2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧
光り輝く威厳のあるもの。近衛府の大将が帝の先払いをしてるの。孔雀経の読経。御修法(みずほう)。五大尊の御修法もね。御斎会(ごさいえ)。蔵人の式部の丞が白馬節会の日、大庭(おおば)を練り歩くの。その日には靭負(ゆげい)の佐(すけ)が、禁制の…
今朝はそんなふうに見えなかった空が真っ暗にかき曇って、雪が辺りを暗くして降るもんだから、すごく心細く外を見てるうちに白く雪が積もって、さらにどんどん激しく降るんだけど、随身らしいほっそりした男が傘をさして横の方にある塀の戸から入って、手紙…
いつも手紙を送ってくる人が、「どういうことかな? 何か言ってもどうにもならないよ、今は」って言って次の日も音沙汰が無いから、さすがに夜が明けると差し出される手紙が見当たらないっていうのは寂しいなって思ってね、「それにしても、はっきりした性格…
雪はなんたってすばらしいわ。「忘れめや」なんてひとりごとを言って、人目を忍んで逢うのはもちろんのこと、全然そんなことない女性のところも、直衣なんかは言うまでもなく、袍(ほう)も蔵人の青色とかがすごく冷たく濡れているようなのは、すごくイカし…
雨は風情の無いものと思いこんでしまってるからかしら? ほんの少しの時間降るだけでも憎ったらしく思えるわ。高貴な宮中行事や面白いだろうなっていうイベント、尊くてすばらしいはずのことも、雨が降ってしまうとどうにも言いようがなく悔しいのに、何でそ…
さて、月の明るい時には、過去のことも将来のことまでも、思い残すようなこともなくって、心もさまようくらい素晴らしくてしみじみとするのは、他のこととは比べものが無いくらいだわって思うわね。そんな月の夜に来た人は、十日、二十日、一カ月、もしくは…