枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

たのもしきもの

頼もしいものは…。病気の時、お供の僧侶をたくさん連れて加持祈祷をすること。気分がすぐれない時にとても誠実な恋人が言葉をかけて慰めてくれるの。 ----------訳者の戯言--------- 今回は頼もしく思えること、心強いもの二例です。 病気のことは「心地悪し…

せめておそろしきもの

ものすごく恐ろしいもの。夜に鳴る雷。近い隣の家に泥棒が入ったの。自分が住むところに来た時のは、全然覚えてないもんだから、何とも思わないわ。 近所の火事、これまた恐ろしいのよ。 ----------訳者の戯言--------- 「せめて」。すごく甚だしい様子を言…

いみじうきたなきもの

めちゃくちゃ汚いもの。なめくじ。粗末な板敷きを掃く箒(ほうき)の先っぽ。殿上の合子。 ----------訳者の戯言--------- ナメクジもえらい言われようだと思います。もっと汚いものはあるだろうに。 ナメクジ(蛞蝓/かつゆ)というのは、陸に生息する巻貝の…

文ことばなめき人こそ

手紙の言葉が失礼な人は憎ったらしいわ。世間をテキトーに舐めた考えで書き流した言葉が憎ったらしいこと!! さほど身分が高くない人のところに、あまりにもかしこまったのを送るのも、たしかにいけないことよね。でも自分が失礼な手紙をもらった時はもちろ…

ことに人に知られぬるもの

特別、人に気にされてないもの。凶会日(くえにち/くえび)。人の母親が年老いていくの。 ----------訳者の戯言--------- 人に知られぬるもの。理解されないというか、気にも留めてもらえないというか。そういうことだと思います。 凶会日(くえにち)という…

ただ過ぎに過ぐるもの

すぐ過ぎてっちゃうもの。帆をかけた舟。人の年齢。春、夏、秋、冬。 ----------訳者の戯言--------- まあそうですかねぇ、という感想しかありません。 兼好法師も「徒然草」第百五十五段では物事の「タイミングとスピード」について書いています。結論めい…

さかしきもの

小賢しいもの。今どきの三歳児。幼児の祈祷をしてお腹なんかを揉んでる女。いろんな道具を出してもらって祈祷用のモノを作るんだけど、紙をたくさん重ねて全然切れ味のよくない刀で切る様子は、1枚だって切れそうもないのに、そうすることに使う道具に決まっ…

ことばなめげなるもの

言葉が無礼なものは…。宮咩(みやのめ)の祭文を読む人。舟を漕ぐ者たち。雷鳴の陣の舎人。相撲を取る人。 ----------訳者の戯言--------- 「なめげなり」は「無礼だ」「失礼だ」ということらしいです。「なめげ」は漢字では「無礼気」と書くそうですが、後…

ないがしろなるもの

いい加減なもの。女官たちが髪をアップにしてる姿。唐絵に描かれてる革の帯の後ろ。聖(ひじり)の振る舞い。 ----------訳者の戯言--------- ないがしろなり。です。「ないがしろ」は漢字で書くと「蔑ろ」で、軽蔑の蔑ですね。今は。 ただ、昔は「無きが代…

さわがしきもの

騒がしいものっていうと…。跳ねる火の粉。板葺き屋根の上でカラスが斎(とき)の生飯(さば)を食べるの。十八日に、清水寺に籠り合ってるの。 暗くなって、まだ火を灯さない頃に、よそから人が来あわせた時。まして遠いところにある地方の国から家の主人が…

雲は

雲は、白いの。紫の。黒いのもいい感じね。風が吹く時の雨雲。 夜が明ける頃の黒い雲が、だんだん消えてってあたりが白んでいくのもすごくいいの。「朝に去る色」とかっていうのは、漢詩にもなってるようだわね。 月がすごく明るい表面に薄い雲、って、しみ…

星は

星は、昴(すばる)。彦星。夕づつ。よばい星は少しおもしろいわ。尾さえなかったら、もっといいんだけどね。 ----------訳者の戯言--------- すばる。昂です。あの谷村新司の歌った昴。自動車メーカーのスバルを思い起こす人もいらっしゃるでしょうね。牡牛…

月は

月は、有明の月が東の山ぎわに細い形で出てる時が、すごくしんみりといい感じなの。 ----------訳者の戯言--------- 「有明」というのは有明月。有明の月ですね。以前も書きましたが、夜が明けても残ってる月のことを言います。また、夜が明けても月が残って…

日は

日は、入り日ね。日が沈み込んでしまった山の端に、光がまだ残ってて赤く見えてるところに、薄い黄色っぽくなった雲がたなびいている様子には、すごくしんみりしちゃうの。 ----------訳者の戯言--------- 日は日没のがいいと言ってます。というか、日そのも…

雪は

雪は、檜皮葺(ひわだぶき)の屋根に降るのがすごく素敵なの。少し消えそうになっている時がね。また、そんなに多くも降らない雪が、瓦の継ぎ目の一つ一つに入り込んで、瓦が黒く丸く見えるのが、とても面白いのよね。 時雨(しぐれ)、霞(あられ)は、板葺…

