九月二十日あまりのほど
9月20日過ぎの頃、初瀬(の長谷寺)にお参りをして、とても小さな家に泊まったんだけど、すごく疲れてたから、ただただ眠り込んじゃってたの。
夜が更けて、月明かりが窓から漏れてたから、人がみんなが横になってるんだけど、衣の上に白く映ったりなんかしたのが、すごくしみじみと感じられてね。そんな時に、人は歌を詠むんでしょうね!
----------訳者の戯言---------
初瀬(はせ/はつせ)は地名です。今の奈良県桜井市です。長谷寺(はせでら)があります。
旧暦9月20日頃は、今の暦で行くと10~11月くらいです。月は更待月(ふけまちづき)。夜半~夜更けの月で、一眠りしてから見かける月とされています。
多くの場合、仲秋、つまり陰暦八月二十日の月のことを指すらしいですが、一般には二十日月=更待月だそうです。
夜更けに窓から差し込む二十日月の月明かりの風情♪ という段です。清少納言が直接月を見ているわけではありませんが。
とりたてて、コレ!というポイントはありません。割とつまらないです。
【原文】
九月二十日あまりのほど、初瀬に詣でて、いとはかなき家に泊まりたりしに、いと苦しくて、ただ寝に寝入りぬ。
夜ふけて、月の窓より洩りたりしに、人の臥したりしどもが衣の上に白うて映りなどしたりしこそ、いみじうあはれとおぼえしか。さやうなるをりぞ、人歌よむかし。
#枕草子 #現代語訳