枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

浦は

浦は、大の浦。塩釜の浦。こりずまの浦。名高の浦。 ----------訳者の戯言--------- 「浦」って何ですか?と思って調べたところ、海や湖が陸地に入りこんだ所だとわかりました。つまりシンプルに言うと、「入り江」のことのようです。 大の浦の その長浜に …

浜は

浜は。有度浜。長浜。吹上(ふきあげ)の浜。打出(うちいで)の浜。もろよせの浜。千里(ちさと)の浜は、広いんだろうな、って思われるわ。 ----------訳者の戯言--------- 「有度浜(うどはま)」は、静岡県静岡市の駿河湾に面している海岸だとか。有度山…

島は

島っていうと…。八十島(やそしま)。浮島。たはれ島。絵島。松が浦島。豊浦(とよら)の島。籬(まがき)の島。 ----------訳者の戯言--------- ちょっとめんどくさいやつです。時々ありますね、「いかしてる〇〇特集!!」みたいな段。今回は「いかした島…

ことにきらきらしからぬ男の

特別キラキラしてもない男で、背の高い人や低い人をたくさん引き連れてる従者よりも、少し乗り馴らした車がすごくツヤツヤしてて、身なりのとても相応しい牛飼童が、牛にすごく勢いがあって、その牛に遅れるように綱に引っ張られて車を進めてるのね。 で、ス…

五月の長雨の頃

五月の長雨の頃、上の御局(みつぼね)の小さい扉の簾に、斉信(ただのぶ)の中将が寄りかかっていらっしゃった、その香りはほんとに素敵だったわ♡ 何の香りかはわからないの。だいたい、雨で湿ってて、艶(なま)めかしい雰囲気っていうのは珍しくもないこ…

心にくきもの④ ~内裏の局などに~

宮中の局なんかに、打ち解けてるって思われるとマズい男性が来てるから、私の部屋の灯は消してるんだけど、傍らにある灯の光が何かの物の上とかから差し込んで、さすがに物の形はほんのり見えてしまうから、背の低い几帳を引き寄せてね。ホント昼間は絶対に…

心にくきもの③ ~殿ばらなどには~

身分の高い男性たちにとってみたら、奥ゆかしく思える新人の女房で、特に目をかけるほどの身分じゃない人なんだけど、やや夜が更けて参上したら、衣擦れの音が心惹かれる感じで、すり膝で進んでって定子さまの御前に侍ってて、定子さまが何か少しだけおっし…

心にくきもの② ~夜いたくふけて~

夜がとても更けて、定子さまもお休みになられて、女房たちがみんな寝てしまった後、外の方で殿上人なんかがお話をしてたら、奥で碁石を碁笥に入れる音が何回も聴こえるの、すごく奥ゆかしいわ。火箸をそっと灰に突き立てる音をを、まだ起きてたんだわ、って…

心にくきもの①

奥ゆかしいもの。物を隔てて聞いてたら、女房とは思えない手の音が、ひっそりと素敵な風に聴こえたんだけど、答えは若々しい感じで、衣ずれの音をさせて参上する気配。物の後ろや障子とかを隔てて聞いてたら、お食事をなさる頃なのかしら、箸や匙なんかの音…

野分のまたの日こそ

野分(のわき=台風)の翌日はっていうと、すごく風情があっていい感じなの。立蔀(たてじとみ)や透垣(すいがい)なんかは乱れてて、庭の植栽もめちゃくちゃ痛々しい感じ。大きな木々も倒れて、枝とかも風の勢いで折れちゃってるのが、萩や女郎花(おみな…

九月つごもり、十月の頃

9月末から10月にかけての頃、空が曇ってきて、風がすごく騒がしく吹いて、黄色になった葉っぱがひらひらと散って落ちるのは、すごくしみじみと風情を感じるわ。桜の葉、椋(むく)の木の葉は特に早く散ってしまうの。 10月頃に、木立の多い家の庭は、とても…

八、九月ばかりに

8月か9月頃に、雨にまじって吹いた風はすごく風情があるわ。雨足が横向きに、騒がしく吹いてるから、夏の間、使ってた綿入りの衣が掛かってるのを、生絹(すずし)の単衣に重ねて着るのも、とてもいい感じなの。この生絹だってめちゃくちゃ窮屈で暑苦しくて…

風は

風は…嵐。3月頃の夕暮れにゆるく吹いた雨風。 ----------訳者の戯言--------- 嵐。激しい勢いで吹く風を嵐と言います。どの季節でもありますから、嵐だけで季語にはなっていません。そもそもは山から吹き下ろす強い風のことを言ったようですね。「荒風」で「…

宮仕人のもとに来などする男の

宮中に仕えてる女房のところに来たりする男が、そこで物を食べるのは、すごくみっともないわね。食べさせる女房も全然気に入らないわ。自分を想ってるだろう女子が「やっぱり食べて」なんて気を遣って言うのを、嫌がってるみたいに口をふさいで、顔をそむけ…

ふと心劣りとかするものは

ふと、劣ってるように感じるものっていうと、男でも女でも、会話の時に下品な言葉遣いをするのは、どんなことよりもいちばんダメなことだわ。たった言葉一つで不思議なことなんだけど、上品にも下品にもなるっていうのは、どういうわけなんでしょ。で、それ…

大路近なる所にて聞けば

大通りの近くにある家で聞いてると、牛車に乗ってる人が、有明の月が素敵に出てるから簾(すだれ)を上げて、「遊子なほ残りの月に行く」っていう詩を、いい声で朗詠したのもおもしろいわ。 馬に乗ってても、そういうイカしてる人が通って行くのはいい感じ。…