枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

宮仕人の里なども③ ~夜中、暁ともなく~

 夜中も明け方も関係なく、門もそれほどは気にしないでいて、どこどこの宮様、宮中や、その他の身分の高い方々に仕えてる女房たちも集まってきて、格子窓なんかも上げて、冬の夜、座って夜明かしして、彼氏が家を出た後をながめている様子っていい感じがするわね。有明の月が出てる朝なんかだと、さらにとてもすばらしいわ。笛なんか吹きながら帰って行った後は、すぐには寝付けなくて、人の噂話とか言い合って、歌など語ったり聞いたりしつつ、寝てしまうのが、気持ちいいの。


----------訳者の戯言---------

暁(あかつき)というのは、明るくなる前、未明です。あの、「春はあけぼの」で有名な「あけぼの」よりはまだ少し前ですね。まだ暗くて深夜に近い時間帯です。

有明の月というのは、聞いたことがありますね。「有明」と略しても、夜が明けても残ってる月のことを表します。またそういう朝のことを「有明」とも言うようですね。

①②から一転して、いい感じの男子お出迎えとお帰りの様子でしょうか。しかし、イマジネーションがぶっ飛んでますね。そんないっぱい女房とかいろいろなところから集まるはずないし。ディズニーアニメのお姫さまとかの感じですか。でも清少納言、馬鹿じゃないの?とか言ってはいけません。イメージ、イメージ。理想像ですから。

で、笑ったのが、この彼氏、笛吹きながら去っていくんですと。そんなん笑いますわ。私、吹きましたよ。千鳥の「寿司屋」の漫才見た時ぐらい吹きました。
もし私がここに集まった女房の一人だったら、陰でめっちゃウけるでしょうね。笛吹きながら帰るって、頭おかしいでしょ、どんだけナルシストなんですか、冷めますわ。清少納言も、こんなの好きってちょっと頭おかしいです。

言い過ぎました。
当時は割と普通にやってたんでしょう。
そして、清少納言は、夢見る乙女でもあるのです、少し薹(とう)が立ってますが。
そういえば、この「薹」という漢字も書くことはまずないですね。PCなので書けますけど、手書きは無理です。PCでも変換キー50回ぐらい押さないと出てきませんしね。私の端末では今は1回か2回で出るようになりましたが。覚えるんですね、偉いもんです、文明の進化、文明の利器。

というわけで、彼女の思い描く素敵なお客様の来訪とお見送り、そして幸せに眠りにつく、というお話でした。
やっぱ笑いますけど。


【原文】

 夜中、暁ともなく、門もいと心かしこうももてなさず、なにの宮、内裏わたり、殿ばらなる人々も出であひなどして、格子などもあげながら冬の夜を居明かして、人の出でぬる後も見出だしたるこそをかしけれ。有明などは、ましていとめでたし。笛など吹きて出でぬる名残は、急ぎても寝られず、人のうへども言ひあはせて歌など語り聞くままに、寝入りぬるこそをかしけれ。