よろづの事よりも② ~よき所に立てむと~
いい場所に車を停めよう!って急がせたもんだから、朝早く家を出て、行列を待つ間、座り込んだり、立ち上がったりしてて。暑くて苦しくってめちゃ疲れちゃってたら、まさにその時!! 斎院の垣下(えが)に参上なさった殿上人、蔵人所のスタッフ、弁官、少納言なんかが7台、8台連なって斎院の方から走らせてきたから、準備OKなんだわ!ってハッと気づいて、うれしくなるの。
----------訳者の戯言---------
垣下(えが)というのは、斎院の饗宴のお相手役だそうです。賀茂祭から斎王がお帰りになってから、斎院で晩餐会的なことが行われたというんですね。渡御の前にも開催されたのかもしれません。
所の衆(ところのしゅう)というのは、蔵人所に属して雑事をつとめた者のことを言います。スタッフさんですね。六位の人が務めたらしいです。
弁(弁官)というのは、朝廷の最高機関「太政官」の事務官僚で四位五位相当。学識ある有能な人材がこの官に任用されていたらしいです。左右、大中少の弁があり、左中弁以上の経験者には参議に昇進する資格があったそうで、将来三位以上に昇る道が開かれた出世の登竜門でもありました。
やはり清少納言イチ押しの「祭のかへさ」の行列の時のことを書いてるようですね。
どんだけソワソワしてるのでしょうか。夏フェスとかの場所取りの感じですか? 百貨店の福袋とか、ユニクロのコラボ商品発売日とかに朝イチで並ぶ人と同じですか。
前に「祭のかへさ、いとをかし」という段がありましたが、被ってないですかね? 被ってるかどうかは引き続き読まないとわかりませんねー。
というわけで、③に続きます。
祭のかへさ、いとをかし①
https://makuranosoushi.hatenablog.com/entry/2020/10/04/121723
【原文】
よき所に立てむといそがせば、とく出でて待つほど、ゐ入り、立ち上がりなど、暑く苦しきに困ずるほどに、斎院の垣下(ゑが)に参りける殿上人・所の衆・弁・少納言など、七つ八つと引きつづけて、院の方より走らせてくるこそ、事なりにけりとおどろかれてうれしけれ。