枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

硯の箱は

 硯の箱は、重ねて描かれた蒔絵に雲鳥(くもとり)の模様のものがいいわ。


----------訳者の戯言---------

重ねの蒔絵、というのがいくつも絵柄を重ねて描かれた蒔絵という意味合いなのか、二段重ねの箱に描かれた蒔絵なのか、解釈を迷ったのですが、私は「重ねて描かれた蒔絵」のほうが自然かなぁと思いました。

「雲鳥」というのは雲に鳥、特に鶴を配した文様です。雲鶴(うんかく)とも言い、織物にはよくあった紋様のようですね。これはその一例です。

漆器に付ける蒔絵の文様としての雲鶴にもいろいろなものがあるようです。ちなみに「雲鶴×硯箱」で画像検索をするとこのような検索結果となりました。上品なもののようですね。


というわけで、先日より自分で書きながら気になっていたのが「模様」「文様」「紋様」の違いです。どう違うのか?? 調べてみました。

広い意味で一般的に使う場合は「模様(もよう)」でいいのだそうです。で、美術・工芸における模様の様式を指す用語としては「文様(もんよう)」という慣用があり、中でも織物、染め物などの模様を「紋様(もんよう)」と呼ぶことがある、ということらしいですね。
スッキリしました。

清少納言的には硯箱はこういうのが好き!という段でした。


【原文】

 硯の箱は 重ねの蒔絵に雲鳥(くもとり)の紋。