いひにくきもの
言いにくいもの。人からの便りの中に身分の高い方のおっしゃった言葉なんかがたくさん書かれてるのを、最初から最後まで全部言うのは難しいわ。こっちが恥ずかしくなるくらい立派な人が、物なんかを送ってきた時の返事もね。大人になった子どもの思いがけないことを聞いても、いざ目の前にしたら言いにくいものよね。
----------訳者の戯言---------
言いにくいこと、というのは、私なんかの常識から考えると、「気まずくて」→「言いにくい」と考えるのが普通だと思ったんですが、まず出てきたのが、「たくさん過ぎて、最初から最後まで言うのが難しい」というネタでした。え?これ、言いにくいことに含めるんですか? 単に覚えられないだけじゃん。記憶力の問題ですよ、それ。
で、次に出てくるのが、「畏れ多くて、滅多なことは書けない、上手く言葉に表せない」的なケース。むしろ、「気後れすること」「躊躇すること」だと思います。緊張しちゃって声に出ない、的なやつですね。これも「言いにくい」でいいのかな。
そして最後の「子どもに彼らの恋愛関係とかを面と向かって聞く」的なことですねー。これはたしかに言いにくい。気まずいですからね。
というわけで、私はそういった「気まずくて」→「言いにくい」事例ばかりを集めたのだと思ってましたから、「言いにくいこと」の範囲広すぎるやろ、と思いました。なんかピタッとはまってなくて、散漫な感じです。
ちなみに私の考える「言いにくいこと」。ズボンのジッパーが開いてる時、メイクが落ちてるのに気が付いてない時、ストッキングに伝線入ってる時とか。インしてるはずのシャツがパンツからはみ出てるとかね、上司の書いた企画書が誤字だらけとか。友達の家に行ってお母さんがつくってくれた料理がまずかった、とかですかね。ま、いろいろです。
ちっちゃいですねー、我ながら。周りに高貴な人もいないですし、仕方ないですね。
【原文】
言ひにくきもの 人の消息の中に、よき人の仰せ言(ごと)などのおほかるを、はじめより奥までいと言ひにくし。はづかしき人の物など遣(おこ)せたる返りごと。大人になりたる子の思はずなることなどを聞くに、前にては言ひにくし。
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