枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

山は

 山は、小倉山、かせ山、三笠山、このくれ山、いりたちの山、忘れずの山、末の松山がいい感じ。特にかたさり山はどんななんだろうって、素敵な想像が膨らむわ。五幡山、かへる山、後瀬の山。朝倉山は「よそに見る」っていうフレーズを使った歌があって、いかしてるの。おほひれ山も名前が面白いわ。臨時の祭の舞人なんかを思い出しちゃうからでしょうね。
 三輪の山も素敵。手向山、待ちかね山、たまさか山、耳なし山もね。


----------訳者の戯言---------

ここに出てくる山は、全部「歌枕」らしいです。まあまあの知識自慢ですね。
「歌枕」というのは和歌の題材とされた日本の名所旧跡のことだそうです。今回はそれをいろいろ並べてみました、と。

「かたさり山」の「かたさる」っていうのは「遠慮する」ことなんですね。なので、なんかちょっと興味あるんでしょう。たしかに気持ちはわかります。

「朝倉山」に関しては「昔見し人をぞ我はよそに見し 朝倉山の雲居はるかに」(昔の恋人を今は私、気にも留めなくなってる。まるで朝倉山の雲が遥か向こうに離れてるようにね)っていう歌がなかなかいい感じなので、良い、ということなんですね。

「おほひれ山」のところで出てくる臨時の祭っていうのは、例祭ではない祭、とのことです。まあ、そういうのがあったらしい。しかし臨時の祭ってどこの神社の?とかいう疑問もあるんですが、そこは一般には賀茂神社石清水八幡宮祇園社(今の八坂神社)に絞れるようですね。石清水だと断定している現代訳とか解説なんかも見られますが、私にはそこまでわかりません。専門の方はわかるんでしょう。
で、神社の祭でやる演目には「東遊び」という歌舞があったそうで、それの最後のほうで「大ひれや、をひれの山は」って歌うんだとか。なので、ビジュアル的には舞人=ダンサー的な人が思い浮かぶってことでしょうか。

たしかに三輪山は姿もきれいですし、そういうことなんでしょうね。聖なる山で御神体そのものでありますから。

この段、言わんとすることはわからんでもないんですが、今読んで、めちゃくちゃ興味深いとか、面白いという文章ではないですね。


【原文】

山は 小倉山。かせ山。三笠山。このくれ山。いりたちの山。忘れずの山。末の松山。かたさり山こそ、いかならむとをかしけれ。五幡山。かへる山。後瀬の山。朝倉山、よそに見るぞをかしき。おほひれ山もをかし。臨時の祭の舞人などの思ひ出でらるるなるべし。

三輪の山、をかし。手向山。待ちかね山。たまさか山。耳なし山。