枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

いみじうきたなきもの

 めちゃくちゃ汚いもの。なめくじ。粗末な板敷きを掃く箒(ほうき)の先っぽ。殿上の合子。


----------訳者の戯言---------

ナメクジもえらい言われようだと思います。もっと汚いものはあるだろうに。

ナメクジ(蛞蝓/かつゆ)というのは、陸に生息する巻貝のうち、殻が退化している種であり、簡単に言うとカタツムリとはごくごく近い存在だそうです。殻をつけているのがカタツムリ、退化させたものがナメクジなんですね。なのに、カタツムリは「でんでん虫」として親しまれ、歌まであり、キャラクターとしてイラストに描かれます。エスカルゴはグルメな食材としてよく出てきますしね。

その点ナメクジはだいたい悪者です。そうでなくてもキモイ存在です。
怪獣としても時々登場します、ナメクジ的な怪獣、星人。だいたい最後は塩かけられてやっつけられますが。
ちょっと不憫ですね。次生まれてくる時はカタツムリでね、と思います。


「えせ(似非)」というのは、「えせものの所得る折」にも書きましたが、つまんない、大したことねー。というぐらいのニュアンスでしょうか。ここでは「粗末な」ぐらいの意味になりますでしょうか。


「殿上」は、よく出てきますが「清涼殿」の「殿上の間」のこと。殿上人の殿上です。
合子というのは当時使われていた蓋付の朱塗の食器椀のことなんですが、殿上の間に備え付けられてて、5年に一度新調したらしいですね。長年使って汚くなってるし、みんなが共同で使って、ろくな洗い方もしてないしー。ということでしょうか。しきたりだから仕方なく使ってるもの、とでも言いたいのでしょうか。

そしてもう一つ、平安時代の殿上人はこれを枕として寝ることもあったという説もあります。そりゃ汚いですね。加齢臭も付きますね。

けどさー、5年で汚くなるってどういうことよ。私、ミントンのハドンホール毎日使ってン十年になるけどそんな汚くないですよ。別にとりわけ大事にしてるわけでもなくラフに使ってますけど。年数経っても普通に洗って使ってればキレイです。

つまり、もし汚いかのように見える食器だとしても、なんで誰も洗おうとしない? そう思うなら何故あなたは洗わない? と思うのです。
そういうところ結局は、清少納言清少納言たる所以ですよね。言うだけ。
私なら洗いますよ。


【原文】

 いみじうきたなきもの なめくぢ。えせ板敷の帚(ははき)の末。殿上の合子(がふし)。