枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

つれづれなぐさむもの

退屈なのを紛らわせるものっていうと…。碁。双六。おしゃべり。三つか四つの幼児がかわいく何か言ってるの。それに、とっても小さな子どもが何かおしゃべりをして、間違ったことなんかをしちゃってる様子も。果物。男なんかで、冗談を言ったりして、よくしゃ…

つれづれなるもの

手持ち無沙汰で退屈なもの。自宅じゃなく他所に移ってやる物忌み。駒が進まない双六(すごろく)。除目で官職を得られなかった人の家。雨が降ってるのは、なおさらすごく所在なげなのよね。 ----------訳者の戯言--------- やることがなくて暇。とか、手持ち…

円融院の御はての年② ~それを二つながら持て~

それを二つとも持って、急いで参上して、「こういうことがございました」って、帝もいらっしゃる御前で語り申し上げなさったのね。定子さまは、とってもさりげなくご覧になって、「藤大納言が書いた字ではないようですね。法師のでしょう。昔の鬼の仕業だと…

円融院の御はての年①

円融院の喪(諒闇)が明けた年、女房もみんな喪服を脱いだりして、しんみりとした感じで、宮中をはじめとして院にお仕えしてた人も、「花の衣に」なんて言われた時代のこととかに思いを馳せて、しみじみしてたんだけど、雨がすごく降るある日のこと、藤三位…

五月ばかり、月もなういと暗きに② ~まめごとなども言ひあはせてゐ給へるに~

真面目な話なんかも、私とお話しなさってたら、「植えてこの君と称す~」って吟じながらまた殿上人たちが集まってきたもんだから、彼(行成)、「殿上の間で話し合って予定してた本来の目的も果たさないで、どうしてお帰りになっちゃったのか、不思議だった…

五月ばかり、月もなういと暗きに①

五月頃、月もなくてとても暗い夜、「女房はいらっしゃいます?」って大勢の声で言ってたもので、定子さまが「出てって見て来て。いつもと違って、あんな大声で言ってるのは誰なのかしら?」っておっしゃるから、「その声は誰ですか? すごく大げさで目立ちま…

頭の弁の、職に参り給ひて② ~さて、逢坂の歌はへされて~

そのあと、逢坂の歌には圧倒されて、返歌もできないままになっちゃったの。かなりダメよね。「でさ、あの手紙は殿上人がみんな見ちゃったんだよね」っておっしゃるから、「ほんとに私のことを思ってくれてたんだって、それを聞いてよくわかりましたよ♪ 素晴…

頭の弁の、職に参り給ひて①

頭の弁(藤原行成)が、中宮職の庁舎に参上されて、私とお話しなんかなさってたんだけど、そのうち夜もすっかり更けてしまったの。「明日は御物忌だから、籠ってないといけないし、丑の刻にまでなったらまずいだろうなー」って、宮中に参内なさったのね。 早…

故殿の御ために② ~わざと呼びも出で~

わざわざ呼び出したりして、会う度に「何で私とマジで親密に語り合ってくださらないのかな? さすがに私を嫌いだと思ってるわけじゃない、ってことはわかってるんだけど、すごく疑問に思ってるんだ。こんなに何年も経ってる懇意の知人同士が、よそよそしいま…

故殿の御ために①

今は亡き道隆さまのために毎月10日、定子さまはお経や仏像などをご供養なさってたんだけど、9月10日には職の御曹司(中宮職の庁舎)でそれを行われたの。上達部や殿上人がとてもたくさんいてね。清範(せいはん)が講師で、そのお説法がまあ、すごく悲しい内…

などて、官得はじめたる六位の笏に

「どうして官位を得たばかりの六位の人の笏(しゃく)に、職の御曹司(中宮職の庁舎)の東南の隅の屋根付き土塀の板を使ったんでしょ?? それなら、西や東の板も使ったらいいのにー」なんてことを言いだして、「つまんないことをイロイロねー。着る物とかに…

頭の弁の御もとより

頭の弁(藤原行成)のところから、主殿司(とのもりづかさ)が絵みたいなものを、白い色紙に包んで、梅の花がきれいに咲いたのに付けて持って来たの。絵なんだろうかな?って急いで受け取って見たら、餅餤っていうものを2個並べて包んでたのね。添えられてた…

二月、官の司に

二月に太政官の庁舎で、定考(こうじょう)っていうことをするようなんだけど、どんなことなのかしら。孔子の肖像画なんかをお掛けしてお祀りするらしいんだけどね。聡明って言って、帝にも中宮さまにも、奇妙な形のものなんかを器に盛って差し上げるの。 --…

七日の日の若菜を

正月七日の日の若菜を、六日に人が持ってきて騒いで、取っ散らかしたりしてたら、見たこともない草を子どもが取ってきたのを、「これは何て言う草なの?」って聞いたら、すぐには答えないで、「さぁ??」なんて、お互いに顔を見合わせて、「耳無草(みみな…

九月ばかり、夜一夜降り明かしつる雨の

九月の頃、一晩中明け方まで降った雨が、今朝は止んで、朝日がすごく鮮やかに射しはじめたんだけど、庭の植え込みの露がこぼれるほどに濡れかかってるのがとっても素敵な感じ。透垣(すいがい)の羅文(らもん)や軒の上なんかに張り巡らした蜘蛛の巣が破れ…

