七月ばかりに
七月頃、風が強く吹いて雨が土砂降りになった日、おおむねすごく涼しいから、扇であおぐのも忘れて。汗の臭いが少しだけする薄い綿入りの衣をかぶってお昼寝するのはすごくいい気分なの。
----------訳者の戯言---------
旧暦七月というと、おおよそ今の8月~9月ぐらいなんですが、初秋、残暑厳しい頃と言えると思いますし、少し涼しくなってくる頃でもあります。
「七月ばかりいみじう暑ければ」では、まだまだとても暑い、という記述がありました。タイトル(冒頭部分)は似ていますが、内容はだいぶ違います。
【原文】
七月ばかりに、風いたう吹きて、雨などさわがしき日、大方いと涼しければ、扇もうち忘れたるに、汗の香少しかかへたる綿衣(わたぎぬ)の薄きを、いとよく引き着て昼寝したるこそをかしけれ。