枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

関白殿、二月二十一日に⑮ ~みな乗りはてぬれば~

 女房全員が乗り終えたから、車を御門から牽き出して二条大路で榻(しじ)に轅(ながえ)を掛けて見物の車みたいに立てて並べたの、その様子がすごく面白いのよ。人もみんなそういう風に見てるんだろうなって、胸がわくわくどきどきするのよね。四位、五位、六位なんかの人たちがめちゃくちゃたくさん出入りして、車のところに来て世話を焼いたりお話をしたりする中で、明順(あきのぶ)の朝臣の気分はっていうと、空を見上げて胸を張っちゃってるの。


----------訳者の戯言---------

榻(しぢ/しじ)は拙ブログ「徒然草を現代語訳したり考えたりしてみる」の「第四十四段 みすぼらしい竹の編戸の中から」に図がありますのでご参照ください。轅(ながえ)という、牛車の前に長く突き出ている柄の部分を置くような台ですね。

明順(あきのぶ)の朝臣というのは定子の母(高階貴子)方の伯父・高階明順(たかしなのあきのぶ)のことです。京都郊外のクラシックな家に住んでいました。建物の造りやインテリアをあえて田舎風、カントリーテイストにしてあったようですね。この辺のことについては「五月の御精進のほど② ~かくいふ所は~」を再読いただけると幸いです。


女房たちの乗った車の並んだ様子が壮観であるということ、そしてそれを見た?定子の伯父・高階明順は非常に誇らしく得意気な様子です。
伯父さんがそんなにテンション上げなくてもと思いますが。
さて、この段を読み始めて約1カ月です。長い段ですが半分は過ぎたかな?というところでしょうか。来月中にはなんとかこの段、読み終われるかもしれません。
⑯に続きます。


【原文】

 みな乗りはてぬれば、引き出でて、二条の大路に榻(しぢ)にかけて、物見る車のやうに立て並べたる、いとをかし。人もさ見たらむかしと心ときめきせらる。四位、五位、六位などいみじう多う出で入り、車のもとに来て、つくろひ、物言ひなどする中に、明順(あきのぶ)の朝臣の心地、空を仰ぎ、胸をそらいたり。