枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

むつかしげなるもの

 むさくるしいもの。刺繍の裏。ネズミの毛もまだ生えていない子を巣の中から転がし出したの。裏地をまだつけてない毛皮の衣の縫い目。猫の耳の中。特にきれいなじゃない場所が暗いのもね。

 特に大したことのない人が、子どもがたくさんいて、お世話してるの。そんなに深い愛情もない妻が、身体の具合が悪くて、長い間病気で苦しんでるのも、男の気持ちからすると煩わしいでしょうね。


----------訳者の戯言---------

むつかしげなる、という語は、「むさ苦しい」「感じがよくない」という意味になります。現代語とは微妙に違いますでしょうか。

裘(かはぎぬ)というのは、防寒用の毛皮の衣服のことだそうです。そのまんま。

「心地あし」は、後には不快感を表すこともあったようですが、当時は「気分がすぐれない、からだのぐあいが悪い」という意味の方が主であったようですね。

むさくるしいものを列挙した段です。
ただ、ここに出てきたものを検証していると、よくわからない感じはありますね。
刺繍の裏とか毛皮の縫い目とかというのは、まあわかるとしても、ネズミの赤ちゃんとか、猫の耳の中とか、まあまあ可愛いですからね。ま、猫の耳の中はもしゃもしゃですしね、どっちともいえるかもしれませんが。
きれいではない所。これは暗くても明るくてもむさくるしいですしね。むしろ、明るいほうがむさくるしさは増します。

子だくさん、というのはまあ、むさくるしいと言えば、むさくるしいですかね。ビッグダディですね。美奈子ですか。ファンの方がいたらすみません。

妻が長い間病気、しかも深くも愛してない、って、しかもそれを煩わしい、って、ちょっと人としてどうよと思いますけどね。
そりゃ、人間ですからね、いろいろなメンタリティや事情もあると思います。けど、それならもうちょっと早く離婚すればいいのに。と思うのは私だけでしょうか。上野千鶴子や田島陽子はどう言うかな。


【原文】

 むつかしげなるもの ぬひ物の裏。鼠の子の毛もまだ生ひぬを、巣の中よりまろばし出でたる。裏まだつけぬ裘(かはぎぬ)の縫ひ目。猫の耳の中。ことに清げならぬ所の暗き。

 ことなることなき人の、子などあまた持てあつかひたる。いとふかうしも心ざしなき妻(め)の、心地あしうして久しうなやみたるも、男の心地はむつかしかるべし。