枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

受領は

 受領やるなら。伊予の守。紀伊の守。和泉の守。大和の守。


----------訳者の戯言---------

受領(ずりょう)。何か聞いたことはあるけどー、みたいな言葉ですね。というか、地方のまあまあ偉い役人、ぐらいの認識です。私だけですか。

一応、朝廷が治める中央集権国家ですから、地方の国々には朝廷から地方行政を司る役人が派遣されたりしました。これを国司と言って、例によって四等官であったようです。守(かみ)、介(すけ)、掾(じょう)、目(さかん)ですね。で、長官が守(かみ)だったわけですが、平安中期以降は遙任と言って、国司の守といっても、実際には地方に赴任せず、都にいたままの人が多かったようですね。

しかし、もちろん実際に現地に赴いた人もいました。そっちの守のほうを受領と言いました。
受領は強大な権限があったので、巨額の富をGETすることができたらしいですね。某国の大統領みたいなものでしょうか。私腹を肥やせるなかなか美味しいポストだったようです。なので、国司に任命されるために人事に影響力のある人に取り入る人も多かったそうですね。

ということを踏まえた上で。この段です。
ご存じのとおり、伊予は今の愛媛県紀伊和歌山県、和泉は大阪府南部、大和は奈良県です。以上の4国は、国の規模が大きくて税収が多かった、ということのようですね。受領は一定の租税を国庫へ納付さえすれば、それ以外の税収を私的に得ることができましたからね。

つまり、オイシイ国の受領(守)は?っていうと……ってことですか。
ヤラシイな!


【原文】

 受領は 伊予の守。紀伊の守。和泉の守。大和の守。

 

枕草子 (岩波文庫)

枕草子 (岩波文庫)

  • 作者:清少納言
  • 発売日: 1962/10/16
  • メディア: 文庫