枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

関白殿、二月二十一日に② ~殿わたらせ給へり~

 関白の道隆さまがいらっしゃったの。青鈍(あおにび)の固紋(かたもん)の御指貫(おんさしぬき)、桜襲ねの御直衣(おんなほし)に、紅のお召し物三枚ほどを、じかに御直衣に重ねてお召しになっていらっしゃるのね。中宮さまをはじめとして、紅梅の濃いのや薄い織物、固紋、無紋なんかを、仕えてる女房たちみんなが着てるから、あたり一帯がただただ光り輝いてるみたいに見えるの。唐衣(からぎぬ)は、萌黄、柳、紅梅などもあるのね。


----------訳者の戯言---------

青鈍(あおにび)」は濃いブルーグレーといった感じの色。グレー系のチノパンの色のような感じです。

「固紋(かたもん)」っていうのは、織物の紋様を、糸を浮かさないで、 かたく締めて織り出したものを言うらしいです。カッチリと模様が織り込んであるのが特徴らしいですね。

指貫(さしぬき)。袴みたいなボトムスですね。ルーズフィットで裾を絞れるようにドローコード付きになっています。

桜襲ね(さくらがさね)というのは、表地は白で、裏地が二藍(藍+紅、つまり紫系の色に染めた生地)の二つを重ねた生地です。年齢によってトーンが変わるというか、若い人は紅を濃い目にするとかもあったらしいですね。

直衣(なほし/のうし)っていうのは、当時の男性のカジュアルウェアです。正式な着物ではなく、ということでしょうか。

唐衣(からぎぬ)は、これまでにも何回か出てきましたが、十二単の一番上に着る丈の短い上着です。

萌黄色は黄緑色ですね。柳色も黄緑っちゃあ黄緑なんですが、ウグイス色に近いです。ずんだ餅みたいな色ですね。


関白の道隆が登場です。トップスは薄赤紫でシャツは紅、ボトムスは濃いブルーグレーです。なかなかいいカラーコーデですね。この頃まだ四十過ぎです。意外と若い。今の芸能人でいうとKinKi Kidsとか、V6のどっちかというと若い方(Coming Century)の森田、三宅、岡田あたりと同年代です。ほんまか!
この翌年、糖尿病でなくなったらしいです。生活習慣病、酒の飲み過ぎですね。肥満だったのでしょう(勝手な想像)。岡田准一を見習えって感じですね。

定子をはじめ女房は紅梅色の濃いのや薄いのを各々着けているようですね。
後で上着の唐衣が出てきますから、これらはおそらく裳(も/表衣の上から腰の後ろ半身のみを覆う衣)なのでしょう。

唐衣は萌黄、柳、紅梅などのカラーのものをこれまた各自着ているようです。こちらは紅梅と同色系のものと反対色の黄緑系。全体的には紅梅と黄緑で、春っぽく華やかな雰囲気でお出迎えですね。
③へと続きます。


【原文】

 殿わたらせ給へり。青鈍の固紋の御指貫、桜の御直衣に紅の御衣三つばかりを、ただ御直衣に引き重ねてぞたてまつりたる。御前よりはじめて、紅梅の濃き薄き織物、固紋、無紋などを、ある限り着たれば、ただ光り満ちて見ゆ。唐衣は、萌黄、柳、紅梅などもあり。