枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

淑景舎、東宮に参り給ふほどのことなど⑤ ~御膳のをりになりて~

 朝食のお時間になって、定子さまのヘアメイク担当が参上してね、女蔵人たちがお料理のために髪をアップにしてやって来る頃には、隔ててた屏風も押し開けちゃったから、隙間からのぞき見をしてた私みたいな人は隠れ蓑を取られた気がして、物足りなく、やりきれなくって、御簾と几帳との間で柱の外から拝見したの。衣の裾や裳なんかは御簾の外に全部押し出されちゃったから、父上(道隆)さまが端のほうからご覧になって、「あれは誰だい? あの御簾の間から見えるのは」って怪しまれたもんだから、定子さまが「清少納言が見たがってるんじゃないかしら?」っておっしゃって。「あれれ、恥ずかしいね。彼女は昔からの知り合いなのに。すごく出来の悪い娘たちを持ったもんだ、って見られてしまうよ」なんておっしゃるご様子、とっても得意顔なのよ。


----------訳者の戯言---------

女蔵人(にょくろうど)というのは、宮中に奉仕した女官の1つで、内侍・命婦の下で雑用を務めたそうです。「なまめかしきもの」にもう少しだけ詳しく書きました。

のぞき見してた清少納言。朝ごはんの時間帯が近づいて隠れる所が無くなって、衣がはみ出したせいで道隆殿に見つかります。道隆さま、ドヤ顔で何か面白いようなこと言った感じですが、大して面白くはありません。残念です。
⑥に続きます。


【原文】

 御膳(おもの)のをりになりて、御髪あげまゐりて、蔵人ども御まかなひの髪あげてまゐらする程は、隔てたりつる御屏風も押し開けつれば、垣間見の人、隠れ見の人、隠れ蓑とられたる心地して、飽かず侘びしければ、御簾と几帳との中にて、柱の外よりぞ見奉る。衣の裾、裳などは、御簾の外にみな押し出されたれば、殿、端の方より御覧じ出だして「あれは誰そや、彼の御簾の間より見ゆるは」と咎めさせ給ふに、「少納言が物ゆかしがりて侍るならむ」と申させ給へば、「あな、はづかし。かれは故き得意を。いと憎げなる女ども持たりともこそ見侍れ」などのたまふ御けしき、いとしたり顔なり。


検:淑景舎、春宮にまゐりたまふことなど 淑景舎、東宮にまゐりたまふことなど

 

こころきらきら枕草子 ~笑って恋して清少納言

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