枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

宮にはじめて参りたるころ⑥ ~久しくゐ給へるを~

伊周さまが長時間いらっしゃるのを見て、それって思いやりがないことで、私が苦痛に思ってるだろうっておわかりになったんでしょうね、定子さまが「これをご覧になって! これは誰が書いたものかしら?」っておっしゃたんだけど、「いただいて拝見しましょう…

宮にはじめて参りたるころ⑤ ~御帳の後ろなるは~

「御几帳の後ろにいるのは誰なの?」って、大納言さま、お尋ねになったみたいで。興味をそそられるようなことを言われたに違いないわね、立ってらっしゃるから他に行くの行くのかしら?って思ってたら、すごく近いところにお座りになって、話しかけてこられ…

宮にはじめて参りたるころ④ ~大納言殿の参り給へるなりけり~

(関白殿ではなく)大納言(藤原伊周)殿が参上なさったの。直衣、指貫の紫の色が、雪に映えてすごく素敵なのよ。柱のたもとにお座りになって、大納言殿、「昨日今日と物忌みだったんですが、雪がひどく降りましたから、気になりましてね」と申し上げなさっ…

宮にはじめて参りたるころ③ ~昼つ方、今日は~

お昼頃になって、「今日は、やっぱり来て。雪で曇ってるから、ハッキリとは見えないでしょうしね」とかって、何度もお呼び出しになるもんだから、私の局の主(あるじ)も、「見苦しいわよ。どうしてそんなに引き籠ってるの?? どうしようもないくらいすんな…

宮にはじめて参りたるころ② ~暁にはとく下りなむと~

夜明け前には、自分の部屋に下がりたいって気が焦ったわ。「葛城の神でも、もうちょっと…」なんておっしゃるから、何とかして斜めからもご覧になれないようにって、やっぱり顔を伏せたままでいたら、御格子もお上げなさらないの。女性スタッフたちたちが参上…

宮にはじめて参りたるころ①

中宮(定子)さまにお仕えをはじめた頃、恥ずかしいこと数知れずで、涙も落ちてしまいそうだから、毎晩参上して、三尺(約90cm)の御几帳の後ろに控えてたら、定子さまが絵なんかを取り出しお見せ下さったったんだけど、手も差し出せないくらい、たまらなく…

御形の宣旨の

御形の宣旨(みあれのせんじ)が、帝に、五寸(約15cm)ほどの殿上童のすごくかわいい人形を作って、みずら(角髪)を結って、着物なんかもオシャレにして、中に名前を書いて差し上げたんだけど、「ともあきらの大君」って書いてあったの、すごく面白がられ…

村上の前帝の御時に

前の帝、村上天皇の御代に、雪がたくさん降ったのを器にお盛りになって、梅の花を挿して、月がすごく明るかったんだけど、「これをテーマに歌を詠んでみて。どんな風に表現するかな?」って、兵衛の蔵人にお題を下されたんだけど、「雪月花の時」って申し上…

雪のいと高うはあらで

雪がそんなに高くはなくて、薄っすらと降ってるのは、すごく趣があっていいの。 また、雪がすごく高く降り積もった夕暮れから、部屋の端近くで、気の合う人2、3人ほどが火桶を真ん中に置いておしゃべりなんかしてたら、暗くなったんだけど、こっち側には灯り…

ある所に、なにの君とかや

「あるところ…ナントカの君とか言った女性のところに、良家の貴公子っていうほどではないけど、当時すごい風流人で抜群にセンスのいい人が、9月頃に訪れて、有明の月がすごく霧が立ち込めてて綺麗だったもんだから、彼が『今宵の名残りを、思い出してくれま…

宮仕人の里なども③ ~夜中、暁ともなく~

夜中も明け方も関係なく、門もそれほどは気にしないでいて、どこどこの宮様、宮中や、その他の身分の高い方々に仕えてる女房たちも集まってきて、格子窓なんかも上げて、冬の夜、座って夜明かしして、彼氏が家を出た後をながめている様子っていい感じがする…

宮仕人の里なども② ~この人の供なる者どもは~

この客人のお供のスタッフたちは嘆く風でもなくってね、このお客さんもう帰るのかなー、って、何回も何回も絶え間なく覗きに来て様子を伺ってる者たちを、笑ってるみたいなの。彼のお供たちが(この家の者たちの)口真似をしてるのなんか聞かれたりしたら、…

宮仕人の里なども①

宮仕えしてる人の実家なんかも、親が二人とも揃ってるのはすごくいいの。人がしょっちゅう出入りして、奥の方でたくさんの人の色々な声が聞こえて、馬の音なんかして、すごく騒がしいくらいなんだけど、それは悪いことじゃないわ。だけど、ナイショにしてて…

女のひとりすむ所は

女性が一人で住むところは、すごく荒れていて、屋根付きの築土塀とかだってカンペキに整ってなくて、池なんかあるところにも水草が生えてて、庭なんかも蓬が生い茂るっていうほどじゃないけど、ところどころ砂の中から青い草が見えて、寂しそうなくらいのほ…

六位の蔵人などは

六位の蔵人なんかは、こんなコト、心に思い描くべきもんじゃないわよね。 ……五位に叙せられて、どこかの国の権の守(ごんのかみ)や、大夫(たいふ)とかに…っていう人が、板葺きの狭っくるしい家を持って。また、小檜垣(こひがき)なんていうのを新しくし…

女は

女なら、内侍典(ないしのすけ)。内侍。 ----------訳者の戯言--------- 内侍典(ないしのすけ)というのは、内侍司(ないしのつかさ)という役所の典(すけ)。次官です。 内侍司というのは、帝の近くに侍って、勅旨(帝のお言葉)を官人などに伝えたり、…

法師は

法師というと。律師。内供(ないぐ)。 ----------訳者の戯言--------- 律師というのは、徳が高く人々から慕われる僧侶に対する尊称としても使われたそうですが、僧侶の位の名前でもあります。僧正が最高位、その次が僧都なんですが、さらにそれに次ぐ位が律…

大夫は

大夫(たいふ)は……。式部の大夫。左衛門の大夫。右衛門の大夫。 ----------訳者の戯言--------- 大夫(たいふ)というのは、五位以上の男性官吏のことを言います。一種の敬称です。「上達部は」の段で出てきた「春宮の大夫」のような官職としての「大夫」は…

権の守は

権の守(ごんのかみ)でいいのは…。甲斐。越後。筑後。阿波。 ----------訳者の戯言--------- さて、国司、特にその長官である守(かみ)の権官「権の守」です。「上達部は」の段でも書きましたが、藤原氏をはじめとして、大臣経験者のいるセレブリティの子…

受領は

受領やるなら。伊予の守。紀伊の守。和泉の守。大和の守。 ----------訳者の戯言--------- 受領(ずりょう)。何か聞いたことはあるけどー、みたいな言葉ですね。というか、地方のまあまあ偉い役人、ぐらいの認識です。私だけですか。 一応、朝廷が治める中…

君達は

君達(きんだち)っていうと、頭の中将。頭の弁。権の中将。四位の少将。蔵人の弁。四位の侍従。蔵人の少納言。蔵人の兵衛の佐。 ----------訳者の戯言--------- 君達っていえば?という段ですね。君達(きんだち/きみたち)というのは、高貴な家柄の子ども…

上達部は

上達部というと、左大将。右大将。春宮の大夫。権大納言。権中納言。宰相の中将。三位の中将。 ----------訳者の戯言--------- 上達部(かんだちめ)。三位以上の上級貴族。参議の場合は四位でもこの中に入ります。朝廷の幹部貴族ですね。数えてみると、おお…