枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

九月ばかり、夜一夜降り明かしつる雨の

九月の頃、一晩中明け方まで降った雨が、今朝は止んで、朝日がすごく鮮やかに射しはじめたんだけど、庭の植え込みの露がこぼれるほどに濡れかかってるのがとっても素敵な感じ。透垣(すいがい)の羅文(らもん)や軒の上なんかに張り巡らした蜘蛛の巣が破れ…

関白殿、黒戸より出でさせ給ふとて② ~中納言の君の~

中納言の君が、誰かの命日っていうことで、神妙にお勤めをなさってたんだけど、「その数珠を、ちょっとの間、お貸しください。お勤めをして、(関白殿みたいに)立派な身の上になりたいものですから」って借りようとしたら、女房たちは集まって笑うんだけど…

関白殿、黒戸より出でさせ給ふとて①

関白殿(藤原道隆)が黒戸よりご出発になるということで、女房が隙間なく侍っているのを、「ああ、素敵な女房たちだ、この老いぼれをどんなにか笑ってるだろうかね」って、かき分けて出てこられたから、戸口に近いところにいる女房たちが色々な袖口で御簾を…

八幡の行幸のかへらせ給ふに

帝が石清水八幡宮への行幸からお帰りになられる際に、女院の桟敷の向こうに御輿を停めてご挨拶なさったのなんか、とってもすばらしくて、そんな帝というお立場にもかかわらず、かしこまってご挨拶されるのが、かつてこの世では聞いたことないくらい素敵で、…

はしたなきもの

きまりが悪いもの。別の人を呼んだのに、私だわ…って思って出てった時。物なんかをいただく時だったらもっとバツが悪いわね。たまたま他人の噂話なんかしてdisってたのを、小さい子どもが聞いてて、当の本人がいるのにそれを話し出しちゃうのも。 悲しいこと…

修法は

加持祈祷は、奈良の系統がいいのよね。仏様の護身法なんかで明呪を唱え上げるのが、上品で尊いの。 ----------訳者の戯言--------- 「修法」というのは、密教の「加持祈祷」のことだそうです、簡単に言うと。単にお祈りするだけではなくて、結構複雑にいろい…

むとくなるもの

カッコ悪いものっていうと…。潮が引いた干潟に乗り上げてる大きな船。大きな木が風に吹かれて倒されて、根を上に向けて横倒れになってる様子。卑しい身分の者が従者を咎めてるのも。人妻がつまんない嫉妬なんかして、身を隠してたんだけど、彼が絶対に探し回…

はづかしきもの

こっちが恥ずかしくなっちゃうもの。男の心の中。目覚めのいい夜居の僧。コソ泥が物陰に隠れて見てるかもしれないのを誰が気づくのかしら?(気づかないでしょ) なのに暗闇にまぎれて、こっそりと物を盗る人もいるかもしれないわね。それって、コソ泥が自分…

暑げなるもの

暑苦しげなもの。随身の長の狩衣。衲(のう)の袈裟。出居にいる近衛府の少将。ものすごく太ってて、髪の毛が多い人。六、七月の加持祈祷で、日中のお勤めをしてる阿闍梨(あじゃり)。 ----------訳者の戯言--------- 随身(ずいじん)というのは、貴族の外…

わびしげに見ゆるもの

つらそうに見えるものというと…。6、7月のお昼頃から午後3時頃くらいに汚らしい車を貧相な牛に引かせて、ガタガタ揺らせながら行く者。雨が降らない日に雨除けの筵(むしろ)を張り巡らしてる牛車。すごく寒い時期、暑い頃なんかに身分の低い、身なりの悪い…

いみじう心づきなきもの

ものすごく気に入らないモノ。 祭や禊を男が見物するのに、たった一人で車に乗って見るなんて。どういうつもりなんでしょ。高い身分じゃなくたって、若い従者なんかで見たがってる者を連れて乗せればいいのにね。車の隙間からは中で一人ゆらゆら動いてるのが…

正月に寺にこもりたるは⑦ ~二月つごもり~

二月の終わりから三月一日にかけての頃、桜の花の盛りの時期に籠るのも趣があるわね。キレイな若い男のコたちとその主人だと思われる2、3人が、桜襲ねの狩衣、柳襲ねなんかをすごくいい感じに着てて、括り上げた指貫の裾も上品に見えるの。このお籠りの場に…

正月に寺にこもりたるは⑥ ~日うち暮るるほど詣づるは~

日が暮れる頃に参詣する人は、これからお籠りするのかしらね。小坊主たちが、普通じゃ持ち歩けそうにない大きな屏風で丈の高いのを、すごく上手に動かして、畳なんかを置いたのを見たと思ったら、すぐに部屋を作り上げて、犬防ぎに簾をさらさらっと掛けるの…

正月に寺にこもりたるは⑤ ~日ごろこもりたるに~

何日も籠ってるんだけど、はじめのうちはお昼は少しのんびりしてたの。僧侶の宿坊に、従者の男たちや女、子どもたちがみんな行ってしまって、退屈にしてたら、傍で法螺貝をいきなり吹き出したのにはすごくびっくりしたわ。きれいな立文(たてぶみ)をお供に…

正月に寺にこもりたるは④ ~犬防のかたより法師より来て~

犬防ぎ(いぬふせぎ)の方から僧侶がやって来て、「よくよく願をかけさせていただきました。何日ほどお籠りなさってるのでしょうか。今はこれこれの方がお籠りになってますよ」なんて言って、去っていったかと思うと、すぐに火鉢や果物なんかを次々に持って…

