枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

とり所なきもの

 取り柄のないものっていうと。ルックスが憎らしい感じで、しかも性格が悪い人。姫糊を塗りたくったもの。これって、みんなすごく憎んでるものってことだし、今さら書くのをやめるべきじゃないわよね。それと、送り火の火箸が取り柄ない、なんていうのも、何で書かないでいられるかな?? 世の中になくはないものだし、みんな知ってることなワケでしょ? だから、まじ書いちゃってても、人は見向きもしないんでしょうけど、この枕草子を、人が見るべきものだとは思ってなかったから、不思議なことも、憎ったらしいことだって、ただシンプルに思うことを書こう!って思ったのよね。


----------訳者の戯言---------

御衣姫(みぞひめ/みそひめ)は、衣服用の姫糊(ひめのり)のことだそうです。姫糊というのは、飯で作った糊なんですね。張り物、洗濯に使うものだそうです。

「あと火」というのは、葬儀の際の送り火のこと。再び戻らないようにと門前で焚いたそうです。で、それに使った火箸なんでしょうね。不吉なものとして忌み嫌われたそうで、使い道のないものとされてたらしいです。

今回は、取り柄のないもの、使い道がないっていうか、つまり、「コイツ使えねー」ってものですね。
見た目も性格も悪い人。うーん、これはまあそうですかね。当たり前といえば当たり前なんですけど。糊の件はちょっとよくわからないですね。まあ、そう思ったんでしょう。

で、最後の方、なんか、言い訳みたいなことばっかり書いてます。
こんなこと書いても、あるあるだし、みんな思ってることでしょ、斬新でもないわよね、でもこれみんなが読むと思って書いてたわけじゃないしね、自分が感じたことをただ書こうって思って書いただけなんだよね。という感じですか。
ちょっと見苦しいですね。


【原文】

 とり所なきもの 形にくさげに、心あしき人。御衣姫(みぞひめ)のぬりたる。これいみじう、よろづの人のにくむなる物とて、今とどむべきにあらず。また、あと火の火箸といふこと、などてか、世になきことならねど、みな人知りたらむ。げに書き出で、人の見るべきことにもあらねど、この草子を、人の見るべきものと思はざりしかば、あやしきことも、にくきことも、ただ思ふことを書かむと思ひしなり。

 

枕草子 平安女子のキラキラノート (角川つばさ文庫)

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