関白殿、黒戸より出でさせ給ふとて② ~中納言の君の~

中納言の君が、誰かの命日っていうことで、神妙にお勤めをなさってたんだけど、「その数珠を、ちょっとの間、お貸しください。お勤めをして、(関白殿みたいに)立派な身の上になりたいものですから」って借りようとしたら、女房たちは集まって笑うんだけど…

関白殿、黒戸より出でさせ給ふとて①

関白殿(藤原道隆)が黒戸よりご出発になるということで、女房が隙間なく侍っているのを、「ああ、素敵な女房たちだ、この老いぼれをどんなにか笑ってるだろうかね」って、かき分けて出てこられたから、戸口に近いところにいる女房たちが色々な袖口で御簾を…

八幡の行幸のかへらせ給ふに

帝が石清水八幡宮への行幸からお帰りになられる際に、女院の桟敷の向こうに御輿を停めてご挨拶なさったのなんか、とってもすばらしくて、そんな帝というお立場にもかかわらず、かしこまってご挨拶されるのが、かつてこの世では聞いたことないくらい素敵で、…

はしたなきもの

きまりが悪いもの。別の人を呼んだのに、私だわ…って思って出てった時。物なんかをいただく時だったらもっとバツが悪いわね。たまたま他人の噂話なんかしてdisってたのを、小さい子どもが聞いてて、当の本人がいるのにそれを話し出しちゃうのも。 悲しいこと…

修法は

加持祈祷は、奈良の系統がいいのよね。仏様の護身法なんかで明呪を唱え上げるのが、上品で尊いの。 ----------訳者の戯言--------- 「修法」というのは、密教の「加持祈祷」のことだそうです、簡単に言うと。単にお祈りするだけではなくて、結構複雑にいろい…

むとくなるもの

カッコ悪いものっていうと…。潮が引いた干潟に乗り上げてる大きな船。大きな木が風に吹かれて倒されて、根を上に向けて横倒れになってる様子。卑しい身分の者が従者を咎めてるのも。人妻がつまんない嫉妬なんかして、身を隠してたんだけど、彼が絶対に探し回…

はづかしきもの

こっちが恥ずかしくなっちゃうもの。男の心の中。目覚めのいい夜居の僧。コソ泥が物陰に隠れて見てるかもしれないのを誰が気づくのかしら?(気づかないでしょ) なのに暗闇にまぎれて、こっそりと物を盗る人もいるかもしれないわね。それって、コソ泥が自分…

暑げなるもの

暑苦しげなもの。随身の長の狩衣。衲(のう)の袈裟。出居にいる近衛府の少将。ものすごく太ってて、髪の毛が多い人。六、七月の加持祈祷で、日中のお勤めをしてる阿闍梨(あじゃり)。 ----------訳者の戯言--------- 随身(ずいじん)というのは、貴族の外…

わびしげに見ゆるもの

つらそうに見えるものというと…。6、7月のお昼頃から午後3時頃くらいに汚らしい車を貧相な牛に引かせて、ガタガタ揺らせながら行く者。雨が降らない日に雨除けの筵(むしろ)を張り巡らしてる牛車。すごく寒い時期、暑い頃なんかに身分の低い、身なりの悪い…

いみじう心づきなきもの

ものすごく気に入らないモノ。 祭や禊を男が見物するのに、たった一人で車に乗って見るなんて。どういうつもりなんでしょ。高い身分じゃなくたって、若い従者なんかで見たがってる者を連れて乗せればいいのにね。車の隙間からは中で一人ゆらゆら動いてるのが…

正月に寺にこもりたるは⑦ ~二月つごもり~

二月の終わりから三月一日にかけての頃、桜の花の盛りの時期に籠るのも趣があるわね。キレイな若い男のコたちとその主人だと思われる2、3人が、桜襲ねの狩衣、柳襲ねなんかをすごくいい感じに着てて、括り上げた指貫の裾も上品に見えるの。このお籠りの場に…

正月に寺にこもりたるは⑥ ~日うち暮るるほど詣づるは~

日が暮れる頃に参詣する人は、これからお籠りするのかしらね。小坊主たちが、普通じゃ持ち歩けそうにない大きな屏風で丈の高いのを、すごく上手に動かして、畳なんかを置いたのを見たと思ったら、すぐに部屋を作り上げて、犬防ぎに簾をさらさらっと掛けるの…

正月に寺にこもりたるは⑤ ~日ごろこもりたるに~

何日も籠ってるんだけど、はじめのうちはお昼は少しのんびりしてたの。僧侶の宿坊に、従者の男たちや女、子どもたちがみんな行ってしまって、退屈にしてたら、傍で法螺貝をいきなり吹き出したのにはすごくびっくりしたわ。きれいな立文(たてぶみ)をお供に…

正月に寺にこもりたるは④ ~犬防のかたより法師より来て~

犬防ぎ(いぬふせぎ)の方から僧侶がやって来て、「よくよく願をかけさせていただきました。何日ほどお籠りなさってるのでしょうか。今はこれこれの方がお籠りになってますよ」なんて言って、去っていったかと思うと、すぐに火鉢や果物なんかを次々に持って…

正月に寺にこもりたるは③ ~御あかしの~

仏壇のお灯明が常夜灯ではなく、内陣に別の人が奉納した灯明が恐ろしいくらい燃えてて、ご本尊がキラキラと輝いて見えるのは、とても尊くて、僧侶たちが手に手に願文を捧げ持って、礼盤で体をゆらゆら揺らしながら誓願をしてるんだけど、そんな風に全員で騒…