枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

心にくきもの③ ~殿ばらなどには~

 身分の高い男性たちにとってみたら、奥ゆかしく思える新人の女房で、特に目をかけるほどの身分じゃない人なんだけど、やや夜が更けて参上したら、衣擦れの音が心惹かれる感じで、すり膝で進んでって定子さまの御前に侍ってて、定子さまが何か少しだけおっしゃったら…子どもみたいに遠慮がちで、返事の声の感じも聴こえそうもないくらいでね。すごく静かなのよ。
 女房がそこかしこに集まって座って、おしゃべりしてて、定子さまの御前を下がったり参上したりする衣擦れの音なんかはそんなに大きくないけど、あの人なんだね、ってわかるの。すごく奥ゆかしく感じるわね。


----------訳者の戯言---------

「殿ばら」とは、方々。殿たち。殿様方。身分の高い男性たち、また武士たち。をいう尊敬語だそうです。「殿方」って言うと、現代では男性について艶っぽく言う時に使ったりします。初期の壇蜜語ですね。「殿様」と言ってしまうとニュアンスとしては、江戸時代の大名になりますし。「殿」ってやっぱり時代劇なんですよ、現代人からしたら。もっと言うと、バカ殿です、志村の。亡くなりましたけど。
もしくはちょっと前、オフィス北野の頃、軍団とからんでた頃のたけしとかですね。

つまり、壇蜜かバカ殿かたけし。バラエティ色がめちゃくちゃ強い。それか時代劇。松平健とか渡辺謙とかですか。高橋英樹とか。もうちょっと若くて、モックンとかですかね。本田博太郎とかもアリですか。
「殿ばら」ね、なんとなく雰囲気はわかるんですが、訳し方、表現方法には困りますね。

「うちそよめく」の「そよめく」は、風とかが吹いて、さわさわと音がすることを表したようです。もう一つは、衣擦れや人の騒めきなどでかすかな音がするのをこう表しました。「うち」は接頭語です。

「おとなひ」は「音なひ」で、「音」「響き」、「様子」を言うこともあるそうです。「騒ぎ」「評判」を表現する場合もあったり。「訪ひ」の字をあてることもあるようで、これは「訪れ」の意味となるようです。
ここでは「音」のようですね。

なんか、ちょっと飽きてきましたが、「奥ゆかしいもの」あるあるです。
ん?あるあるですか? 全然共感しませんけどね。ま、今とは環境が違いますから、当然です。新人さんが遠慮がちなのもわかりますが、それはいつの世も同様です。そういう人もそうでない人もいるでしょう。

やたら衣擦れが出てきます。たぶん、静かな時に人が行き来すると、それが気になるのでしょう。YouTubeにアップされてるASMRにも「衣擦れの音」っていうのがありました。現代に清少納言がいたら、絶対これ好きでしょうね。というか彼女、ASMRにハマるタイプかもしれません。

というわけで、ひっかかるところもあまりないまま、④に続きます。


【原文】

 殿ばらなどには、心にくき新参(いままゐり)のいと御覧ずる際にはあらぬほど、やや更かしてまうのぼりたるに、うちそよめく衣のおとなひなつかしう、ゐざり出でて御前に候へば、ものなどほのかに仰せられ、子めかしうつつましげに、声のありさま聞こゆべうだにあらぬほどにいと静かなり。女房ここかしこにむれゐつつ、物語うちし、下りのぼる衣のおとなひなど、おどろおどろしからねど、さななりと聞こえたる、いと心にくし。

 

枕草子 (岩波文庫)

枕草子 (岩波文庫)

  • 作者:清少納言
  • 発売日: 1962/10/16
  • メディア: 文庫