つれづれなるもの
手持ち無沙汰で退屈なもの。自宅じゃなく他所に移ってやる物忌み。駒が進まない双六(すごろく)。除目で官職を得られなかった人の家。雨が降ってるのは、なおさらすごく所在なげなのよね。
----------訳者の戯言---------
やることがなくて暇。とか、手持ち無沙汰、退屈とか、そういう意味です。つれづれなるままに日暮らし、と書いたのは吉田兼好ですが、まさにあれですね。
物忌みというと、災厄から免れるため、一定期間食事や行動を慎み、不浄を避けて家の中にこもることをいいます。時代的には平安時代の貴族の間で最も流行したようです。
ぽわ~んとしてる感じですか。それとも、あくびが出る感じでしょうか。ヒマ過ぎて、やることがなくて、しかも任官できないとかだし、少しイライラッとしてる感じもなくはありません。
物忌みとか除目っていうのは、そこそこの緊張感や高揚感もあるべきものですから、そこで退屈を感じるのは決して愉快ではないですからね。むしろ不快。
あまりよく知らない人の送別会になぜか呼ばれたりとかね。今の季節だと、いっしょに行った人以外誰も知らない新年会とか、ほんとにつらいです。
【原文】
つれづれなるもの 所去りたる物忌。馬下りぬ双六(すぐろく)。除目に司得ぬ人の家。雨うち降りたるは、まいていみじうつれづれなり。