枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

薄様色紙は

 薄様色紙は、白いの。紫。赤いの。刈安染(かりやすぞめ)。青いのもいいわ。


----------訳者の戯言---------

薄様というのは、和紙で、雁皮(がんぴ)を原料に、薄く漉いたものの通称でした。この雁皮紙(がんぴし)の薄様は貴族の女子たちに好んで用いられ、和歌や文書等を書き写したり、物を包んだり、あるいは子供の髪を結ぶ元結という紐にするための紙縒りなんかにしたそうですね。

雁皮というのはジンチョウゲ科の落葉低木で、樹皮の繊維を紙の原料としました。
平安時代には懐紙として、男性は厚様の檀紙(だんし)を使うことが多く、女性は薄様だったそうです。和歌なども男性は厚様の一枚に書いたのですが、女性は薄様を二枚重ねて書きました。上の紙には歌、下の紙には名前、という風に書いたみたいですね。手紙ももちろん二枚重ねで書きました。

以前、「五月の御精進のほど」という段にも少し書いていますが、二枚重ねにする時も上下の色を変えて、色を作ってその時その時の情趣を表したらしいですね。季節とか心情とかを重ね方で表現したのでしょう。


刈安染。刈安という植物の葉や茎を煮て黄色に染めたもので、日本の伝統色の一つです。綺麗なレモンイエローですね。刈安というのはイネ科ススキ属の多年草で、日本では飛鳥時代から染色に使われてきたそうです。奈良時代のものでしょうけれど、東大寺正倉院には実際に刈安で染めた「刈安紙」が今も保存されているらしいですね。


というわけで、薄様の色ことを書いています。白、紫、赤、黄、青。もはやほとんどの色です。ネタ切れの時期に書いたのかもしれません。


【原文】

 薄様色紙は 白き。紫。赤き。刈安染(かりやすぞめ)。青きもよし。