枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、「わかりやすい」「初心者向け」となっているとは思いますがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

ここちよげなるもの

 気持ちよさげにしてるものっていうと、卯杖を携えた法師。御神楽の人長。神楽の振幡とかを持ってる人。


----------訳者の戯言---------

卯杖の法師って何?
で、まず卯杖です。「正月初の卯の日に、魔よけの具として用いる杖」とデジタル大辞泉にありました。
柊(ひいらぎ)・桃・梅・柳などの木を5尺3寸(約1.6メートル)に切り、2~4本ずつ合わせて上部を紙で包み、五色の糸で巻いて束ねたもので、ヤブコウジ、ヒカゲノカズラ、ヤブラシなどをつけて飾った、とあります。そして、宮中では六衛府などからこれを朝廷に奉り、で、御帳の四隅に立てて魔除けにしたらしいです。また、献上する時は「卯杖のほがひ」という寿詞(よごと)を奏したそうです。

宮中以外でも、卯杖を携え、「卯杖のほがひ」を唱えて京の街を回る法師がいたそうですし、熱田神宮では呪文を唱えながら、「卯杖の舞」を舞う神事も行われていたようですね。

私が通常訳の元にしている「三巻本」テキストでは漢字で「法師」と書かれていましたが、もう一つ私が見た「能因本」のテキストのほうは、「ほうし」と仮名で書かれていて、これを「捧持」として、「卯杖を持つ役割の舎人」との訳し方もできるかもしれません。

次に、御神楽の人長とは?
御神楽とは、内侍所御神楽ともいい、毎年宮中で行なわれるそうです。神楽歌を独唱、斉唱することが主体ですが、もちろん楽器による伴奏があります。全体を人長が統率し、「韓神」と「其駒」という曲では、この人長がサカキの枝に輪のついた採物を持って舞いも舞うのだそうです。
指揮者兼、バンマス兼、ボーカル兼、パフォーマーという感じですか。EXILEのATSUSHIがパフォーマーもやるような感じですか? 否、指揮者の佐渡裕が歌ったり踊ったりするような感じでしょうか。
と、書いていて思い出しましたが、マイケル・ジャクソンですね。MJは、楽器のマルチプレイヤーでしたし、実際に全曲こういうことをやっていましたね。ダンサーであり、舞台監督でもありました。人長とは格が違い過ぎますね。

原文で「神楽の振幡」と出てきましたが、「振幡」というのがよくはわかりません。
ただ、「能因本」のほうを見てみると、「心地よげなるもの」の段で「御霊会の振幡」という一節が出ています。(なお、「能因本」ほか枕草子の4系統の写本については「説経の講師は①」の解説部分をご覧ください)

ということですから、「振幡」は神楽、または御霊会で使ったものであることは確かでしょう。
御霊会というのは「祇園御霊会」であろうと考えられ、これが祇園祭の前身なのだそうです。で、まあそういう祭り行列の先頭で「振幡」を持った人を「気持ちよさげにしてるもの」と書いてるんですね。

そもそもなんですが、「ここちよげ」というのはどういう印象をあらわしているのでしょう。
内容から考えると、「誇らしげ」「得意げ」であり、少々「自信に満ちて」「颯爽としている」感じもあり、「実力以上の姿を誇示できて気持ちよくなっている感」も複雑に入り混じったりします。
今回だけでなく、をかし、ありがたし、めでたし、らうたし、あはれetc.いろいろ出てきますが、そういう感覚を当時と共感するのはなかなか難しいもの、とつくづく思います。


【原文】

 ここちよげなるもの 卯杖(うづゑ)の法師。御神楽の人長(にんぢやう)。神楽の振幡(ふりはた)とか持たる者。


検:心地よげなるもの

 

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