枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

したり顔なるもの

 得意げな顔をした者。
 1月1日に最初にくしゃみをした人。身分の高い人はそういうこともないんだけど。身分の低い者よ。
 蔵人を選任するのに、競争率が高い時、子どもが蔵人になった人の様子。また、除目でその年いちばんの国への赴任が決まった人。お祝いなんかの言葉で、「すごくご立派になられましたね!」なんて言った、その返事に「何をおっしゃいますやら! 全然尋常じゃなくって、(地方に)落ちぶれるんでございますからねー(笑)」とか言うんだけど、すごくしたり顔なの。

 また、言い寄って来る人が多くて、みんなチャレンジして来た中で、選ばれて婿になった者も、私こそ幸せ者!って思ってるでしょうね。

 受領をした人が、参議(宰相)になった場合は、元々名家の貴公子が昇進してなったのよりも得意げで、お高くとまって、ますますドヤ!って思ってるみたいに見えるわ。


----------訳者の戯言---------

元旦にくしゃみをするのは、良いことだったらしいです、当時は。すぐ前の段では、くしゃみは良からぬことだったのにね。タイミングによってはこうなるんですね。昔の人の言うことはよくわからないです。

除目というのは人事発令のイベントで、春(1月)の除目では、諸国の国司など地方官である外官を任命したものです。

受領については、「受領は」を再読いただくとよくおわかりいただけると思います。
「一の国」は「最上の国」ということらしいですが、たぶん税収が多い国なのではないでしょうか。受領からすると、私的にも潤うらしいですから、それは内心「やたね!」って感じでしょう。

モテモテ女子にはみんな求愛しに行ったんですね。かぐや姫状態です。ライバル多し。で、そんな中で一人選ばれるというのは、それはうれしいに決まってますわね。

あと、東大とかに合格した人の親? 国家公務員試験に合格して財務省とかに入った人の親?的な。
それから、元々はそんなエエトコの子でもなかったのに参議という朝廷の要職に就いた人とか。
まあ、それぞれ、努力したり、センスや才能、運もあったのかもしれませんけど、それも実力だと思うんですけどね。
で、結果出ました。ど-だ??という顔したら…

清少納言的にはそういうの嫌いなんです。そもそも身分が低いの嫌いな人ですから。出世とか昇進とかも、名家の出であまり苦労とかしないで、当たり前にスッと行って、真顔でさらっと受け流す、ぐらいがベストなんでしょう。

つまり。
したり顔。得意顔ですね。最近はドヤ顔などとも言う、あれだと思いますが、身分が低くて、欲しかったものを何とかGETしたとしても、あまりそういうのを表情に出してはいけませんよ、と。一種の感情マネージメント手法のヒントだと理解することにしましょう。もちろん、清少納言の意図とは全然違いますが。


【原文】

 したり顔なるもの 正月一日に最初に鼻ひたる人。よろしき人はさしもなし。下﨟よ。きしろふ度の蔵人に子なしたる人のけしき。また、除目にその年の一の国得たる人。よろこびなど言ひて、「いとかしこうなり給へり」などいふいらへに、「何かは。いとこと様に滅びて侍るなれば」などいふも、いとしたり顔なり。

 また、いふ人おほく、いどみたる中に、選りて婿になりたるも、我はと思ひぬべし。受領したる人の宰相になりたるこそ、もとの君達のなりあがりたるよりもしたり顔にけ高う、いみじうは思ひためれ。