枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、「わかりやすい」「初心者向け」となっているとは思いますがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

職の御曹司におはします頃、西の廂にて② ~若き人々出で来て~

 若い女房たちが出てきて、「ご主人はいるの?」「お子さんはいるの?」「どこに住んでるの?」とか、口々に聞いたんだけど、面白いことや冗談なんかを言うもんだから、さらに「歌は歌います? 舞なんか舞ったりするかしら?」って。尋ね終わらないうちに、

「夜は誰とか寝む 常陸の介と寝む 寝たる肌よし~(夜は誰と寝ようかしら? 常陸の介と寝ようかしら? 寝てる肌がいいのよ~♪)」

って。で、その後半の歌のパターンはすごく多くて長いのね。それから、

「男山の峰のもみぢ葉 さぞ名は立つや さぞ名は立つや~(男山の峰のモミジの葉は まじ評判がいいよ 評判いいよね~♪)」

って、頭をぐるぐる回すの。すごく憎ったらしくて。若い女房たちは、たしかに笑えるんだけどムカついてもきて、「もう帰って、帰って!」って言うもんだから、私は「それはかわいそう。何かあげましょうよ」って言ったの。それを定子さまがお聞きになって、「どうしてあんな恥ずかしい歌を歌わせたの? 聞いてられなくって、耳を塞いでたわ。その服を一枚あげて、もう早く帰らせて」っておっしゃったから、「これ、あなたに下さったわよ。服が汚れてるから、この白いのを着て!」って投げ渡したら、伏して拝んで、肩に掛けて舞ってるじゃないの! 本当に腹立てて、みんな部屋の中に入っちゃったのよね。


----------訳者の戯言---------

「男山の峰のもみぢ葉、さぞ名は立つ」というのは、当時の俗謡=通俗的な歌、つまりポピュラーソングの一つですね。この「もみぢ葉」「名は立つ」がどういう意味なのかが気になります。いわゆる「モテモテ」みたいな意味ではないかと思うのですが、良い訳がなかなか見つかりません。上の訳とは別バージョンで、

男山の峰のもみじの葉やないけど、めっちゃモテモテ!めっちゃモテモテ!

というのも候補として考えてみました。が、これを歌った人の真意、聴いた人の真意というのがわかりませんしね。まあ、そんな感じです。

「男山」っていうのは京都の八幡市のほうにある山ですね。今ももちろんあります。石清水八幡宮のあるところです。

原文で出てくる「まろばし」は「まろばす」の連用形です。漢字では「転ばす」と書くそうです。頭を「グルグル回し」て、踊ったんでしょう。

ま、歌の内容とか語感とかもなんか下品ですし、下ネタなのかどうかよくわからないんですけど、その一連の様子がトータルに変だったような気もします。踊りとかもね。で、大げさな感じがかえって顰蹙買うみたいな。
素人でも芸人でも、受けようとして必要以上にやる人いますね。で、ちょっとウケたら、エスカレートして、結局は「おもんない奴」として終了のパターンですね。

さて、まだまだ先は長いのでどうなるのかわかりませんが、今のところこんな感じです。③に続きます。


【原文】

 若き人々出で来て、「男やある」「子やある」「いづくにか住む」など口々問ふに、をかし<き>言(こと)、そへ言などをすれば、「歌はうたふや。舞などはするか」と問ひもはてぬに、「夜は誰とか寝む。常陸の介と寝む。寝たる肌よし」これが末、いとおほかり。また、「男山の峰のもみぢ葉、さぞ名は立つや、さぞ名は立つや」<と>頭をまろばし振る。いみじうにくければ、笑ひにくみて、「往ね、往ね」といふに、「いとほし。これに何取らせむ」といふを聞かせ給ひて、「いみじうかたはらいたきことはせさせつるぞ。え聞かで、耳をふたぎてぞありつる。その衣一つ取らせてとく遣りてよ」と仰せらるれば、「これ、たまはするぞ。衣すすけためり。白くて着よ」とて、投げ取らせたれば、ふし拝みて、肩にうち置きては舞<ふ>[た]ものか。まことににくくて、みな入りにし。

 

検:職の御曹司におはしますころ、西の廂にて 職の御曹司におはしますころ西の廂にて 職の御曹司におはします頃西の廂にて

マンガで楽しむ古典 枕草子

マンガで楽しむ古典 枕草子