枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、「わかりやすい」「初心者向け」となっているとは思いますがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

職の御曹司におはします頃、西の廂にて⑫ ~暗きに起きて~

 暗いうちから起きて、折櫃(おりびつ)なんかを持たせて、「これに雪の白いところを入れて持って帰って来て。汚くなったところは掻き捨ててね」なんて言って、使いを遣ったら、すごく早く、持たせた容器を引っ提げて、「すでに、早々に無くなってございましたよ」って言うから、めちゃくちゃがっかりしちゃって。いい感じにできあがったら、みんなに語り伝えてもらおう!って、苦心して詠んだ歌も、残念ながら役に立たなくなっちゃったわ。「何でそんなことになったのかしら? 昨日まではあんなにあったのに、夜の間に消えちゃうって!?」って、しょんぼり言ったら、「木守が申したのには『昨日、すごく暗くなるまであったんですよ。御褒美をいただけると思ってたのにー!』って、手をたたいて騒いでましたよ」なんて言って騒いでね。そうしてるうちに、宮中からお達しが届いたの。で、「雪は今日までありましたか?」とのお言葉があって、すごく忌々しくって残念なんだけど、「『長くて年内、まして一日まではまさか残ってないでしょ』って女房たちみんなが申し上げてたんだから、昨日の夕方まで残ってたのは我ながら上出来じゃないかなって思います。今日までっていうのは、欲張りすぎたのでしょうか、夜のうちに誰かが私を憎んで、雪を取って捨てたんじゃないかって推測しているんですよ、って申し上げてくださいね」って、お返事差し上げたの。


----------訳者の戯言---------

「折櫃」(おりびつ)は、コトバンクによると、「檜ひのきの薄い板を折り曲げて作った器」と出ていました。肴(さかな)や菓子などを盛ったそうで、四角、六角などの形がある、のだそうです。

「言ひくんず」というのは、漢字で書くと「言ひ屈ず」なのだそうです。「言って力を落とす。しょげて言う」という感じのようですね。

「ねたう」というのは、忌々しい、癪にさわる、イラっとする感じでしょうか。

自分の予想がまあまあ当たってたわけですが、あと一日あればなー、というところで、雪が無くなったと。
これ、悪意のある人のせいにしてます、清少納言。はたしてそうなのでしょうか? 犯人誰やねんという話ですか? いずれにしても次回で終わりの予定です。どういう結末なのか、乞うご期待。


【原文】

 暗きに起きて、折櫃など具せさせて、「これに、その白からむ所入れて持て来。きたなげならむ所、かき棄てて」など言ひやりたれば、いととく持たせたる物を引きさげて、「はやくうせ侍りにけり」といふに、いとあさましく、をかしうよみ出でて、人にも語り伝へさせむとうめき誦(ずん)じつる歌も、あさましうかひなくなりぬ。「いかにしてさるならむ。昨日までさばかりあらむものの、夜のほどに消えぬらむこと」と言ひくんずれば、「木守が申しつるは、『昨日いと暗うなるまで侍りき。禄たまはらむと思ひつるものを』とて、手をうちてさわぎ侍りつる」など言ひ騒ぐに、内裏(うち)より仰せごとあり。さて、「雪は今日までありや」と仰せごとあれば、いとねたう口惜しけれど、「『年のうち、一日(ついたち)までだにあらじ』と人々の啓し給ひしに、昨日の夕暮れまで侍りしはいとかしこしとなむ思う給ふる。今日までは、あまりごとになむ。夜のほどに人のにくみて取り棄てて侍るにやとなむおしはかり侍ると啓せさせ給へ」など聞こえさせつ。


検:職の御曹司におはしますころ、西の廂にて 職の御曹司におはしますころ 西の廂にて 職の御曹司におはします頃西の廂にて 職の御曹司におはしますころ西の廂にて