枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

せめておそろしきもの

 ものすごく恐ろしいもの。夜に鳴る雷。近い隣の家に泥棒が入ったの。自分が住むところに来た時のは、全然覚えてないもんだから、何とも思わないわ。
 近所の火事、これまた恐ろしいのよ。


----------訳者の戯言---------

「せめて」。すごく甚だしい様子を言う時に使ったようですね。副詞です。ベリーマッチな感じですか。
いみじう、とどう違うのかわからないですが、近いニュアンスかもしれません。
つまり、「責めて」を元としていますから、さしせまって、逼迫して、強いて、しきりに、熱心に、ひどく、甚だしく、といった転用、応用がなされたのでしょう。

現代の「せめて」は、「少なくとも~」「最小限~」という意味になりますが、昔は違ったようです。この使い方は中世以降の用法なのだそうですね。


名おそろしきもの」という段が以前ありました。あの時は名前が怖いものを挙げていましたが、実際に恐ろしいものもちょいちょい出てきてましたね。
今回はまじ恐ろしいものばかりです。


たしかに雷はコワいです。特に子どもの頃はまじ怖かったですね。古代は神の怒りだと思われていました。すなわち、神の怒り→「神鳴り」→「雷」となったわけです。そういえば、「ことばなめげなるもの」にも「雷鳴の陣」というのが出てきましたね。


お隣さんに入った泥棒も怖いようですね。
でも自分の家に入った泥棒に関しては覚えてなくて怖くはないようです。逆じゃん! どういうメンタルですか?? パニックになっているのか、それとも、フワフワっとなってるのか、頭が真っ白になったのかもしれませんね。それ、船場吉兆のささやき女将ですか? いやいや頭が真っ白になったのは息子のほうでしたね。いや実際にはなってなくて? 単なる言い逃れでしたね? ま、船場吉兆はどうでもいいんですけど。
とにかく清少納言は、覚えてなかったようです。船場吉兆の息子は食品偽装、知ってたようですがね。しかし船場吉兆の人たちもみんな反省はしてるようです、しつこく言ってすみません。


で、さらに近所の火事です。火事も怖いです。平安時代にはソニー損保も損保ジャパン日本興亜アクサダイレクトもないですからね。損保会社の名前長すぎです。あいおいニッセイ何とかっていうのもありましたね。

というわけで、すんごく恐ろしいもの。という段でした。今も新型コロナ、テロ、無差別殺人、戦争、いろいろあります。テロでも、今はサイバーテロとかもありますから。もちろん天災も怖いです。怖さからいうと、現代のほうが圧倒的に怖いです。平安時代は、怖くてもこの程度でよかったですね。


【原文】

 せめておそろしきもの 夜鳴る神。近き隣に、盗人の入りたる。わが住む所に来たるは、ものもおぼえねば何とも知らず。

 近き火、またおそろし。