きよげなる男の
清潔感のあるきれいな男子が双六を一日中やって、それでも飽き足らず、低い燈台に火を灯して、すごく明るく燈心をかきあげて、敵がサイコロに祈りをかけてすぐには入れないもんだから、筒を盤の上に立てて待ってるんだけど、狩衣の襟が顔にかかるから片手で押し込んで、堅くはない烏帽子の先を後ろに振りのけながら、「賽にそんなにおまじないをかけても、ハズレの目が出るもんだろうかな??」って、待ち遠しそうに見守ってる様子は、誇らしげに見えるわね。
----------訳者の戯言---------
清げなる男。千葉雄大とか、吉沢亮とかですか。EXILE系ではないですね、絶対。
双六(すごろく)は、「つれづれなぐさむもの」にも書いた通り、「盤双六」というもののようですね。バックギャモンに近いゲームだそうです。
かっこいい男子の様子を観察して悦に入ってるんでしょうか。やっぱ男前は何やってもええわ~、って感じですね。そういう段だと思います。
【原文】
清げなる男(をのこ)の、双六を日一日うちて、なほあかぬにや、短かき灯台に火をともしていと明かうかかげて、かたきの賽を責め請ひて、とみにも入れねば、筒(どう)を盤の上に立てて待つに、狩衣のくびの顔にかかれば、片手しておし入れて、こはからぬ烏帽子ふりやりつつ、「賽いみじく呪ふとも、うちはづしてむや」と、心もとなげにうちまもりたるこそ、ほこりかに見ゆれ。