枕草子を現代語訳したり考えたりしてみる

清少納言の枕草子を読んでいます。自分なりに現代語訳したり、解説したり、感想を書いています。専門家ではないので間違っていたらすみません。ご指摘・ご教授いただけると幸いです。私自身が読む、という前提ですので、初心者向けであって、何よりもわかりやすい、ということを意識しているのですがいかがでしょうか。最初から読みたい!という奇特な方は「(PC版)リンク」から移動してください。また、検索窓に各段の冒頭部分や文中のワードを入れて検索していただくと、任意の段をご覧いただけると思います(たぶん)。

2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

節は五月にしく月はなし

節句は、五月に勝てる月はありません。菖蒲や蓬なんかの香りがするのが、すごく情緒があっていいんですよね。宮中の御殿の上をはじめとして、名も知らない民衆の住み家まで、どうやって(菖蒲を)いっぱい葺こうか!って、葺き渡してあるのは、何といっても…

池は

池なら、勝間田の池、磐余の池がいかしてる。贄野の池は、初瀬に参詣する時に、水鳥が隙間もないくらいいて、すごく騒ぎ回ってるのが、めちゃくちゃ趣があっていい感じに思えたの。 水なしの池っていうのは、不思議で、何でこんな名前をつけたんだろう?って…

木の花は

木に咲く花は、濃いのも薄いのも紅梅がいちばん。桜は花びらが大きくて葉の色が濃いのが細い枝に咲いてるのがいいのね。藤の花は、長くしな垂れていて、色が濃く咲くのが、すごくすばらしいの。 四月の末から五月はじめの頃は、橘の葉が濃く青いのに、とって…

七月ばかりいみじう暑ければ② ~朝顔の露落ちぬさきに~

(男は)朝顔の露が落ちてなくなる前に手紙を書こうと、道の途中でも落ち着かなくって、「麻生の下草」なんかを、口ずさみながらの自宅への帰り道、(女子の家の)格子が上がってたから、御簾の端をちょっと引き上げて見たら、起きて帰ってった彼氏のことが…

七月ばかりいみじう暑ければ①

七月の頃になっても、めちゃくちゃ暑いから、家のあちこちを開け放って夜を明かすんだけど、月のキレイに見える頃、不意に目覚めて外を見たら、とっても素敵に感じるんですよね。月が出てなくて真っ暗なのもまたいい感じなの。有明の月はもう言葉にするのも…

小白河といふ所は④ ~朝座の講師清範~

朝の説経の講師、清範は、ステージの上も光りに満ちた気がして、ものすごく素晴らしかったわ。でも暑さがとんでもない上に、やりかけてて今日置いたままにできない仕事をそのまんまにして来たから、私はほんのちょっとだけ聞いて帰ろうとしてたんだけど、次…

小白河といふ所は③ ~後に来たる車の~

後で来た車は、停めるスペースがないから、池の方に寄せて停めたんだけど、藤原義懐さま、それをご覧になって、(藤原)実方さまに「状況をうまく伝えられる使者を一人寄こしてよ」ってオーダーしたところ、どんな人だかを人選して連れておいでになったのね…

小白河といふ所は② ~少し日たくるほどに~

少し日が昇ってきた頃、三位の中将、っていうのは後の関白殿(藤原道隆)のことなんだけど、香色を使った薄手の二藍の直衣、同じく二藍の織物の指貫、濃い蘇芳の下袴、張りのある白い単衣のとっても鮮やかなのをお召しになって、歩いて入られたのは、こんな…

小白河といふ所は①

小白河っていうところは小一条の大将殿(藤原済時)のお屋敷なの。そこで上達部が結縁の八講を開催なさったのね。世間の人たちは、すごくすばらしいことだって、「遅れて着いた車なんかは駐車スペースも残ってないヨ」って言うもんだから、朝露とともに早起…

菩提といふ寺に

菩提というお寺で、結縁の八講が開催されたので、参詣したんだけど、ある人から「早く帰ってきてください、すごく寂しいので」と便りをしてきたから、蓮の葉の裏に、 もとめてもかかる蓮の露をおきてうき世にまたはかへるものかは(いくら帰って来てと求めて…

説経の講師は③ ~そこに説経しつ~

「どこそこで説経があった」とか「八講が開かれたのよ」なんて人が話してたら、「あの人は来てた?」「どうだった?」とかって、毎回必ず聞くのは、やりすぎだよ。でも全然参加しないっていうのもそれはそれでなんだかねぇ。身分の低いっぽい女子でも、結構…

説経の講師は② ~さはあらで~

そんなのとは違って、講師が登場して少し経った頃、先導の声が少しして、車を停めて降りた人が、蝉の羽よりも軽そうな直衣、指貫、生絹の単衣なんかを着てたり、狩衣の姿だったり、そんな感じの若くてスラッとスマートな3、4人が、また同じ人数くらいのお供…

説経の講師は①

説経の講師は、顔がかっこいいこと! 講師の顔をじっと見つめててこそ、そのお説法の尊さも理解できるってものでしょ。よそ見なんかしてたら、すぐ忘れちゃうんだから、顔がイケてない講師は罪つくりだと思います。って、こんなこと言うのはやめないといけな…

檳榔毛はのどかに

檳榔毛の車はゆったりと行かせるの。急いで走らせるのはみっともなく思えるわね。 網代車は速く走らせるのがいいのよ。人の門の前などを通っていくんだけど、ふと見るスキもなく通り過ぎて、お供の人だけが走ってくのを「誰なのかな?」って思うのが、いい感…

心ゆくもの

満足できるもの。上手く描かれた女絵で、素敵な物語もたくさん書かれているの。観光からの帰り道、車から衣をのぞかせながら、お供の男性もすごくたくさんいて、牛を上手く扱う者が車を走らせるのもね。白くてきれいな陸奥紙(みちのくにがみ)に、すごくす…

過ぎにし方恋しきもの

過ぎてしまったことが恋しくなるもの。枯れてしまった葵。人形遊びの道具。二藍や葡萄染めとかの切れはしが、押しつぶされて本にはさまっているのを、見つけたとき。 それから、もらった時ステキだと思った人の手紙を、雨なんか降って何にもやることがない日…

心ときめきするもの

ドキドキするもの。雀のヒナを飼うの。小さな子どもを遊ばせてる所の前を通るとき。いかしたお香を焚いて一人寝っころがってるの。唐鏡が少し曇ってきたのを見たとき。イケてる男性が牛車を停めて、お供の人に訪問してきたことを伝えさせてるとき。 頭を洗っ…

にくきもの③ ~家にても~

家にいても、宮中でも、会いたくないなって思う人が来たら、寝たふりをするんだけど、私のところのスタッフが起こしに来て、「ぐっすり寝てはるわぁ」って思ったみたいな顔で、揺さぶって起こそうとするのが、すげームカつくんだけど。新参の女子職員が、先…

にくきもの② ~ものうらやみし~

他人を妬み、自分の身の上を嘆き、他人の噂話をして、些細なことも知りたがり、聞きたがり、それも教えてあげなかったら逆恨みして、人を非難して。で、ちょっとだけ聞いて知ったことを、自分が前から知ってたことみたいに人に話して聞かせるの。それも、す…

にくきもの①

憎ったらしいもの。急ぎの用事がある時に来て長話するお客。どうでもいい人だったら、「後でね」って追い返すこともできるけど、さすがにこっちが気恥ずかしいくらいの(立場の)人は結構嫌で面倒くさいわ。 硯に髪の毛が入ってすられたの(はヤだ)。それか…