枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、「わかりやすい」「初心者向け」となっているとは思いますがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

物のあはれ知らせ顔なるもの

情けない気持ちが伝わってくる顔っていうと…。鼻水を垂らし、ひっきりなしに鼻をかみながら話してる声。眉を抜いてる顔。 ----------訳者の戯言--------- 「物のあはれ」と言えば「源氏物語」というのが定番で、「あはれ」といえば概ね、悲しみやしみじみし…

里にまかでたるに④ ~かう語らひ~

こうして語り合い、お互いに世話を焼いたりなんかするうちに、どうこうすることもなかったけど少し仲が悪くなってて、その頃、彼が手紙をよこしてきたの。「都合の悪いことなんかがあっても、やっぱりかつては夫婦だったことは忘れないで、全然別の場所に離…

里にまかでたるに③ ~さて、のち来て~

それから後日になって、彼が来て、「あの日の夜は責め立てられて、何となく適当な所をお連れして歩いたんだ。本気で非難されるもんだから、めちゃくちゃ辛くてさ。ところで、どうしてあの時どうするかご返事がなくって、ワケわかんない布=海藻の切れっ端な…

里にまかでたるに② ~夜いたくふけて~

すごく遅い深夜の時間帯になって、門をめちゃくちゃドンドン大げさにたたくもんだから、何だってこんなに遠慮なく、広くもない家の門をでっかい音でたたくんだろ?って思って、聞きに行かせたら、滝口の武士だったの。「左衛門の尉(橘則光)からです」って…

里にまかでたるに①

里帰りしてる時に、殿上人なんかがやってくると、穏やかじゃない噂を人々はするもののようなの。でも私、かなりちゃんと考えて行動してて、むやみに引きこもってるっていう感じでもないから、そんな風に言われたって別に腹も立たないんだけどね。それに、昼…

かへる年の二月廿余日⑤ ~暮れぬれば参りぬ~

日が暮れてから、私は御前に参上したの。御前にはすごくたくさんの人がいて、帝付きの女房も来てて、「物語」の良し悪し、嫌いなところなんかを議論したり、批判したりしてるのよね。 で、源凉(みなもとのすずし)や藤原仲忠(ふじわらのなかただ)なんか(…

かへる年の二月廿余日④ ~職へなむ参る~

(頭の中将が)「『中宮職』の庁舎に参上するんだけど、伝言はありますか? あなたはいつ参上されるんです?」なんておっしゃって。「それにしても昨日は夜を明かさずに帰ってきてね、時間帯的にそれはまぁそれで仕方無いっちゃ仕方無い部分もあるだろうけど…

かへる年の二月廿余日③ ~御前の梅は~

梅壺の前庭の梅は、西のは白く東のは紅梅で、少し散りかかってるけど、まだいい風情で。うららかな日差しがのどかで、人に見せたくなるほどなのよね。 御簾の内側が、もっと若々しい女房なんかが、髪がうるわしくこぼれかかって……なんて物語で語られるような…

かへる年の二月廿余日② ~久しう寝起きて下りたれば~

いっぱい寝て、起きて自分の部屋に戻ったら、「昨日の晩、どなたかがすごく戸を叩かれたから、やっとのことで起き上がって応対したところ、『上に行っていらっしゃるのですか、だったら、かくかくしかじか申し上げてくれないかな』ってことだったんですけど…

かへる年の二月廿余日①

翌年の二月二十日を過ぎた時、定子さまが職の御曹司にお出かけになるお供をせずに、私が梅壺に残っていた次の日、頭の中将(藤原斉信)からお手紙が来て、「昨日の夜、鞍馬寺に参詣しに来たのだけど、今夜は方角が悪いので、方違えするつもりです。夜明け前…

頭の中将の、すずろなるそら言を聞きて⑤ ~物語などしてゐたるほどに~

そうして、おしゃべりなんかしていたら、「ちょっと」って中宮さまに呼ばれたから、御前に参上したところ、ちょうどこの件をお話しなさってるところだったの。「帝がこちらにおいでになって、お話して聞かせてくださったの。男の人たちはみんなあの返歌を扇…

頭の中将の、すずろなるそら言を聞きて④ ~みな寝て、つとめて~

みんな寝てしまって、翌日は早朝から局に下がってたんだけど、中将の源宣方の声で「ここに『草の庵』はいます?」って、大げさに言ってきたもんだから、「変なのー。なんでそんなみすぼらしげな者がいるっていうの? いないわよ。『玉の台(うてな)』って言…

頭の中将の、すずろなるそら言を聞きて③ ~蘭省花時錦帳下と書きて~

蘭省花時錦帳下 って書いて、「これに続く後の句はどうでしょうか?」と書いてあるんだけど、どうやって返事すべきなんでしょ。中宮さまがいらっしゃったらお見せして相談もするんだけど、これ、いかにも知った風な顔で、下手な漢字を書いたりしても、かなり…

頭の中将の、すずろなるそら言を聞きて② ~長押の下に~

女房たちはみんな長押の下で、灯を近くに取り寄せて、「扁つき」の遊びをしているのよ。「まあ、うれしい。早くおいでなさい」なんて、私を見つけて言うんだけど、私はガッカリな気分になって、何で参上しちゃったんだろうって思ったの。炭櫃(火鉢)のそば…

