枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

職の御曹司におはします頃、木立など

職の御曹司に定子様がいらっしゃった頃、木立なんかはずいぶん古びてて、建物の様子も高くてね。ひと気がなくって、もの寂しいんだけど、なんとなくいい感じなの。母屋は鬼が棲みついてるって言われてるから、間を置いて南側にスペースをつくって、南の廂の…

まいて、臨時の祭の調楽などは

まして、賀茂の臨時祭の調楽(リハーサル)の頃なんかには、すごくいい感じなのね。主殿寮(とのもり/とものりょう)の役人が長い松明(たいまつ)を高く灯して、首をすくめて歩いて行くと、先が何かにつっかえそうになって。ステキなパフォーマンスで、笛を…

内裏の局、細殿いみじうをかし

宮中の女子スタッフの部屋、局の中では特に「細殿」がとってもすばらしいの。上の蔀を上げてあるので、風がいっぱい吹き込んできて、夏でもすごく涼しいのよね。冬は雪や霰(あられ)なんかが風といっしょに降り込んでくるのもとってもいい感じ。狭くって、…

ありがたきもの

めったにないものっていうと…。 舅にほめられる婿。それと、姑に好意をもってもらえるお嫁さん。毛がよく抜ける銀製の毛抜き。主人のことを悪く言わない従者。 それから、全然欠点の無い人も。ルックスも気持ちもとってもきれいで、世間とのかかわりを続けて…

懸想人にて来たるは

恋人として来るのは言うまでもなく、単におしゃべりをするだけの人でも、また、そんなでもなく、ただたまたま来ただけの人であっても、簾の中に他の女子たちもいっぱいいておしゃべりしてるところに入ってきて、座って、すぐには帰りそうもないとき、お供の…

しのびたる所にありては

人目を忍ぶところでは、夏がいちばんいい感じ。とっても短い夜が明けていくんだから、結局一睡もしないでね。そのままどの部屋も全部開けっ放しにして過ごしてたから、一面涼しく見渡せるのよ。それでもやっぱり、もうちょっとお話ししたいことがあって、お…

夜烏どものゐて

夜烏たちが木にとまってて、夜中頃に寝ぼけて騒いでるの。木から落ちそうになって慌てて、枝づたいに歩いて、寝起きの声で鳴くのは、昼間の様子とは違ってて面白いわね。 ----------訳者の戯言--------- 私だけの感想に違いないんですが、これはイーハトーブ…

たとしへなきもの

比べようのないもの。夏と冬。夜と昼。雨が降る日と晴れてる日と。人が笑うのと腹立つのと。老人と若者。白いのと黒いのと。 好意を持ってる人と憎ったらしい人と。同じ人でも、自分に愛情がある時と心変わりした時とでは、ホント別人だって思うわ。 火と水…

おぼつかなきもの

心細くなるものというと…。12年の山籠もりをしている僧侶の母親。知らない人の所へ闇夜に出かけて行った時、「あんまり目立っちゃうのもどうかな」って、明かりも灯さないで、それでも並んで座ってるの。 最近仕えるようになった者なんだけど、まだ彼の人間…

歌の題は

歌の題は、都。葛。三桟草(みくり)。駒。霰(あられ)。 ----------訳者の戯言--------- 前の段も意図がよくわからなかったんですが、この段もまた別の意味でよくわかりません。どういう趣旨で選んだのか、と思う人がほとんどではないでしょうか。毎度のこ…

集は

歌集は、(古)万葉集と古今和歌集ですね。 ----------訳者の戯言--------- 「古万葉」というからには、「新万葉」があるのか?という疑問もおありかと思いますが、実はあります、「新撰万葉集」。これは、かの菅原道真撰の私撰集だそうです。巻数とか収めら…

草の花は

草の花というと、まず撫子。唐のはもちろんだけど、日本のもとっても素晴らしいわね。おみなえし(女郎花)。桔梗。あさがお(朝顔)。かるかや(刈萱)。菊。つぼすみれ(壺菫)。 竜胆(りんどう)は、枝ぶりなんかは見苦しいんだけど、他の花がみんな霜で…

草は

草は、菖蒲、菰。葵はすっごくステキ。神々の御代から葵祭の髪飾りとして使われたんだから、とってもすばらしいものよ。見た目の形もめちゃくちゃいい感じだしね。沢瀉(おもだか/面高)は、名前が面白いわ。(顔が高いトコにある、って)思い上っているんじ…

里は

里というと…逢坂の里。ながめの里。寝覚めの里。人づまの里。たのめの里。夕日の里。 つまどりの里は、誰かに取られたんだろうか、自分が奪い取ったんだろうか、どっちにしても面白い名前よね。伏見の里。あさがほの里。 ----------訳者の戯言--------- ざっ…

橋は

橋っていうと…あさむつの橋。長柄の橋。あまびこの橋。浜名の橋。一つ橋。うたたねの橋。佐野の舟橋。堀江の橋。鵲(かささぎ)の橋。山すげの橋。小津の浮橋。板を一枚架けただけの棚橋、器が小っちゃいんだけど、名前を聞くとおもしろいわね。 ----------…

あかつきに帰らむ人は

夜更けの頃に帰ってく人は、服装なんかはそんなにきちっとキレイにしたり、烏帽子の紐をしっかり結んだりしなくってもOKだと思うのよね。とってもだらしなくって、見苦しい姿で、直衣、狩衣なんかが歪んでたって、誰がそれを見て、笑いものにしたり、けなし…

川は

川は、飛鳥川ね。淵と瀬がはっきりと定まってなくて、どうなっちゃうんだろって想像すると、しみじみしちゃいます。それと、大井川、音無川、七瀬川ね。 耳敏川(みみとがは)は、これまた、何を小賢しく聞こうとしてるのかって名前がおもしろいわ。そして、…

滝は

滝は、音無の滝がいいわね。布留の滝は、法皇が御覧にいらっしゃったらしくって、すばらしいわ。 那智の滝は、熊野にあるって言われてて、それがしみじみといい感じ。轟の滝は、名前からして、どんだけやかましくて恐ろしいんでしょうかね。 ----------訳者…

よき家の中門あけて

高貴なお屋敷の中門を開けて、白くてキレイな檳榔毛の車に、蘇芳の下簾の色あいが綺麗なのを、榻に立てかけてるのはすばらしいものだわね。五位、六位なんかの人が下襲の裾を帯に挟んで、笏のすごく白いのに扇を置いて、行ったり来たりして。それから、ちゃ…

ちごは

子どもがおかしげな弓や、ムチみたいな物とかを振り上げて遊んでるのは、すごくかわいいね。車を停めて、抱いて入れて、見ていたいくらいだもの。 それから、車でそのまま行ったら、お香を焚いた匂いがとてもとても漂ってきたの。すごく素敵な感じなのよね。…