正月一日、三月三日は
1月1日、3月3日は、すごくうららかでした。
5月5日は、1日中曇りだったの。
7月7日は、曇ってたけど、夕方になって晴れてきた空に、月がとても明るくて星もたくさん見えたわ。
9月9日は、明け方から雨が少し降って、菊の花に露がいっぱいで、花を覆った綿なんかもすごく濡れて、花の移り香も際立ってて。早朝には止んだんだけど、まだ曇ってて、ともすると雨粒が落ちてくるように見えるの、それもまたすごくいい感じなのよね。
----------訳者の戯言---------
「菊の着綿(きせわた)」といって、この時代には、9月9月(重陽の節句)に菊の花に黄色の真綿を被せて朝露を含ませ、その綿で体を拭くと、無病でいられる、という習慣があったらしいです。
今回は、「節句」の日の天気がそれぞれどうだったか、とか書いてます。しかしそれほど大したことは書いてないですね。
【原文】
正月一日、三月三日は、いとうららかなる。
五月五日は、曇り暮らしたる。
七月七日は、曇り暮らして、夕方は晴れたる空に、月いとあかく、星の数も見えたる。
九月九日は、暁方より雨少し降りて、菊の露もこちたく、覆ひたる綿などもいたく濡れ、うつしの香ももてはやされて。つとめてはやみにたれど、なほ曇りて、ややもせば降り落ちぬべく見えたるもをかし。