枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

修法は

 加持祈祷は、奈良の系統がいいのよね。仏様の護身法なんかで明呪を唱え上げるのが、上品で尊いの。


----------訳者の戯言---------

「修法」というのは、密教の「加持祈祷」のことだそうです、簡単に言うと。単にお祈りするだけではなくて、結構複雑にいろいろなことをやるようですね。

「護身」というのは、もちろん、痴漢とかを撃退する催涙スプレーとかスタンガンとかではないです。「護身法」の略なんですが、「密教で、一切の障害を取り除き、行者の心身を守るために行う法」とのこと。しかし、そう言われてもよくわからないです。

で、調べてみました。
よく映画やアニメとかで忍者がいろいろな形に手とか指を組んで術を出すシーンがあったりします。あれを「印(いん)を結ぶ」とか言うんですね。で、この動作は、元々は仏教、特に密教のジャンルでやってた動作なんだそうです。
で、「護身法」というのは、まず行者自身を仏の力で守り、その行を行うに際して、魔の侵入や妨害を退け、行者の心身を守るために行なう印明(いんみょう)のこと、らしいですね。印明っていうのは、先に書いた、手に結ぶ「印相」と、口で唱える「明呪(みょうじゅ)」を合わせた言葉だそうで、つまりジェスチャーと口唱をセットでやるのでしょう。それを奈良系の僧侶がやると、優雅でいい、ということでしょうか。

やっぱり仏教、それも密教の加持祈祷と言ったら、古式ゆかしい奈良仏教の流れを汲むのがいい、ということでしょう、清少納言的には。
奈良仏教と言うと、所謂南都六宗とか言われてるアレですが、奈良時代の初めはまだ密教は大陸から伝わっていませんでした。それが、最澄とか空海によって、奈良時代の終わり頃から平安時代の初期にかけてもたらされ、密教の要素がプラスされていったんだそうです。

やはり昔ながらのエッセンスが根底にあるのが気品もあっていい、ということなのだと思います。
腕時計なら機械式のブレゲヴァシュロン・コンスタンタンetc. アイドルは80年代、RPGはやっぱ初期ドラクエ、バッグはバーキンかケリー、ジーンズはLevis501かLeeライダース、なんて言うのと同じです。ただ、これ年配の方が若い人に向かって言ったら「ハァ?」ってなるやつなんですけどね。そういう意味では清少納言も気をつけないと。


【原文】

 修法は 奈良方(ならがた)。仏の護身(ごしん)どもなど、読み奉りたる、なまめかしうたふとし。

 

これで読破! 枕草子 上

これで読破! 枕草子 上