枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

貝は

 貝は、うつせ貝(貝殻)。特に、蛤。そしてすごく小さな梅の花貝だわね。


----------訳者の戯言---------

虚貝(うつせがい/空貝)というのは貝殻のことです。巻き貝の殻も、二枚貝の殻のことも言ったみたいですね。何の貝のことを言ってるのでしょうか? ただうつせ貝(貝殻)と言われても…ですよね。
ということで、とにかく貝は貝殻よね!ということのようです。
もちろん、貝殻の良さはありますが、貝と言えば、まずは蛤のお吸い物、アサリのパスタ、しじみ汁、そして生ガキ、アワビステーキetc. やはり中身でしょう。

それでもあえて貝殻と言う理由には、当時の遊び「貝合(かいあわせ)」の存在があったものかと思います。
うれしきもの」という段に「物合(ものあわせ)」という、遊びと言うには本気度の高いなかなかおもしろいイベントが出てきました。詳しくはリンクからご覧いただければと思いますが、ざっくり言うと、左右二組に分かれて課題の品物なんかを持ち寄らせて、審判を立てて何回戦かを戦い、左右チーム総合の勝敗を決めるというものなんですね。

どちらかというと、貝合わせと言えば、蛤の貝殻で神経衰弱みたいなのをやる、と思いがちです。ビジュアル的にも、蛤の貝殻に絵を描き金箔とか蒔絵で装飾したようなのがポピュラーな感じ。夫婦和合の象徴として嫁入り道具に持たせたなどとも言われるあれをイメージするわけですが、あのゲームは元々「貝覆い」と言われたもので、平安末期以降のものだそうですね。
枕草子の頃は、先にも書いたとおり、平安貴族が蛤の形や大きさ、色合いなどをを競う遊びだったというのが正しいようです。

貝合わせ、というとレズビアン用語としてこの語を使う場合もあります。一種のスラングと言っても良いでしょうけれど、詳解は控えますので興味のある方はググってください。


というわけで、ハマグリの貝がらが№1だわ。ということなのでしょう。
そして、梅の花貝(ウメノハナガイ)というのが実際にあるの?と思っていたら、ありました。ツキガイ科の二枚貝。貝殻は球形で、たしかに梅の花びらに似ています。殻の表面は白っぽい色、または淡黄色、内面は純白です。殻長6ミリくらいと言いますからかなり小さいですね。食べないと思います(たぶん)。貝細工に使ったりするらしいですね。


【原文】

 貝は 虚貝(うつせがひ)。蛤(はまぐり)。いみじう小さき梅の花貝。