枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

夜まさりするもの

 夜のほうが勝ってるもの。濃い紅色の掻練襲(かいねりがさね)。むしった綿。女は額が出てるけど髪が綺麗な人。琴(きん)の音色。顔はイケてないんだけど雰囲気が良い人。郭公(ほととぎす)。滝の音。 


----------訳者の戯言---------

さてここから28段ほどは、「きよしと見ゆるもの」の後に入ってる写本もあるよ、という体で三巻本には書かれています。そして後書き、ということになりますから、いよいよ読了までカウントダウンですね。
と言っても、当然、年は越しそうです。読了は来年ですね。


掻練(かいねり)というのは、掻練襲(かいねりがさね)のことです。砧(きぬた)でよく打って、練ったり、糊を落として柔らかくした絹織物のことなんですが、特に紅色のものについて言うことが多いようですね。

むしった綿?というのは、真綿をむしってふわふわにした感じなのでしょうか? それが夜の方が良いというのは、なんだかよくわかりませんが。

琴(きん)というのは、以前も書きましたが、「琴(きん)の琴」のことです。小型で弦は7本。柱(じ)が無く、指で押さえて音程を変え演奏します。筝(筝の琴)が柱=ブリッジで音程をつくっているのに対し、演奏にテクニックが要る、つまり難しかったみたいで、平安中期には廃れたようです。
ちなみに現代、お琴と呼ばれているのは「筝(そう)の琴」のほうです。「筝曲 六段」とか「筝曲 春の海」などがあります。お正月になるとよくBGMになる曲ですね。楽器は長くて重たそうで弦がたくさん(13本)張られているあれです。弦が多いですから音は豊かだと思います。

さて琴(きん)の音色ですが、YouTubeとかでも聴いてみたんですが、筝とか琵琶とかに似たような音です。3~4オクターブぐらいはある感じですね。音域はギターぐらいかな?と思いました。夜だと迷惑じゃないのでしょうか。マンションだと管理会社に通報されます。
ちなみにフィクションですが、光源氏は名手だったようです。


人については、額が出てるけど髪がきれいだったらいいとか、顔は不細工でも雰囲気が良ければいいとか、かなり失礼です。


【原文】

 夜まさりするもの 濃き掻練のつや。むしりたる綿。

 女は 額はれたるが髪うるはしき。琴(きん)の声。形わろき人のけはひよき。ほととぎす。滝の音。