枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

綾の紋は

 綾の紋は、葵。かたばみ。霰(あられ)地。


----------訳者の戯言---------

葵は今でも上賀茂神社下鴨神社の神紋、つまりシンボルマークになっているように、賀茂神社を象徴するもの。賀茂祭葵祭と言いますしね。いずれにしても葵の葉っぱがデザイン的にもいかしてた、ということなのでしょう。
小葵という文様があるようで、これでしょうか。

今まさに「どうする家康」という、松潤が主役のドラマをやっていますが、徳川家の紋は、フタバアオイの葉をクローズアップして三枚配置した「三葉葵」とか「葵巴」とかと呼ばれる家紋ですね。水戸黄門でもおなじみのやつです。
徳川将軍家のこの「三葉葵」の家紋は、一説に上賀茂神社の神紋「二葉葵」と関係があるとも言われています。ドラマでは松平元康から家康に改名したところのようですが、徳川家になる松平氏の発祥地の松平郷っていうのは、賀茂神社神領で、松平氏は氏子だったのだそうです。


かたばみ(片喰)は酢漿草、鳩酢草とも書くそうです。茎や葉に蓚酸(シュウ酸)が含まれて酸っぱいのでこの漢字になったらしいです。この酸を利用して、カタバミの葉で鏡を磨いたり、皮膚病の薬にしたそうですね。
葉っぱの形はハート形で、当時は♡とは思わなかったでしょうけど、優雅な形ではあるので古くから人気はあったようです。カタバミは荒地や畑に群生する繁殖力の強い雑草の一種で、子孫繁栄を意味するとも言われてるようですね。

おそらくそこそこ有名な話だと思いますが、ももクロのシンボルマーク、あれはカタバミです。ももが4つと真ん中に四つ葉のクローバーらしきものがレイアウトされていますが、葉っぱがハート形ですから実はカタバミなんですね。クローバーは葉っぱが丸っこいです。ももいろクローバーZっていうアイドルのマークですからハート形、となってしまったんですかね。

カタバミカタバミ科、クローバーはマメ科なので分類上でも異なる植物です。三つ葉で這うように茂る感じはそっくりなので、たしかに見た目的にはややこしいです。


霰(あられ)地というのは、正方形のパターンを縦横に連続した地文です。霰に似ている?ってことなのでしょう。特に小形の市松文様を霰文と言いました。チェック柄のようにも思いますが、厳密に言うとチェックではありません。チェック柄というのは、直角に交差する線や四角形で構成された模様で、二色が交差して重なる部分があります。しかし、市松文様にはその重なりは無いんですよね。

この霰地に窠文(かもん)を浮き文として織り出した「窠に霰」は古くから有職(ゆうそく)模様として用いられた代表的なものの一つとされています。


というわけで、綾織の紋様はこんなのが素敵!ってことなのでしょうか。それとも綾織といえばこれがポピュラーだわ!ってことなのでしょうか。私はどっちでもいいんですが。


【原文】

 綾の紋は 葵。かたばみ。霰(あられ)地。