、長女(おさめ)が手紙を持ってきたの。「定子さまから、宰相の君を通して、こっそりと賜ったものです」って言って、ここに来てさえ、人目を避けようとしてるのってあんま…

殿などのおはしまさで後② ~げにいかならむと~

ほんと、私のことをどう考えていらっしゃるんだろ?って、ご推察申し上げてた…そんな中宮様のご機嫌を損ねたワケじゃなくてね、側に侍ってる女房たちなんかが、「彼女は左大臣(道長)派の人たちと、親しい間柄なのよ」って言って、みんなで集まって話してる…

殿などのおはしまさで後①

関白殿(道隆さま)がお亡くなりになった後、世間では事件が起こり、騒がしくなって、定子さまも宮中に参内なさらなくって、小二条殿っていう所にいらっしゃるんだけど、なんとなく、ますますヤな感じなものだから、私は結構長い間、里の実家にいたのね。で…

なほめでたきこと⑤ ~八幡の臨時の祭の日~

「八幡の臨時の祭りの日は、終わった後が全然なんにもやることがなくって退屈なの。どうして帰ってからまた舞いの演技をしないんでしょ?? やったら、おもしろいのに! 禄をいただいて後ろから退出するのはつまんないわよ」なんて言うのを、帝がお聞きにな…

なほめでたきこと④ ~里なる時は~

里の実家にいた時は、一行がただ通って行くのを見るだけじゃ飽き足らず、賀茂の御社まで行って見ることもあったわ。大きな木々の下に車を停めると、松明(たいまつ)の煙がたなびいて、火の明かりで半臂の紐や衣のツヤも、昼間よりはいっそうすてきに見える…

なほめでたきこと③ ~大輪など舞ふは~

大輪なんかを舞うのは、一日中見てても飽きないでしょうに、それが終わっちゃうと、すごく残念なんですよね、またあるんだって思ったらあてにもできるんだけど。御琴をかき鳴らして、竹の植え込みの後ろから舞いながら出てくる様子なんかは、とてもすばらし…

なほめでたきこと② ~承香殿の前のほどに~

承香殿の前の辺りで、笛を吹いて、拍子を打って演奏するのを、早く出てきたらいいのになぁって待ってたら、「有度浜(うどはま)」を謡って、竹の植え込みのところに歩いてきて、御琴をかき鳴らした時は、ただもう感動で、どうしたらいいのかしら~?って思…

なほめでたきこと①

やっぱりすばらしいのは、臨時の祭の時のことじゃないかしらね。舞楽のリハもすごくいいのよ。 春は空の様子ものどかでうららかなんだけど、清涼殿の御前に掃部司が畳を敷いて、勅使は北向きに、舞人は御前の方に向いて、これらは間違って覚えてるかもしれな…

とり所なきもの

取り柄のないものっていうと。ルックスが憎らしい感じで、しかも性格が悪い人。姫糊を塗りたくったもの。これって、みんなすごく憎んでるものってことだし、今さら書くのをやめるべきじゃないわよね。それと、送り火の火箸が取り柄ない、なんていうのも、何…

つれづれなぐさむもの

退屈なのを紛らわせるものっていうと…。碁。双六。おしゃべり。三つか四つの幼児がかわいく何か言ってるの。それに、とっても小さな子どもが何かおしゃべりをして、間違ったことなんかをしちゃってる様子も。果物。男なんかで、冗談を言ったりして、よくしゃ…