枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

とくゆかしきもの

 早く知りたいもの。巻染。むら濃、絞り染めなんかにした織物。誰かが子どもを産んだ時には、男の子か女の子かを早く聞きたくって。身分の高い人は言うまでもないけど、身分の低い者、下々の者の場合でも、やっぱ知りたいわね。
 除目(じもく)の翌朝早く。知ってる人が、必ずしも任命されるとは限らない時だって、やはり結果は聞きたいのよね。


----------訳者の戯言---------

巻染というのは絞り染めの一種で、布を巻いて糸で括って染めて、括った部分が白く残ってる生地の柄を言うそうです。
むら濃(むらご)は「斑濃」と書くそうです。文字通り、ところどころを濃淡にぼかして染め出した柄。わざとムラをつくった柄なのでしょう。

くくり物というのは、くくり染め(絞り染め)にしたものだそうですね。巻染とどう違うのかはよくわかりませんが。

除目(じもく)とは、官人を任命する儀式だそうです。1月11日からの三夜にわたって行われたみたいですね。で、その結果がわかるのが明け方だったようで。

というわけで、染め物の出来栄え、そして、生まれた赤ちゃんが男の子か女の子か。さらに、人事発令。

絞り染めはなんとなくわかるとしても、自分のことでもないのに気になるんですかね、清少納言。まあ、好奇心が強いというか、イッチョカミしたいというか、余計なお世話というか。ですね。まあ、そんな人だとは思っていましたが。


【原文】

とくゆかしきもの 巻染。むら濃、くくり物など染めたる。人の、子生みたるに、男(をとこ)女、とく聞かまほし。よき人さらなり、えせ者、下衆の際だになほゆかし。

 除目のつとめて。必ず知る人のさるべきなき折も、なほ聞かまほし。

 

枕草子 (岩波文庫)

枕草子 (岩波文庫)

  • 作者:清少納言
  • 発売日: 1962/10/16
  • メディア: 文庫