降るものは

降るものは、雪。そして霰(あられ)。 霙(みぞれ)はイヤなものだけど、白い雪が混じって降るのはいかしてるわ。 ----------訳者の戯言--------- 今回は「降るもの」です。降るものといえば雨と雪と霰(あられ)、霙(みぞれ)、あとは雹(ひょう)ぐらい…

岡は

岡は、船岡(ふなおか)。片岡。鞆岡(ともおか)は、笹が生えてるのがいかしてるわ。かたらいの岡。人見の岡。 ----------訳者の戯言--------- 船岡は現在の船岡山です。京都市北区にありますが、これまでにも何度か出てきました。「野は」の段でも紹介しま…

細殿の遣戸を

細殿の遣戸をめちゃくちゃ朝早い時間帯に押し開けたら、御湯殿(おゆどの)の馬道から下りてくる殿上人の着崩れした直衣、指貫がひどく綻(ほころ)んでて、色々な衣がはみ出してるのを押し込んだりなんかして、北の陣のほうに歩いてくんだけど、開いてる戸…

雪高う降りて

雪が高く積もるぐらい降って、今も相変わらず降り続いてるんだけど、五位の人も四位の人も端正で若々しい人が袍(うへのきぬ)の色がすごくキレイで、石帯(せきたい)の痕(あと)がついてるのを、宿直姿(とのいすがた)の腰にたくし上げて。紫の指貫も雪…

身をかへて、天人などは

生まれ変わって天人になるなんていうのはこういうことなのかしら?って見えるものは、普通の女房としてお仕えしてる人が御乳母になった場合ね。唐衣(からぎぬ)も着ないで、裳(も)だって、オーバーに言うとしたら着けてないような格好で、御前で添い寝を…

一条の院をば今内裏とぞいふ② ~すけただは木工の允にてぞ~

藤原輔尹(すけただ)は木工寮の允(じょう=三等官)だった人で、蔵人になったの。すごく荒々しくって異様な感じだから、殿上人や女房が「あらはこそ」ってあだ名を付けてたの、それを歌にして、「比類なきお方だこと~、尾張の人の子孫なんだから~」って…

一条の院をば今内裏とぞいふ①

一条院を今内裏(いまだいり)って言うの。帝がいらっしゃる御殿は清涼殿で、その北にある御殿に定子さまはいらっしゃるのね。西と東には渡り廊下があって、帝はこの廊下をお渡りになって、定子さまから参上なさる通り道にもなり、前には中庭があるから植え…

蟻通の明神⑤ ~この中将をいみじき人におぼしめして~

この中将をすごく重要な人だってお思いになって、「何を褒美として取らせ、どんな官位を授けたらいいのだろうね?」って帝はおっしゃったんだけど、「これ以上の官も位もいただかなくていいです。ただ、年老いた父母が身を隠していなくなってるのを捜しあて…

蟻通の明神④ ~ほど久しくて~

そのあと、しばらく経ってから、小さい玉に七曲りに曲がりくねった穴が中を通って左右に貫通してるのを献上されて、「これに糸を通していただけますか、私たちの国ではみんなやってることです」って奏上したんだけど、「どんな熟達の者だってお手上げですよ…

蟻通の明神③ ~また二尺ばかりなる蛇の~

また、二尺(約60cm)くらいの長さの蛇で全く同じ長さのを「これはどっちが男でどっちが女なん?」って献上してきたの。またもやみんな見分けがつかないのね。そこで例の中将がまた親のところに来て尋ねたら、「二つを並べて、尻尾の方に細い小枝を近づけた…

蟻通の明神② ~唐土の帝~

中国の皇帝がこの国の帝を何とかして騙して日本を征服しようって、いつも試し事をして、争い事をしかけてきてはプレッシャーをかけてこられるんだけど、ツヤツヤしてて丸くってキレイに削った木の二尺(約60cm)ほどあるのを、「これの上っ側と最後尾『末』…

蟻通の明神①

蟻通(ありとおし)の明神は、紀貫之の馬が倒れた時、この明神が病気になさったのだって歌を詠んで奉納したっていうの、すごくいかしてるわよね。 じゃあこの蟻通っていう名前をつけたお話は、本当だったのかしら?? 昔いらっしゃった帝が、ただ若い人だけ…

社は

社(やしろ)っていうと、布留(ふる)の社。生田(いくた)の社。丹比(たび)の御社(みやしろ)。花ふちの社。杉の御社は、霊験(れいげん)があるのかな?って思ったら、いい感じに思えるわ。ことのままの明神はすごく頼もしいわね。でも「そんな風に聞…

駅は

駅(うまや)は。梨原(なしはら)。望月の駅。野磨(やま)の駅は、しみじみいい話があったのを聞いてたんだけど、またしんみりしちゃう切ない出来事があったから、やっぱりいろんなことを考え合わせてしみじみ感動しちゃうの。 ----------訳者の戯言------…

清水にこもりたりしに

清水寺に籠ってた時に定子さまがわざわざお使いを寄越されて、お手紙をいただいたんだけど、唐の紙の赤っぽいのに仮名書きで、 「山ちかき入相(いりあひ)の鐘の声ごとに恋ふる心の数は知るらむ(山に近いお寺の夕暮れの鐘の音が一つ鳴るごとに、あなたを恋…