頭の中将の、すずろなるそら言を聞きて①

頭の中将(藤原斉信)がいい加減な嘘っぱち話を聞いて、めちゃくちゃ私のことをdisってね、「『どうして一人の人として認めて誉めてたんだか』なんて、殿上の間でめちゃくちゃヒドいコトおっしゃってたんだ」って。そんなの聞いたりするだけでも、恥ずかしく…

御仏名のまたの日

御仏名の次の日、地獄絵の屏風を持ってきて、帝が中宮さまにご覧に入れて差し上げたの。これ以上ないっていうぐらいハンパなく超恐怖でね。中宮さまは「これ見て、これ見てみ」っておっしゃるんだけど、「もうこれ以上見れませんー」って、めっちゃ怖すぎで…

ここちよげなるもの

気持ちよさげにしてるものっていうと、卯杖を携えた法師。御神楽の人長。神楽の振幡とかを持ってる人。 ----------訳者の戯言--------- 卯杖の法師って何?で、まず卯杖です。「正月初の卯の日に、魔よけの具として用いる杖」とデジタル大辞泉にありました。…

あぢきなきもの

しょーもないもの。わざわざ自分から思い立って宮仕えに出たのに、気持ちが塞いじゃって、お勤めが面倒だなぁって思うようになってるヒト。養子の顔が不細工なの。気が進まない人を、無理やりお婿さんにしておいて、思ってたのと違うわぁ、って嘆いてるのも…

職の御曹司におはします頃、木立など

職の御曹司に定子様がいらっしゃった頃、木立なんかはずいぶん古びてて、建物の様子も高くてね。ひと気がなくって、もの寂しいんだけど、なんとなくいい感じなの。母屋は鬼が棲みついてるって言われてるから、間を置いて南側にスペースをつくって、南の廂の…

まいて、臨時の祭の調楽などは

まして、賀茂の臨時祭の調楽(リハーサル)の頃なんかには、すごくいい感じなのね。主殿寮(とのもり/とものりょう)の役人が長い松明(たいまつ)を高く灯して、首をすくめて歩いて行くと、先が何かにつっかえそうになって。ステキなパフォーマンスで、笛を…

内裏の局、細殿いみじうをかし

宮中の女子スタッフの部屋、局の中では特に「細殿」がとってもすばらしいの。上の蔀を上げてあるので、風がいっぱい吹き込んできて、夏でもすごく涼しいのよね。冬は雪や霰(あられ)なんかが風といっしょに降り込んでくるのもとってもいい感じ。狭くって、…

ありがたきもの

めったにないものっていうと…。 舅にほめられる婿。それと、姑に好意をもってもらえるお嫁さん。毛がよく抜ける銀製の毛抜き。主人のことを悪く言わない従者。 それから、全然欠点の無い人も。ルックスも気持ちもとってもきれいで、世間とのかかわりを続けて…

懸想人にて来たるは

恋人として来るのは言うまでもなく、単におしゃべりをするだけの人でも、また、そんなでもなく、ただたまたま来ただけの人であっても、簾の中に他の女子たちもいっぱいいておしゃべりしてるところに入ってきて、座って、すぐには帰りそうもないとき、お供の…

しのびたる所にありては

人目を忍ぶところでは、夏がいちばんいい感じ。とっても短い夜が明けていくんだから、結局一睡もしないでね。そのままどの部屋も全部開けっ放しにして過ごしてたから、一面涼しく見渡せるのよ。それでもやっぱり、もうちょっとお話ししたいことがあって、お…

夜烏どものゐて

夜烏たちが木にとまってて、夜中頃に寝ぼけて騒いでるの。木から落ちそうになって慌てて、枝づたいに歩いて、寝起きの声で鳴くのは、昼間の様子とは違ってて面白いわね。 ----------訳者の戯言--------- 私だけの感想に違いないんですが、これはイーハトーブ…

たとしへなきもの

比べようのないもの。夏と冬。夜と昼。雨が降る日と晴れてる日と。人が笑うのと腹立つのと。老人と若者。白いのと黒いのと。 好意を持ってる人と憎ったらしい人と。同じ人でも、自分に愛情がある時と心変わりした時とでは、ホント別人だって思うわ。 火と水…

おぼつかなきもの

心細くなるものというと…。12年の山籠もりをしている僧侶の母親。知らない人の所へ闇夜に出かけて行った時、「あんまり目立っちゃうのもどうかな」って、明かりも灯さないで、それでも並んで座ってるの。 最近仕えるようになった者なんだけど、まだ彼の人間…

歌の題は

歌の題は、都。葛。三桟草(みくり)。駒。霰(あられ)。 ----------訳者の戯言--------- 前の段も意図がよくわからなかったんですが、この段もまた別の意味でよくわかりません。どういう趣旨で選んだのか、と思う人がほとんどではないでしょうか。毎度のこ…

集は

歌集は、(古)万葉集と古今和歌集ですね。 ----------訳者の戯言--------- 「古万葉」というからには、「新万葉」があるのか?という疑問もおありかと思いますが、実はあります、「新撰万葉集」。これは、かの菅原道真撰の私撰集だそうです。巻数とか収めら…

草の花は

草の花というと、まず撫子。唐のはもちろんだけど、日本のもとっても素晴らしいわね。おみなえし(女郎花)。桔梗。あさがお(朝顔)。かるかや(刈萱)。菊。つぼすみれ(壺菫)。 竜胆(りんどう)は、枝ぶりなんかは見苦しいんだけど、他の花がみんな霜で…