枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

つれづれなぐさむもの

 退屈なのを紛らわせるものっていうと…。碁。双六。おしゃべり。三つか四つの幼児がかわいく何か言ってるの。それに、とっても小さな子どもが何かおしゃべりをして、間違ったことなんかをしちゃってる様子も。果物。男なんかで、冗談を言ったりして、よくしゃべる人が来たら、物忌みなんだけど中に入れちゃうのもね。


----------訳者の戯言---------

碁ですか。碁ってそんな昔からあったの?と思って調べたら、古い古い。平安時代よりもっと古いです。日本には7世紀に伝わったそうですね。そもそも中国のもので、春秋時代にできた?ということですから、紀元前数百年。平安時代なんてあって当たり前って話ですよ。

双六というのは、今、私たちがイメージするものとはちょっと違うようで、「盤双六」というもののようですね。バックギャモンに近いゲームと言われています。吉田兼好徒然草第百十段 双六の上手という人に」には、その達人の極意みたいなことが書かれています。

原文の「うちさるがひ」の「うち」は、「ちょっと」「ふと」「すっかり」「かなり」みたいな、いろいろな意味のある接頭語です。訳すのはなかなか難しい言葉ですよね。「さるがふ」は漢字だと「猿楽ふ」です。冗談を言う、おもしろいことを言う時に使うようです。「猿楽言(さるがふごと)」で「冗談、ジョーク」という意味になります。

まあ、退屈な時を紛らわせてくれるものはコレ!という段です。碁とか双六とかトーク、ちっちゃい子がしゃべったり、何かいらんことしたりしてるのを見て退屈しのぎにするとか、あとは、おもしろいことを言うおしゃべりな男。関西弁で言うところの「いちびり」ですね、大阪の街とかには普通にたくさんいらっしゃいます。
しかし物忌みという、不浄を避けて心身を清浄に保つべき時なのに、そんないちびり男を家に入れていいんでしょうか。

今で言うなら、碁や双六はゲーム全般に代わってますね、ネトゲとかスマホゲームとか。おしゃべりはSNSですかね、LINEとかインスタ、ツイッターかと。子どものしぐさや様子を見てると退屈がまぎれる、というのは、わかりますが、現代ならそれに加えて、ペットというか、猫さんとかわんちゃんでしょうね。果物というのは間食。今ならスナック菓子とかスウィーツですね、これを暇つぶしにしてしまうと、体がたいへんなことになってきます。先に「いちびり男」と書きましたが、YouTubeAmazonプライムですね。もちろんテレビも。
比べると、今の暇つぶしがなんと恵まれていることかと再認識できますね。

結論。
現代に生まれてよかった。


【原文】

 つれづれなぐさむもの 碁。双六。物語。三つ四つのちごの、ものをかしういふ。また、いと小さきちごの、物語りし、たがへなどいふわざしたる。菓子(くだもの)。男などの、うちさるがひ、ものよくいふが来たるを、物忌みなれど、入れつかし。

 

枕草子 ─まんがで読破─