枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

降るものは

 降るものは、雪。そして霰(あられ)。
 霙(みぞれ)はイヤなものだけど、白い雪が混じって降るのはいかしてるわ。


----------訳者の戯言---------

今回は「降るもの」です。降るものといえば雨と雪と霰(あられ)、霙(みぞれ)、あとは雹(ひょう)ぐらいでしょうか。

良い「降るもの」ですから、やはり雪やあられですね。みぞれも雪混じりのほうのみぞれですね。水っぽいやつはダメみたいです。
雨とかはやはり鬱陶しいんでしょうね。

では、他に降るものはないのでしょうか? 考えてみました。

そう言えば、光が降り注ぐ、とか言いますね。
物騒ですけど、槍が降るとか。あと、火山灰が降るとかですか。

星が降るとか言いますね。例えですけど。ムード歌謡っぽいですね。

花粉は降るとは言わないですかね、舞うでしょうか。
黄砂は降るでいいでしょうね? PM2.5はどうでしょうか。

というわけで、降るもの。

概ね、質量の大きなものが「降る」には相応しい感じがしますね。比較的軽いもの、揚力浮力のあるものは、舞う、飛散する、という言い方の方が合っている気がします。
光とか星のように比喩的に使うものは質量、比重にはあまり関係がないかもしれませんね。

では、桜のような花びらはどうでしょうか。あいみょんの歌で「桜の降る夜は」という歌がリリースされています。普通は、舞う、散る、と表現するのでしょうけど。ケツメイシコブクロもそうだったと思います。ただ、花びらでも量が多いと「降る」と表現してもいいのかもしれません。

桜蕊降る(さくらしべふる)という言葉があります。だいたいは、今は俳句とかの季語として使われる言葉のようですね。
桜の花びらが散ったあとに、萼(がく)と蕊(しべ)が花柄(かへい※「はながら」ではありません)とともに落ちることをこう表しました。花柄(かへい)っていうのは、花梗(かこう)とも言うんですが、花を支えている茎のような部分です。枝と花を繋いでいるところというか。

で、この桜の蕊が落ちて地面を赤く染める様子に美しさを見出だした言葉がこの「桜蕊降る」なんですね。蕾でもなく、五分咲きでもなく、満開でもない。花が散った後にまた心動かされるものがある、というのは、ちょっといいなと思いますね。
今年も桜が咲き始めました。さて今年、私はどんな桜を見るのでしょうか。
本文訳と全然関係なかったですね、すみません。


【原文】

 降るものは 雪。霰(あられ)。霙(みぞれ)はにくけれど、白き雪のまじりて降る、をかし。