枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

檜扇は

檜扇(ひおうぎ)は無地の。唐絵のもの。


----------訳者の戯言---------

「檜扇(ひおおぎ)」とは字のとおり薄い檜の板を重ねたものです。宮中で用いられていました。
男性が使う場合は、宮中行事の時複雑な式での作法とかをメモする目的で使われたっていうんですね。で、女性の場合は、直接顔を見られた場合、見られそうな場合、咄嗟に顔を隠すために使ったらしいです。

無地のものがいいっていうのはどういう理由かはわかりませんが、唐絵(からえ)がいいというのは何となくわかります。唐絵、つまり中国風の絵がきっとハイカラだったのでしょうね。いや、ハイカラと言うと西洋風ってことになるから、違うのか。ま、いずれにしても国産の感じじゃなくて、高級な気分を醸したのでしょう。

ちなみにハイカラというのは、語源がhigh collarなのだそうですが、意味は文字通り「高い襟」です。西洋風の身なり、ということで、それが「ハイカラ」になったということなんですね。
当時は西洋なんていう存在はありませんから、中国風が最先端なんでしょう。ということで調べたところ、中国には漢服というのがありまして、円領袍とか盤領袍と申しまして、日本の平安時代の頃には中国の官人は丸襟で長いワンピーススタイルの着物だったようです。そういうのがオッシャレーだったのかもしれません。ということで「円領」ならyuan lingなので「ユァンリン」。ハイカラならぬユァンリンです。それがどーした?って話ですが。

ところで、扇ですが、ルビを振る場合は「おおぎ」なのでしょうか「おうぎ」なのでしょうか。というのも、このPCでは「おおぎ」でも「おうぎ」でも「扇」と変換されます。なぜか。
歴史的仮名遣いで書くと、原文にもあるように「あふぎ」です。読み方は「おーぎ」。これを現代仮名遣いのルールどおり表記すると「おうぎ」となります。ただ、人名では扇で「おおぎ」という人もいるようです。だからなのかもしれません。


さて、前の段で出てきた「骨」のある扇は、この段の「檜扇」を簡素化したものというか、ディフュージョン版みたいなものなんですね。檜扇はさすが本格派です。オーセンティック。ほんまか??

 
【原文】

 檜扇(ひあふぎ)は 無紋。唐絵。