枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

職の御曹司におはします頃、西の廂にて④ ~その後、また、尼なる乞食~

その後、また尼さんスタイルの物乞いの、すごく品があってきれいな人が現れたから、呼び寄せてお話を聞いてたら、とっても恥ずかしそうにしたもんだから、かわいそうでね、例の衣を一着持たせたんだけど、伏し拝んだのはまあいいとして、泣いて喜んで帰って…

職の御曹司におはします頃、西の廂にて③ ~後、ならひたる~

その後、学習したのか、彼女、いつもわざわざ目につくように、うろうろするようになったの。で、まんまなんだけど、「常陸の介」ってニックネームをつけたのよ。服も白いのに替えてなくって、前とおんなじで汚れてたもんだから、あれはいったいどこにやった…

職の御曹司におはします頃、西の廂にて② ~若き人々出で来て~

若い女房たちが出てきて、「ご主人はいるの?」「お子さんはいるの?」「どこに住んでるの?」とか、口々に聞いたんだけど、面白いことや冗談なんかを言うもんだから、さらに「歌は歌います? 舞なんか舞ったりするかしら?」って。尋ね終わらないうちに、 …

職の御曹司におはします頃、西の廂にて①

職の御曹司に定子さまがいらっしゃった頃、西の廂の間で不断(ふだん)の読経があって、仏様の絵なんかをかけてお坊さんたちが集まってるんだけど、それはまあいつものことなの。 それがはじまって二日ほどたってから、縁側のところで卑しい者の感じの声で、…

さて、その左衛門の陣などに

さて、左衛門の陣とかに行ったりなんかした後、里の実家に帰ってしばらくして「早く宮中に参内しなさい」なんて書かれた手紙が来て、その端っこに「左衛門の陣に出掛けてったあなたの後ろ姿がいつも思い出されるわ。でも何であんなに平然と古臭い恰好をして…

物のあはれ知らせ顔なるもの

情けない気持ちが伝わってくる顔っていうと…。鼻水を垂らし、ひっきりなしに鼻をかみながら話してる声。眉を抜いてる顔。 ----------訳者の戯言--------- 「物のあはれ」と言えば「源氏物語」というのが定番で、「あはれ」といえば概ね、悲しみやしみじみし…

里にまかでたるに④ ~かう語らひ~

こうして語り合い、お互いに世話を焼いたりなんかするうちに、どうこうすることもなかったけど少し仲が悪くなってて、その頃、彼が手紙をよこしてきたの。「都合の悪いことなんかがあっても、やっぱりかつては夫婦だったことは忘れないで、全然別の場所に離…

里にまかでたるに③ ~さて、のち来て~

それから後日になって、彼が来て、「あの日の夜は責め立てられて、何となく適当な所をお連れして歩いたんだ。本気で非難されるもんだから、めちゃくちゃ辛くてさ。ところで、どうしてあの時どうするかご返事がなくって、ワケわかんない布=海藻の切れっ端な…

里にまかでたるに② ~夜いたくふけて~

すごく遅い深夜の時間帯になって、門をめちゃくちゃドンドン大げさにたたくもんだから、何だってこんなに遠慮なく、広くもない家の門をでっかい音でたたくんだろ?って思って、聞きに行かせたら、滝口の武士だったの。「左衛門の尉(橘則光)からです」って…

里にまかでたるに①

里帰りしてる時に、殿上人なんかがやってくると、穏やかじゃない噂を人々はするもののようなの。でも私、かなりちゃんと考えて行動してて、むやみに引きこもってるっていう感じでもないから、そんな風に言われたって別に腹も立たないんだけどね。それに、昼…

かへる年の二月廿余日⑤ ~暮れぬれば参りぬ~

日が暮れてから、私は御前に参上したの。御前にはすごくたくさんの人がいて、帝付きの女房も来てて、「物語」の良し悪し、嫌いなところなんかを議論したり、批判したりしてるのよね。 で、源凉(みなもとのすずし)や藤原仲忠(ふじわらのなかただ)なんか(…

かへる年の二月廿余日④ ~職へなむ参る~

(頭の中将が)「『中宮職』の庁舎に参上するんだけど、伝言はありますか? あなたはいつ参上されるんです?」なんておっしゃって。「それにしても昨日は夜を明かさずに帰ってきてね、時間帯的にそれはまぁそれで仕方無いっちゃ仕方無い部分もあるだろうけど…

かへる年の二月廿余日③ ~御前の梅は~

梅壺の前庭の梅は、西のは白く東のは紅梅で、少し散りかかってるけど、まだいい風情で。うららかな日差しがのどかで、人に見せたくなるほどなのよね。 御簾の内側が、もっと若々しい女房なんかが、髪がうるわしくこぼれかかって……なんて物語で語られるような…