2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧
南じゃなかったら、東の廂の間の床板の影が映るくらいのところに、鮮やかな畳を置いて、三尺の几帳の帷子(かたびら)がすごく涼し気に見えてるのを押しやったら、滑ってって。思ってるよりも行き過ぎて立ったところに、白い生絹の単衣、紅色の袴、夜具には…
めちゃくちゃ暑い昼日中に、どういうことしたらいいのかしら~?って。扇の風もぬる~いし、氷水に手を浸して、大騒ぎしてるうちに、ものすごく真っ赤な薄様の紙を、唐撫子がすばらしく咲いた花に結びつけたの、お使いの者が持ち込んで来たんだけど、書いて…
色好みで独身の男性が、夜はどこに行ってたんでしょ? 夜明け前に帰って来て、そのまま起きてるから、眠そうな感じに見えるんだけど、硯を手元に持ってきて、墨をていねいにすって、何となく筆の進むままテキトーにとかじゃなく、気持ちを込めて手紙を書いて…
八月の頃、白い単衣の柔らかい着物に良質な袴をはいて、紫苑色ですごく上品なのを羽織ってるんだけど、胸をひどく患ってるものだから、友達の女房たちが次々にやってきてお見舞いをして、外の方にも若々しい貴公子たちがたくさんやって来て「すごくお辛そう…
18、9歳ぐらいの人で、髪がすごくキレイで背丈くらいあって、裾はすごくふさふさしてて、とてもよく太ってて、めっちゃ色白で、顔がかわいくて、素敵って見える女子が、歯をひどく患って、額の髪も涙でびっしょり泣き濡らし、髪が乱れて顔にかかってるのも気…
病気は、胸の病。物の怪。脚気。それから、ただなんとなく食欲がない気分。 ----------訳者の戯言--------- だいたい枕草子で、こういう風に「〇〇は」と書きだした場合は、いい感じのもの、「をかし」的なものを列挙していきます。ということは、「病」の場…
たいした者は、乳母(めのと)の夫だわよね。帝や親王たちなんかのケースは、当然そういうものだから、申し上げるべきことでもないわ。その次、また次のレベル、受領の家なんかでも、その場所にふさわしい態度で人に接するのを求められてるもんだから、彼ら…
「位」っていうのは…。やっぱりすばらしいものだよね! 同じ人でも、大夫の君、侍従の君とかって申し上げる時は、結構侮りがちなんだけど、中納言、大納言、大臣とかにおなりになったら、やたらと邪魔するものもなくなって、ご立派にお見えになることと言っ…
得意げな顔をした者。 1月1日に最初にくしゃみをした人。身分の高い人はそういうこともないんだけど。身分の低い者よ。 蔵人を選任するのに、競争率が高い時、子どもが蔵人になった人の様子。また、除目でその年いちばんの国への赴任が決まった人。お祝いな…
お話なんかをなさって、「私のことを想ってくれるかしら?」ってお尋ねになったの。その返事に、「もちろんです」って申し上げるのに合わせて、台盤所のほうで誰かが大きなくしゃみをしたから、「あら、いやだ。嘘を言ったのね。もういいわ、いいんです」っ…
大納言殿お一人でもこんななのに、また先払いをさせて、同じ直衣の人が参上なさって。この人はもう少し華やかな感じで、猿楽言(さるがうごと)なんかをおっしゃるの、女房たちは笑って、おもしろがってね。「私も、誰それが、こんなことをね」なんて殿上人…