枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

檳榔毛はのどかに

 檳榔毛の車はゆったりと行かせるの。急いで走らせるのはみっともなく思えるわね。

 網代車は速く走らせるのがいいのよ。人の門の前などを通っていくんだけど、ふと見るスキもなく通り過ぎて、お供の人だけが走ってくのを「誰なのかな?」って思うのが、いい感じなのよね。時間ばっかかけてノロノロと行くのは、めちゃくちゃみっともないよ。


----------訳者の戯言---------

檳榔毛(びろうげ)。「大進生昌が家に①」で出てきました。ビラビラで飾った、豪華仕様の大型車です。牛車の高級車ですね。今で言うなら、BMWの7シリーズとかベンツのSクラスとか、レクサスLSなんかのイメージですか。否、センチュリーですかね。そういえばZOZOの社長の自家用ジェットの内装はエルメスらしいですね、関係ないですけど。

網代車(あじろぐるま)も牛車の一種です。竹または檜の薄板を網代に組んで、屋形を覆ったものだそうです。摂政・関白・大臣・納言・大将などは略式用、遠出用として、四・五位、中・少将、侍従などは常用とした。となってます。普通車、中・小型車でしょうかね。

網代」ですが、みなさんお気づきかと思います。ちょっと前、「すさまじきもの」の段で「春の網代」と出てきました。冬、川に入れて魚を獲る仕掛けで、竹や木で編んだもの、ってことでしたね。元々、「網の代わり」にしたから、「網代」ということなのでしょう。当然、漁業に使うものと、建材として使うものは、似て非なるものだと思われます。


【原文】

 檳榔毛はのどかにやりたる。急ぎたるはわろく見ゆ。

 網代ははしらせたる。人の門の前などよりわたりたるを、ふと見やるほどもなく過ぎて、供の人ばかりはしるを、誰ならむと思ふこそをかしけれ。ゆるゆると久しくゆくはいとわろし。


検:檳榔毛はのどかに

 

 

新編日本古典文学全集 (18) 枕草子

新編日本古典文学全集 (18) 枕草子