枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

恐ろしげなるもの

 恐ろしげなもの。橡(つるばみ)のかさの部分。焼けちゃってる野老(ところ)。水蕗(みずふぶき)。菱(ひし)。髪の多い男が髪を洗って乾かしてるところ。


----------訳者の戯言---------

橡(つるばみ)というのは、クヌギの古名だそうです。また、その実であるどんぐりの古名なのだそうです。たしかにクヌギの実のかさの部分、殻斗(かくと)というらしいですが、その部分はにょろにょろしたものがいっぱい出ててかなり気持ち悪いです。恐ろしげといえばそうかもしれません。

ところ(野老)というのは、ヤマノイモ科の蔓性の多年草だそうです。根茎にひげ根が多く、これを老人のひげにたとえて野老(やろう)とよび、正月の飾りに用い長寿を祝ったとか。ヤマイモによく似てて食用にもなったそうです。ひげ根の部分か芋の部分かわからないんですが、焼いたりもしたんでしょうか。

水ふふきは、水蕗(みずふぶき)のことのようです。水蕗というのは、別名オニバス。花はトゲトゲしていて、葉っぱは円形で、ボコボコというかシワシワというか、けど光沢があるんですね。オニバス=鬼蓮というぐらいですから、ま、見た目これも怖い感じはありますよね。実は芡実(けんじつ)といって、食べられる、というか漢方薬になってるようです。

菱(ひし)というのは、ヒシ科の水生の一年草。池や沼に生え、茎は細長く、泥水中を伸びる。とあります。秋にトゲトゲのある固い実がなり、果肉は白くて食用、薬膳もになるそうです。

で、髪の多い男ってww

というわけで。
今回は怖そうなもの。なんかニョロニョロとか、ヒゲヒゲとか、トゲトゲとか、ボコボコとかが出ている植物で、しかしどれも食べられるものばかりです。そして最後に書いてる例外は、髪の多い男。しかし、これもまた、モジャモジャ感いっぱいです。
清少納言としては、こういう形状のものというか、いっぱい生えてる感じのものが怖いようですね。え? 違います?
いや、ワタクシ的には、かなりいい推察だと思うんですが。


【原文】

 恐ろしげなるもの つるばみのかさ。焼けたるところ。水ふぶき。菱。髪おほかる男の洗ひてほすほど。

 

NHK「100分de名著」ブックス 清少納言 枕草子

NHK「100分de名著」ブックス 清少納言 枕草子