枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

野は

野でいいのは? 嵯峨野は言うまでもないわ。印南野(いなみの)。交野。飛火野(とぶひの)。しめし野。春日野。そうけ野はなんとなーくおもしろいわね。どうしてそんな名前をつけたのかしら? 宮城野。粟津野。小野。紫野。 ----------訳者の戯言--------- …

井は

井といえば…。堀兼の井。玉の井。走り井は、逢坂の関にあるのが素敵だわ。山の井は、どうしてそんなに心が浅い例として引き合いに出されるようになったのかしらね? 飛鳥井は「御水(みもひ)も寒し」と褒めたのがおもしろいし! そのほか、千貫(せんかん)…

遠くて近きもの

遠くて近いもの。 極楽。舟の旅。男女の仲。 ----------訳者の戯言--------- 前の段は近くて遠いもの、だったんですが、この段は遠くて近いものです。どう違うんや? 一見遠いように感じるけど、実際には近いもの。ん? 極楽というのは、みなさんご存じのと…

近うて遠きもの

近くて遠いもの。宮咩祭(みやのめのまつり)。思いやりのない兄弟や親戚の仲。鞍馬のつづらおりっていう道。12月の大晦日と1月1日の間。 ----------訳者の戯言--------- 宮のべの祭り。宮咩の祭(みやのめのまつり/宮咩祭)とも言うそうです。というか、宮…

読経は

読経は、不断経(絶え間なく読み続ける経)。 ----------訳者の戯言--------- 不断経というのは、24時間、昼夜間断なく経文を読むことらしい。特に「大般若経」「最勝王経」「法華経」などを一定期間にわたって読んで、安産や病気治癒の祈願、亡くなった方の…

たのもしげなきもの

頼りなさそうなもの。 飽きっぽくて、妻のことをほうったらかしにしてしまいがちな婿が、ほとんど夜に寄りつかない事態。嘘つきの人が、それでも人の願いをかなえるような顔して大切なことを引き受けるの。 風が強いのに、帆を上げてる舟。70~80歳の人が具…

昔おぼえて不用なるもの

昔は評判が良かったけど今は役に立たないものっていうと…。 繧繝縁(うげんべり)の畳が劣化して節が出てきてるの。唐絵(からえ)の屏風が黒ずんで、表が破れたもの。絵師の目が見えなくなってるの。7、8尺(2.1~2.4m)の鬘(かつら)が赤く褪色したもの。…

弘徽殿とは閑院の左大将の

弘徽殿(こうきでん)っていうのは、閑院の左大将(藤原公季)のお嬢様で女御の義子さまのことをそのように申し上げるの。その方に「うちふし」っていう者の娘で左京という名前の人がお仕えしてたんだけど、その人と「源中将が付き合ってるのよね」って女房…

宰相の中将⑥ ~内裏の御物忌なる日~

帝の御物忌の日、右近の将監で、みつナントカっていう者を遣わせて、源中将が畳紙(たとうがみ)に書いて届けて来たのを見ると、「参上しようと思ってます、今日明日は御物忌なので。『三十の期に及ばず』はどうでしょうか?」って、言ってきたから、返事に…

宰相の中将⑤ ~宰相になり給ひし頃~

宰相(参議)におなりになった頃、帝の御前で、「あの方は詩をすごくお上手に吟じられるのです。『蕭會稽之過古廟』なんかも、誰があんなに上手く吟唱できるでしょう? できないでしょう。もうしばらくの間だけでも(蔵人の頭として)お仕えすればいいのに。…

宰相の中将④ ~人と物いふことを碁になして~

人とお話しすることを碁に例えて、親しく語り合うような関係になったのを、「手を許してしまったらしい」「最終局面に入った」なんて言って、「男は何目か(優位を)もらうんじゃない?」とか言うことも、他の人は知るすべもないのね。で、この君(斉信)と…

宰相の中将③ ~月ごろいつしかと~

この何カ月かの間、今か今かと思ってたことさえ、我ながら物好きだわって思ってたんだけど、どうしてそあんな風に予想どおり!みたいにおっしゃったのかしら? いっしょになって悔しがって言ってた中将(源宣方)は何も気にせずに座ってるもんだから、「あの…

宰相の中将② ~この四月のついたちごろ~

実はこの四月の一日ごろ、細殿の4つめの出入口に殿上人がたくさん立ってたの。だんだんと姿を消してって、頭の中将(藤原斉信)、源中将(宣方)、あと六位の蔵人が一人残って、いろいろなことをしゃべって、お経を読み、歌を歌ったりしてたらね、「もう夜も…

宰相の中将①

宰相の中将の斉信(ただのぶ)、宣方(のぶかた)の中将、道方の少納言あたりの面々が参上なさって、女房たちが出ておしゃべりをしてた時、いきなり、「明日はどんなことを?」って言ったら、少しも考え込むことなく即座に「『人間の四月』をやりますよ」っ…

故殿の御服の頃② ~左衛門の陣までいきて~

左衛門の陣まで行って、転げて騒ぎ回った人もいたみたいだけど、「これはやっちゃだめなことですね。上達部がお座りになる椅子なんかに女房たちが上って、政官なんかの座る床子を全部倒して壊しちゃいましたよ」なんて、マジメに諭す人たちもいるんだけど、…

故殿の御服の頃①

道隆さまが亡くなって喪服を着てた頃、6月の末日、大祓ということで中宮さまが退出されるはずなんだけど、職の御曹司は方角が悪いってことで、太政官庁の朝所(あいたどころ)にいったんお移りになっていらっしゃるの。その夜は、暑くてどうしようもない暗闇…

心もとなきもの④ ~また、とみにていり炭おこすも~

また、急いでいり炭を熾(おこ)すのもすごく時間がかかるわね。人からもらった歌の返歌を早くしなくちゃいけないのに、うまく詠めない時もじれったいわ。恋人同士なんかだとそれほど急がなくてもいいかもだけど、自ずとこれまた、急がないといけないケース…

心もとなきもの③ ~何事にもあれ~

何ごとであっても、急いで何かに出かけることになってる時に、先に私がその予定の場所に行く!ってことなんだけど、すぐ帰すから、って出てった車を待つのは、すごくじれったいわ。大通りを車が走ってくから、帰ってきたんだ!って喜んだら、他のところに行…

心もとなきもの② ~知られじと思ふ人の~

知られたくないなって思う人がいる時に、すぐ前にいる女房に伝えて代わりに言わせてるの。いつなんだろ?って待ってて生まれた赤ちゃんが、五十日、百日なんかのお祝いをするくらいに育った時は、今後の成長がすごく気になるわね。 急ぎの縫い物をする時に、…

心もとなきもの①

じれったいもの。人のところに急ぎの縫い物を頼んで、今か今かと心配しながら座り込んでそっちの方を見守ってる気持ち。子どもを産む予定の人が、予定の日時を過ぎても産気づかないの。遠いところから想ってる人の手紙をもらって、固く封を閉じてる続飯(そ…