枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

心もとなきもの③ ~何事にもあれ~

 何ごとであっても、急いで何かに出かけることになってる時に、先に私がその予定の場所に行く!ってことなんだけど、すぐ帰すから、って出てった車を待つのは、すごくじれったいわ。大通りを車が走ってくから、帰ってきたんだ!って喜んだら、他のところに行っちゃうの、すごく悔しいのよね。ましてや、イベントに出かけようっていう時に、「もうやっちゃったみたい」って誰かが言ってるのを聞くと、ほんとやりきれないの。

 子どもを産んだ後、後産がなかなかないの。イベント見物やお寺参りなんかにいっしょに行く予定の人を途中で乗せようって行って、車を横付けしてたのに、すぐ乗らないで待たせるなんていうのは、すごくじれったくて、このまま放って行っちゃうか!って気持ちがするわね。


----------訳者の戯言---------

物見というのは、見物(けんぶつ)のことなんですね。具体的には何を言ってるのかよくわからないんですが、まあ今で言うところのイベントでしょう。よくわからないので、いろいろ調べたんですが、具体的にどんなイベントなのかはわかりませんでした。仕方なく他の訳文を見たところ。どうも行列見物のようですね。専門家のみなさん、何を根拠に?と思ったんですが、まあ、そうなのでしょう。

この段の①でも出てきたにもかかわらず、また書いてます、イベント見物。好きですねー。けど、行列の見物、そんなに見たいか? おもしろいのか?という疑問。TDLとかユニバのパレードとかならわかりますよ。葵祭もぎりぎりわかるかな、けど、それ以外は大したことないでしょ、たぶん。単なる貴族の行列でしょ。平安貴族のセンス、ようわかりませんなー。

後産(あとざん)とは、胎児を娩出(べんしゅつ)した後、胎盤、卵膜、臍帯などが体外に排出されることを言います。胎盤などは自然に剥がれ落ち、排出されるのが一般的で、この後産にかかる時間は、長くても胎児出産後、30分程度とされています。胎盤が排出されないと、胎盤遺残というものになります。これにより出血が多くなり、母体に多大な影響を及ぼします。

じれったい、などと言ってる場合ではないのかもしれませんよ。現代医療ではマッサージをして自然排出を促しますが、場合によっては開腹手術も行われるということです。

相乗りして出かける時、つまり、ママ友たちとお食事に行く時、ゴルフとかに連れ立って行く時、途中で拾って行く場合はありますね。待ち合わせのところに遅れてくる人、いるんだこれが。お化粧に時間かかって~の人、朝寝坊した人。ほんと、困ります。たしかにこれはイラッとしても仕方ないですね。

というわけで、④に続きます。


【原文】

 何事にもあれ、急ぎてものへいくべき折に、まづ我さるべき所へいくとて、ただ今おこせむとて出でぬる車待つほどこそ、いと心もとなけれ。大路いきけるを、さななりとよろこびたれば、外(ほか)ざまに往ぬる、いと口惜し。まいて、物見に出でむとてあるに、「事はなりぬらむ」と、人の言ひたるを聞くこそわびしけれ。

 子産みたる後の事の久しき。物見、寺詣でなどに、もろともにあるべき人を乗せにいきたるに、車をさし寄せて、とみにも乗らで待たするも、いと心もとなく、うち捨てても往ぬべき心地ぞする。