職の御曹司にいらっしゃる頃、八月十日過ぎの月の明るい夜、定子さまが右近の内侍(右近内侍)に琵琶を弾かせて端のほうにお座りになってるの。女房の誰かれは各々おしゃべりしたり、笑ったりしてるんだけど、私は廂の間の柱に寄りかかって、何もしゃべらず…
で、夜が更けてきた頃、彼がお題を出して、女房に歌をお詠ませになったの。みんな躍起になって、苦心して歌をひねり出してるんだけど、私は定子さまの近くに控えてて、お話し申し上げたり、別のことばっかり言ったりしてるのを、内大臣さま(藤原伊周)、ご…
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