枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

人ばへするもの

 人前で調子に乗ってはしゃぐもの。特に何にもない人の子どもなんだけど、それでも親が甘やかし過ぎてるの。咳。身分が高すぎてこっちが恥ずかしくなるくらいの人にお話ししようとする時に、言葉より先に出るのよね。

 あちこちに住む人の子どもで4歳か5歳になる子が、いたずら心から、物をめちゃくちゃ散らかしたり壊したりするのを、引き止められて、やりたいようにはできなくってね、親が来たら調子に乗って、「あれ見せて。ちょっと、お母さん」なんて、揺り動かすんだけど、大人たちはおしゃべりしててすぐには聞いてくれないもんだから、自分で引っ張り出してきて見て騒ぐの、めちゃ憎ったらしいわ。それを「ダメ!!」って取り上げたりもしないで、「そんなことしちゃだめよ、壊しちゃいけませんよ」っていう程度に、笑いながら言ってるの、親も憎ったらしいわね。私の立場からすると、厳しいことも言えないで見てるだけだから、気が気じゃないの。


----------訳者の戯言---------

「人ばへする」というのは、どうやら、人前で調子に乗ることを言うようです。所謂チャラい系。関西で言うイチビリ系の方、あるいはイキってる感じ。わかりますかねー、前に前に出てくる感じとでも言いますか。

「あやにくだちて」。何だそれ。わかりません。調べたら、「あやにくだつ」の連用形でした。漢字で「生憎だつ」って書くんですね。知りませんでした。「困らせたがる。いたずら心が起こる」という意味なんですね。

さて今回は。
咳。これは仕方ないですね。異質のものを挟んできました。これは清少納言のいつものテクニックです。

メインディッシュは、やんちゃ盛りのガキが傍若無人な態度でやらかしまくってるの、さらにそれを叱らない母親です。それを見てムカつく清少納言。電車やらでエレベーターやらでイライラした経験のある方も多いと思います。あれですね。
しかも。
「ほら、そんなことしてたらおっちゃんに怒られるよ~」「〇〇ちゃん、あのお姉さんが見てはるよ~」って、他人をダシにしてね。何やと思ってるのでしょうか。お前がちゃんと叱れ!! などと思うわけで。すみません、言葉が荒かったですね。


【原文】

 人ばへするもの ことなることなき人の子の、さすがにかなしうしならはしたる。しはぶき。はづかしき人にもの言はむとするに、先に立つ。

 あなたこなたに住む人の子の四つ五つなるは、あやにくだちて、もの取り散らしそこなふを、ひきはられ制せられて、心のままにもえあらぬが、親の来たるに所得て、「あれ見せよ。やや、はは」など引きゆるがすに、大人どものいふとて、ふとも聞き入れねば、手づから引きさがし出でて見騒ぐこそ、いとにくけれ。それを、「まな」ともとり隠さで、「さなせそ」「そこなふな」などばかり、うち笑みていふこそ、親もにくけれ。我はた、えはしたなうも言はで見るこそ心もとなけれ。