櫛の箱は
櫛の箱は、蛮絵のものがすごくいいわ。
----------訳者の戯言---------
櫛の箱(櫛箱)は文字どおり櫛など、髪を結う道具を入れておく箱です。当時からそのようなものはあったみたいですね。今で言うところのメイクボックスです。
蛮絵(ばんえ/盤絵)。有職文様の中で、草花、鳥獣などを丸く描く文様を蛮絵と言いました。調度品の蒔絵文様としてもこれは使われたようです。
この種の円文様はササン朝ペルシアに多く見られたようで、西方の蛮国から伝わった模様という意味で「蛮絵」となったとか、この模様の形が丸い盤形であるため「盤絵」である、など、字義については諸説があるようですね。
Googleで画像を検索するとこんな感じの一覧になりました。
熊っぽくない熊とか、ライオンっぽくない獅子とか、鶴っぽくない鶴とかがデザインされています。
今で言うと、シナモロールはウサギではなく犬、ばつ丸はペンギン、クロミはウサギですが、パッと見よくわかりません。サンリオのキャラだけではありません。ドラえもんにしても猫型ロボットですからね。仮面ライダーはバッタの改造人間ですし。そういった感じでしょうか? 違いますね。
先日は硯箱で、雲鳥(くもとり)が良いと書いてましたが、清少納言としては櫛箱はこの蛮絵なんですね。どれも割といかつい感じに見えますが、こういうのがメイクボックスにはいかしてたのでしょうか。
【原文】
櫛の箱は 盤絵(ばんゑ)、いとよし。