殿上より、梅のみな散りたる枝を
殿上の間から、梅の花が全部散っちゃった枝を「これはどうですか?」って言ってきたから、シンプルに「早く落ちにけり」って答えたら、その詩を声に出して唱えて、殿上人が黒戸にすごくたくさん座ってるのを、帝がお聞きになって、「まあまあ良い歌なんかを詠んで聞かせるよりは、こっちのほうが勝ってるよ。上手く答えたもんだね」っておっしゃったの。
----------訳者の戯言---------
下手に凝りすぎるより、シンプルなほうがかっこいい、ということでしょうか。
私は、たまたま、上手くいったのだと思いました。いつもこれだと、またそれはそれで面白くないと思ったりします。
【原文】
殿上より、梅のみな散りたる枝を、「これはいかが」と言ひたるに、ただ、「早く落ちにけり」といらへたれば、その詩を誦じて殿上人黒戸にいとおほくゐたる、上の御前に聞こしめして、「よろしき歌など詠みて出だしたらむよりは、かかることはまさりたりかし。よくいらへたり」と仰せられき