正月に寺にこもりたるは③ ~御あかしの~

仏壇のお灯明が常夜灯ではなく、内陣に別の人が奉納した灯明が恐ろしいくらい燃えてて、ご本尊がキラキラと輝いて見えるのは、とても尊くて、僧侶たちが手に手に願文を捧げ持って、礼盤で体をゆらゆら揺らしながら誓願をしてるんだけど、そんな風に全員で騒…

正月に寺にこもりたるは② ~内外許されたる若き男ども~

出入りが許されてる若い男たちや一族の人たちなんかがたくさん後ろに並んでて、「その辺は低くなってるところです。…高くなってますよ。」なんて教えながら進むのね。何者なんだろう、すごく近づいて歩いたり、先に行く者なんかに、「ちょっと待って。人がい…

正月に寺にこもりたるは①

正月に寺に籠る時は、すごく寒くて雪が降って冷え込むほうがいい感じなの。雨が降ってきそうな時っていうのは全然だめなのよね。清水寺なんかにお参りして部屋の準備ができるまでの間、階段のある長い廊下のところまで車を寄せて停めてたら、帯だけをした若…

あはれなるもの

しみじみとするもの。父母を敬い、父母に仕える人の子。で、身分の高い若い男子が御嶽精進してるの。部屋を隔てて、未明に礼拝しているのには、とてもしんみり感じ入ってしまうわ。親しい女性なんかが、目を覚ましてそれを聞いてるんだろうな、って想像しち…

冬はいみじう寒き

冬はすごく寒いの(がいい)、夏は今まで経験してないくらい暑いのがいいの。 ----------訳者の戯言--------- めちゃくちゃ寒いのとか、かつてないくらい暑いのが良い!と言い切ってます。中途半端なのはいらんということですね。四季ってそういうもんでしょ…

描きまさりするもの

絵に描くと実物より勝ってるもの…。松の木、秋の野、山里、山道。 ----------訳者の戯言--------- 前の段の続きというか、対になってる段です。 今回は率直な感想というのがなかなか思い浮かばないというか、そんなもんなのかなぁという感じです。 たしかに…

絵にかきおとりするもの

絵に描くと見劣りするものっていうと…。なでしこ、菖蒲、桜。物語で素晴らしいと言われてる男や女のルックス。 ----------訳者の戯言--------- そりゃ、絵に描いたのより実物でしょ、ってこと。特にそういった傾向の強いものを挙げて見ました、と。 花はいざ…

つねよりことにきこゆるもの

普段とは違って聴こえるもの。正月の牛車の音、それから、鶏の鳴き声、まだ暗いうちに聴こえる咳、楽器の音はいうまでもないわ。 ----------訳者の戯言--------- 暁(あかつき)というのは、まだ暗いうちの夜明けを言うようですね。文字通り、未明のことです…

うづきのつごもりがたに

4月の終わり頃に初瀬(長谷寺)に参詣に行く時、淀の渡りっていうのを体験したんだけど、舟に車を担いでしっかり載せて、舟を進めてって。菖蒲や菰(=真菰/マコモ)なんかの先端が水面から短く見えてるのを取らせたら、すごく長かったの。川をその菰を積ん…

原は

原っていうと、あしたの原、粟津の原、篠原。萩原。園原。 ----------訳者の戯言--------- あしたの原は、漢字では「朝原」「朝の原」と書くそうです。「奈良県北西部、北葛城郡王寺町から香芝市にかけての丘陵」と出ていました。 はたまた。この辺りに相違…

森は

森は…というと、浮田の森、うへ木の森、岩瀬の森、立聞の森。 ----------訳者の戯言--------- 浮田の森は、奈良県五條市今井町荒木山の荒木神社の森のことを言ったのだそうです。「浮田杜」または「浮田の杜」と書かれたようですね。このあたり一帯の荒木神…

関は

関っていうと…。逢坂の関、須磨の関、鈴鹿の関、岫田の関、白河の関、衣川の関。ただごえの関(ただそのまま越えるだけの関)は、はばかりの関(躊躇する関)とは、比べようがないなって思うわ。横はしりの関。清見が関。みるめの関。よしよしの関っていうの…

いひにくきもの

言いにくいもの。人からの便りの中に身分の高い方のおっしゃった言葉なんかがたくさん書かれてるのを、最初から最後まで全部言うのは難しいわ。こっちが恥ずかしくなるくらい立派な人が、物なんかを送ってきた時の返事もね。大人になった子どもの思いがけな…

見苦しきもの

見苦しいもの。っていうと、衣の背中の縫い目を肩の方に寄せて着るの。また、抜き衣紋の着方をしてるのもね。 慣れてない人の前に子供をおぶって出てきた人。僧侶や陰陽師が紙冠を着けてお祓いをしてるところもだわ。 色黒で醜くって添え髪をした女と、髭面…

方弘は、いみじう人に笑はるるものかな

方弘(まさひろ)はすごく人に笑われる人なのよ。親なんかはなんて思って聞いてるかしらね。 方弘ときたら、お供をしている者の中からとってもデキる人を呼び寄せて、「どうしてこんな者に使われてるんだい? どう思ってるの?」なんて言って、笑うの。 衣装…